DESIGN クリエイティブなモノ・コト
コロナ渦での新たな商品開発。ロッテの初のD2Cブランド「YOIYO」誕生までの過程をインタビュー

こんにちは、haconiwa編集部の山北です。
気になる商品やブランドの担当者さんに開発経緯やデザインのこだわりを聞いて深掘りする「商品開発の裏側」のコーナー。
第2回目は、以前haconiwaでご紹介したお酒を使用したチョコレート「YOIYO」の開発過程にフォーカス。ラミーやバッカスなど洋酒入りチョコレートを手がけるお菓子メーカー・ロッテから今年2月に登場したブランドです。
ふらりと旅に出るような気持ちで、夕暮れの黄昏時や夕食後に楽しんでもらいたいとの想いから、“よい夜(よ)、よい酔い(よい)、よい宵(よい)”などの言葉から名付けられたYOIYO 。全国から選び抜いた美味しいクラフトウィスキーを香りごと閉じ込めたミルクチョコレートを、現在までに3ラインナップを発表しています。ロッテ初のD2Cブランドでもあり、今までにない思い切ったパッケージが目を引く商品です。このような新しい取り組みはどのように生まれたのでしょうか?
ロッテでYOIYOの開発担当をされている森さんとデザイナーの山本さんにお伺いしました。
コロナ渦だからこそ、日本の知らない土地や魅力を再発見し伝えていきたい

――まず「YOIYO」とはどんなブランドなのでしょうか?商品について教えてください。
ロッテ商品企画課 森泰文さん(以下、森さん):YOIYOは、お客様にちょっと素敵な夜を過ごしていただきたいという想いから開発された日本のクラフト酒チョコレートブランドです。これまでに、第1弾〈KOMAGATAKE〉、第2弾〈YAKU SHI MA〉、第3弾〈AKKESHI〉の3シリーズを展開しています。日本でクラフトウィスキーを作られている酒造様とコラボして、その地域の魅力もサイトなどで紹介しながら商品を販売しています。
――YOIYOのプロジェクトは、どういった背景や発案から始まったのですか?
森さん:まずここ数年間、洋酒チョコレートが市場的に伸びているという背景がありました。さらにEC市場も大きく注目されてきているという前提があって、ロッテとしてEC専用のお酒チョコレートを作りたいというアイデアは以前からあったんです。コロナを機にお客様の生活やニーズ変化が大きくなり、具体的に動いていきました。時期は昨年の7月ごろにプロジェクトが発足しました。
――昨年の7月にスタートしてローンチが今年2月となると、すごく急ピッチで進められたんですね…!
森さん:そうですね。でもプロジェクト発足の前からアイデアやロッテが持っている洋酒チョコレートの技術があったので、スタート後の半年間はエンジンかけてとにかく形にしていきました。
――洋酒チョコでEC販売というカタチが決まった後、商品のコンセプトはどのように考えていったのですか?
ロッテデザイン企画課 山本萌子さん(以下、山本さん):まず、アイデア出しのためにプロジェクトメンバー以外も集めたワークショップを開催しました。普段開発には携わらない分野のマーケティングや研究、パッケージ、デジタルの担当も集めて、みんなでどういうチョコだったらいいかを何度もディスカッションした時に、「日本を再発見する」というキーワードが出てきたんです。コロナの感染拡大が広がりワークショップ中は自粛期間だったので、こんな時こそ日本の知らない土地や魅力を再発見して伝えていこうみたいな、そういう考えが生まれてきました。
絵葉書をイメージしたパッケージデザイン
――YOIYOは全国各地の酒造とコラボして、その土地の風景をそのままパッケージに落とし込んだデザインを採用していますよね。やはりそこにも「日本再発見」のこだわりが?
森さん:はい。根幹にある日本の魅力を再発見して届ける、そのメタファーとして絵葉書のようなものが作れればという発想がありました。チョコのシズル感を前面に出したものなども考えられるのですが、やっぱりその土地の魅力が一番大事になってくるので、大枠のイメージは絵葉書の案で進んでいきました。
山本さん:最終的に写真を大きく配置するデザインになりましたが、実はイラストで表現する案もあったんです。でもやっぱり写真の方がその土地の空気感がダイレクトに伝わりますし、毎回こういうきれいな写真が届くとチョコレートもよりおいしく楽しく食べていただけるかなって。なので最終的に写真を選んで、せっかくなら目一杯伝えたいなということで風景を全面に使用したデザインにしました。
森さん:現在4個セット・10個セット・食べ比べセットの3つの商品ラインナップなのですが、パッケージから様々な景色を楽しんでいただけたらと思い、同一商品に複数の写真を採用する形で作っています。ありがたいことに「パッケージをコレクションしています!」という声をいただくこともありますね。
――綺麗な写真ばかりなので食べた後もとっておきたくなる気持ち、わかります。ただ、実際にこのデザインをやろうと思うと難しい部分もあるかと思いますが、どうでしたか?
