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週末読みたい本『ひらめきパッケージ 3つの創作展 アイデアの記録』

週末読みたい本『ひらめきパッケージ 3つの創作展 アイデアの記録』

こんにちは。haconiwa編集部 モリサワです。
今週は、デザイナーの方はもちろん、パッケージデザインに関心がある方にもおすすめの『ひらめきパッケージ 3つの創作展 アイデアの記録』をご紹介します。発想やデザインのアイデアが行き詰ったときに、眺めるだけで新しい刺激やヒントがもらえるような1冊です。

「ひらめき」を自由な表現に。3つのパッケージデザインの創作展を1冊にまとめた作品集。

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本書は、2016年の「日本を包む」展、2018年の「感じるパッケージデザイン」展、そして今年2021年に開催された「みらいパッケージ」展と、隔年開催されているパッケージデザインの創作展を1冊にまとめた作品集。

3つの展示会の作品がそれぞれ3部構成で図録のように写真で掲載されているだけではなく、デザイナーがパッケージデザインを通して感じた共感や驚き、楽しさを表現したメッセージも添えられています。

それでは、展示会ごとに紹介されているパッケージデザインを見ていきましょう~。

●日本を包む(2016年)

第1部は、2016年に開催された“うつくしい日本語”をテーマにした「日本を包む」展。2020年の東京オリンピック開催にむけて日本をみつめなおす機会をもちたい、という思いから生まれた企画なのだそう。

日本の先人たちが紡いできた言葉には、新しい時代をつくるヒントがたくさん。その中でも日本風土の中で生まれた美しい「大和言葉」から、あでやか(艶やか)、うつろう(映ろう・移ろう)、いさぎよい(潔い)、せせらぎ、ざわめく(騒めく)、いただきます(戴きます)、しじま、こころくばり(心配り)の8つのキーワードを選定。そこからイメージされたフォルムや素材を、ビジュアルに落とし込んだパッケージが多数出展されています。

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違いを楽しむ 中村一樹 花王株式会社
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うつろい箱 村木 貴久子・立花 瑞和子 ジー・ピー・エス株式会社

中でも気になったは、“うどん”、“ひやむぎ”、“そうめん”のパッケージをデザインした「違いを楽しむ」と、使う人の心のうつろいによって中身が変わることを表現した「うつろい箱」。

「違いを楽しむ」は、1m単位で太さの違いを楽しむ日本人の感覚の繊細さをパッケージに活かしたというビジョンで表現されたのだそう。普段何気なく使っている言葉でも、意識してみると身の回りには繊細で美しい表現が多く使われていることがわかります。

このように、第1部では「うつくしい日本語」から連想する世界観を表現したパッケージデザイナーの作品を見ることができます。日本の四季やわびさび、風土が感じられるパッケージは、どこか懐かしく、すがすがしい気分になりますね。

●言葉はなくても伝わる 感じるパッケージデザイン(2018年)

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続いて第2部は、2018年に開催された「言葉はなくても伝わる 感じるパッケージデザイン展」。
前回の言葉をテーマにした「日本を包む」展に続いて、今回の展示会テーマは、言葉を使わなくても伝わる感じるデザイン。

パッケージから文字をなくし、文字がないからこそできる表現はないか。そんな思いから日本語を使わなくても海外からの観光客や視力の弱い方にも伝わるデザインに挑戦した作品が並んでいます。

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左:天然水のボトルキャップ 椿原 ヨシハル スプリング・デザイン・カンパニー 右:dear thrill 坪田 理美 株式会社アンダーライングラフィック

こちらは、アルプス型のペットボトルキャップがかわいい「天然水のボトルキャップ」と、見る角度によって色が変わる折り紙の中のキラキラした紙をイメージした「dear thrill」。シンプルなデザインがステキ!実際に使ってみたくなりますね。

展示会のテーマが「言葉はなくても 感じるパッケージデザイン」なので、パッケージから伝わってくる感覚と、写真の下に紹介されているデザイナーさんの意図を照らし合わせて読むのもオススメです。

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(注釈)警告色のマスキングテープ 大嶋 茉里奈 有限会社 小川裕子デザイン

こちらは、生物の警告色と模様を活かし、人の注意を強く引き付ける「警告色のマスキングテープ」。
デザインを手がけた大嶋 茉里奈さんは、自然界の生物が持つ派手な体色が外敵に対する警告の役割を担っているところからインスピレーションを受けて制作されたのだそう。言葉はなくても、警告の意味を感じとることができるカラーにハッとさせられますね。

●みらいパッケージ(2021年)

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そして第3部は、今年の9月17日から29日まで開催された「みらいパッケージ展」。
本来ならば3つのシリーズ企画の最終回として2020年開催予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で開催を延期。今年の開催が実現したのだそう。

さまざまな価値観が変化する中、今回のテーマになっている「みらい」という言葉の持つ意味も大きく変化。2021年の今だから発信できる“みらい”をイメージした約100名のデザイナー作品が掲載されています。

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左:FOOD ROCKET/MED ROCKET三原 美奈子 右:みらいの葉書/封書 岡田 益美 株式会社 ナリス化粧品

こちらは災害時に食品や医療品をドローンで個別に届けるパッケージ「FOOD ROCKET/MED ROCKET」と、QRコードを活用し切手やあて名が不要な「みらいの葉書/封書」。

「送る」や「届ける」という動作に、デザインが加わるだけで、新たな発想に展開しているのがステキですね。

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Marine plastic Concerto 大石 尚子

こちらは、海で拾ったカラフルでユニークな形のプラスチックゴミを用いた「Marine plastic Concert」。地球にやさしく楽しいパッケージがとても印象的!

「みらいパッケージ展」は、こんな未来があったら楽しい~!と思わせてくれるパッケージデザインが他にもたくさん紹介されているので、眺めているだけで何かデザインのヒントがもらえるかもしれません。

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巻末には、索引として企画に参加されたデザイナーさんの名前も掲載されています。好きなパッケージをみつけたら、その方の他のデザインもチェックしてみるのも、おもしろいですよね!

3つのパッケージデザインの展示会作品をテーマに沿って紹介した『ひらめきパッケージ 3つの創作展 アイデアの記録』。お仕事の参考や図録として手元に置いておきたい1冊です。気になった方はぜひ手にとってみてくださいね~。

ひらめきパッケージ 3つの創作展 アイデアの記録

企画/監修:JPDA展覧会委員会
発売:株式会社 六耀社
ブックデザイン:株式会社 アンダーライングラフィック
仕様:A5/256ページ
定価:本体2,000円+税
ISBN:978-4-8151-0012-4

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