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ムダを削ぎ落とした真っ白なパッケージはどう生まれた?「inゼリー 完全栄養」発売までのプロセスを聞きました

ムダを削ぎ落とした真っ白なパッケージはどう生まれた?「inゼリー 完全栄養」発売までのプロセスを聞きました

こんにちは、haconiwa編集部の山北です。
気になる商品やブランドの担当者さんに開発経緯やデザインのこだわりを聞いて深掘りする「商品開発の裏側」のコーナー。
第1回目は、今年8月にEC限定で発売となった森永製菓「inゼリー 完全栄養」の担当者さんにインタビュー。

スポーツや忙しい時にすぐ飲めて栄養補給ができるゼリー飲料「inゼリー」シリーズから、要素を大きく削ぎ落としたシンプルな見た目で、SNSで大きな反響を呼んだ「inゼリー 完全栄養」。パッケージが真っ白なのは「必要な栄養素が入っているため、何が入っているかをあえて書く必要がない」から。このような斬新なアイデアはどのようにして生まれ、どうやって実現に至ったのでしょうか?

森永製菓でinゼリーの商品担当をされている畠中瞳さんにリモートでお伺いしました。

試作期間は約5年以上!「inゼリー 完全栄養」はどのようにして生まれたのか?

inゼリー完全栄養

――まず「inゼリー 完全栄養」とはどんな商品なのでしょうか?特徴について教えてください。

inゼリー商品開発担当 畠中 瞳さん(以下、畠中さん):「inゼリー 完全栄養」は、今年8月4日の栄養の日にEC限定で発売した「inゼリー」シリーズの新商品です。他のinゼリーシリーズは、マルチビタミンやマルチミネラルなど、特定の栄養素に特化した製品を作っているのですが、今回は必要な栄養がぎゅっと詰まった「完全栄養」のようなinゼリーを開発しました。
2袋飲むことで約1食分の栄養が摂れるよう、栄養素等表示基準値に基づき、森永製菓の考える完全栄養の条件を満たす栄養素を配合しています。

※1食分(2袋)で、栄養素等表示基準値の1/3以上のたんぱく質・ビタミン13種・ミネラル12種・食物繊維を含みます。(エネルギー・脂質・炭水化物・ナトリウムは基準値の1/3を満たしておりません。)

――1袋に様々な栄養素が入っているのは今までにない打ち出し方ですよね。今回新たに「完全食」のようなinゼリーを作ろうと思った経緯などはありますか?

畠中さん:忙しい毎日を過ごす方が多い中で、もっといろんな成分を一気に摂れたらより効率的に栄養摂取ができるのではないかという考えからスタートしました。中身の開発が始まったのは私の前の前の担当の時なので、約5〜6年以上前から試作を作ってきました。

――6年も前からスタートしていたんですか!完成に至るまで、どんなところが難しかったのでしょうか?

畠中さん:特に味の部分で試行錯誤しました。いろんな成分が入ると味を美味しく作るのがより難しいんです。1994年からinゼリーシリーズを販売しているのですが、その中でもかなり難易度の高い開発が必要なテーマでした。

また、2019年に「六大栄養※」がバランスよく取れますというコンセプトで別の商品を発売したのですが、お客様からすると「六大栄養」という言葉はなかなか馴染みがない表現で手が伸びにくかったんです。
なので、いろいろな栄養素をぎゅっと詰めるのがあれば「六大栄養」といわずに、その上もっと分かりやすく表現していこうというところで、ネーミングを「完全栄養」としてプロジェクトを進めていきました。

※健康的な食事をバランス良く摂る上で推奨されている6つの栄養素(たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維)の総称

――味やネーミングも試行錯誤を重ねながら完成に至ったのですね。最終的にどんなお味になったのか気になります…!

畠中さん:実は、完成後も味については賛否両論がありまして。発売後お客様から「これだけ栄養が摂れるなら、この味はあり!」と言っていただける一方で、飲みにくいなどの意見もいただいております。
ただ今回の製品を誰が飲むかという点を考えた時、「inゼリー 完全栄養」を飲む方は、仕事や趣味など “何かに没頭されている方”であると想定しています。そこで優先すべきは、効率的に栄養摂取することだと思い、その術として飲んでいただける基準はクリアできているのではと思っています。もちろん、まだまだもっと美味しくしていきたいので、今後の大きな課題として捉えています!

斬新で思い切ったパッケージデザイン。実現までの道のりは?

2109_inゼリー完全栄養_08

――「inゼリー 完全栄養」を見てまず気になったのが、何と言ってもこの攻めたパッケージデザイン。情報を限界まで削ぎ落としたデザインはどのようにして生まれたのですか?

畠中さん:“何かに没頭している方”をターゲットにした時、見た目はシンプルにしたいよねという考えがinゼリーチームの中で初めの方からありました。完成したデザインは、通常のinゼリーと同じサイズのロゴを同じフォーマットに置いて、栄養素等の文字情報を何も書かずまっさらにした表示になっています。

inゼリー完全栄養
左/inゼリー エネルギー 右/ inゼリー 完全栄養

畠中さん:通常のものだとそれぞれ種類別に帯に色を入れていますが、完全栄養はパウチの色そのままに追加カラーは無し。

ですが初めは、ロゴのサイズを変更したり真ん中に大きく配置したり、何案も検討しました。
いろんな成分がバランスよく入っているので、レーダーチャートのようにしてバランスの良さを伝えるという案もありましたね。

inゼリー完全栄養
デザイン案1/inロゴ115%
inゼリー完全栄養
デザイン案2/inロゴ140%
inゼリー完全栄養
デザイン案3/inロゴ245%
inゼリー完全栄養
デザイン案4/化学式イメージ

畠中さん:この製品飲むときって、お客様は仕事や趣味に没頭しているという想定なので、「パッケージをまじまじと見ないのでは?」とデザインを検討しながら思ったんです。もう文字は見ずにささっと飲むみたいな、そういう信頼関係をお客様と製品の中で築いていくのが理想だなって。そうすると、何も書かないのが一番ベストだなと。そこでデザインを振り切ることができましたね。
その上でまずはお客様にinゼリーだとひと目でわかってもらう必要があるので、既存のロゴサイズやフォーマットを踏襲しつつ、変えるところと変えないところはしっかり線引きして今の形になりました。

あと、真っ白でいいんじゃないかと決断できた理由に、EC限定で発売するというのが大きかったです。
通常であればパッケージって「この商品はこういうものだよ」という情報を伝える場所なので、あまりにもまっさらなデザインでは何も伝わらないのでは?と考えるんですけど、今回はECページの説明欄で詳細を伝えることができますし、既存の前提にはめこまなくても良いのかもしれないなと。そういった考えを社内のデザイナーと共有してパッケージに起こしていきました。

――デザイナーさんもこの斬新な提案びっくりされたのではと思います。特に苦労されていたポイントなどはありましたか?

畠中さん:主に悩んだのはロゴのサイズでしたが、意外だったのは裏面の成分表示の部分ですね。

inゼリー完全栄養

畠中さん:
とにかくinゼリー完全栄養は配合している成分が多いので、文字がぎゅうぎゅうになってしまうんです。スペースや文字の大きさなどの制限もあるので苦労していました。例えばビタミンAがたくさん入っていると、妊娠を希望されている方とか、お子様には与えないでくださいという表示が必要になるんですけど、そういうものがすごく多くて、みっちりです。

――inゼリー担当チームやデザイナー間で進めていったとのことですが、やはり思い切った見た目なので発売の承認を得るのは難しかったのでは?森永製菓社内ではどんな反応だったのでしょうか。

畠中さん:振り切ったビジュアルなので、私も「大丈夫かな?」と心臓ばくばくしながら社内で提案しました(笑)最初にイメージを見せた時はどなたびっくりするんですけど、最終的には「面白いから試してみたらいいんじゃないか」とか、「inゼリーの良さを伝える新しい製品だから、チャレンジしてみたらどうか」とポジティブな反応が多くて。承認までにもっと苦労するかと思いきや、想像以上に背中を押していただけるような反応でした。森永製菓はもともと社員の考えを広く受け入れてくれる会社ではあるんですけど、ここまでやってみてもいいのか!みたいな(笑)そこは本当に感謝していますね。

――承認は意外にもすんなりと!柔軟でチャレンジに積極的な社風なんですね。この思い切ったデザインがSNSなどで拡散され話題になっていましたが、この反響は予想されていましたか?

畠中さん:正直ここまで反響いただけると思っていなかったのでかなり驚きました。情報をたくさん拡散していただいたおかげで、発売数日ですぐ在庫がなくなったりと想定外の状況ですごくありがたかったです。
必要な栄養成分が全部入っているから真っ白なパッケージなんだというコンセプトも、いろんな方に共感いただいて安心しました。実際に試してみたいと購入してくださったのも、今までのinゼリーに信頼を置いていただけているのだなと改めて知るいい機会になったと思っています。

また、完全栄養の発売後にWebのプロモーションを行う予定だったのですが、SNSの拡散で想定より早くECの事前の予約が埋まってしまって、急遽プロモーションを取りやめるという事態にもなりました。本当にありがたいです限りです。

今後も再販予定!“考動”派の方にもおすすめ。

2109_inゼリー完全栄養_07

――「inゼリー完全栄養」は8月の発売で終了しましたが、今後再販の予定や新しい展望などはありますか?

畠中さん:まだ時期が確定していないのですが、再販はしていきたい方向で現在調整をしています。売り切れ後も「買いたかった」、「飲んでみたかった」という声がたくさん届いていますので、タイミングが決まり次第、また皆様にお知らせできればなと思っています!

また、inゼリーを飲む方はスポーティーでアクティブな印象が強いと思うのですが、“考える”に“動く”と書いて「考動」される方、頭を使って動かれているような分野の方にもinゼリーをご利用いただきたいなと思っています。haconiwaさんの読者だとクリエイティブな分野でお仕事されている方が多いかと思うので、そういった方にも手にとっていただく機会を作っていければなと考えています。

――確かにデザイナーさんやものづくりをされている方にとっても便利な製品ですよね。再販や新しい取り組みなど今後も楽しみです。畠中さん、ありがとうございました!

デザイン要素をギリギリまで削ぎ落として登場した「inゼリー完全栄養」。お話を聞いて、思い切った発想を受け入れて背中を押してくれる、あたたかい社風が垣間見えました。大きな話題を呼び、お客様に受け入れられたのは、今までのブランドとの信頼関係があってこそだったのかもしれませんね。

「inゼリー 完全栄養」の再販やそのほかのinゼリー新商品情報は、inゼリー公式TwitterFacebookで発信予定です。気になる方はそちらもぜひチェックしてみてくださいね。

inゼリー
WEBサイト:https://www.morinaga.co.jp/in/jelly/
販売:森永製菓
森永製菓HP:https://www.morinaga.co.jp/

inゼリー 完全栄養  ※現在は販売しておりません。
価格:1箱(6袋入り) 1,944円(税込)
内容量:1袋 150g
販売URL:https://www.morinaga.co.jp/direct-store/products/list.php?category_id=242

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