山本さん:普通チョコレートのパッケージだと、まずチョコのシズルを入れてどうおいしそうに見せるかみたいなところを考えていくのが定番なんですけど、YOIYOに関してはECで販売するので、おいしさやシズル感はWebサイトで伝えるようにしました。なのでパッケージはYOIYOの世界観で作ることができましたね。こういった条件が揃っていたので、写真を押し出すデザインに仕上げることができました。実際に現地に行くと土地によって全然違う絵が撮れてお酒の個性とともに見えてくるので、写真で伝えるのは合っていると思っています。
森さん:もし店頭で販売するという前提で見ると、攻めているデザインだと思うんですよ。でもサイトに情報を載せられるので、チャレンジしていこうとなりました。ここまで振り切った商品は、ロッテ商品の中では初めてですけどね(笑)
ロッテが持つ洋酒チョコレートの知見を生かした、新商品作り。
――ロッテさんはすでにラミーやバッカスといった洋酒チョコレートを販売されていますが、YOIYOとその商品の違いはどこでしょうか?
森さん:私の感覚ですが、ラミーやバッカスの味は主従関係で言うとまずチョコレートを楽しんでいただいて、アクセントとしてお酒が効いているイメージです。YOIYOは日本のクラフト酒を使用しているので、お酒の風味や深い味わいをしっかり堪能していただけるようなバランスで作っています。口に入れてお酒の香りを感じて、途中でチョコレートが少しとろけてきて、口の中で2つが混ざり合う。立ち上がりと中間と最後の余韻、この時間を味わっていただくことで、ゆったり夜を過ごすのにちょうどいいような、一粒で複数楽しめるような部分を意識してアウトプットしました。
ターゲットとしては、多くのお客様向けのラミーやバッカスに対して、YOIYOは食へのこだわりだったり、ちょっとした知識欲であったりがある方をイメージしています。商品の価値観や、素材の周りにある魅力に共感していただけるような方々に届けていきたいです。
――以前YOIYOを食べた時に、お酒の味をダイレクトに感じてとっても美味しかったです。中身のお酒の種類はどのよう決めていったのでしょうか?
森さん:まずお酒の選定はYOIYOのコンセプトに重なるよう “地域に根差したお酒造り”をしている酒造様に魅力を感じています。クラフトならではのその土地の個性を生かしたお酒造りをされているところを調べてアプローチしました。同じ銘柄でも樽によって味が違ったりもするので、うちの品質担当者が実際に蒸溜所に行って樽選びから始めたり。
――しっかりテイスティングして、微妙な味の違いにもこだわっているのですね。そのお酒を包むチョコレートはどのように作り上げていったのですか?
森さん:ロッテは今までにラミーやバッカスといった洋酒チョコレート開発の経験値があるので、お酒に合う基本的なチョコレートのレシピはすでにありました。それをベースにお酒との相性やアルコール度数などを検討したり、酒造様と一緒にちょっとずつ調整していきます。お酒のスペシャリストは酒造様ですけれど、ロッテもラミーやバッカスを作ってきた洋酒チョコのスペシャリストとして、信頼関係を築きながらコミュニケーションをとっていただけたと思っています。
――企画始動から約半年後の発売というスピーディな動きは、今までの経験があってこそだったのですね。ちなみに今年2月に発売した第一弾商品はいつ駒ヶ岳に決定したのですか?
山本さん:駒ヶ岳で本決定したのは昨年の11~12月ごろだったと思います。通常の店頭販売商品だと準備や商談などのプロセスがかなり必要なのですが、オンライン販売ならではのスピード感を持ちながら仕上げました。
サイト上で裏話も掲載。お酒好きやチョコレートファンからの反応は?
――パッケージにもチョコレートにもYOIYOの価値観が色濃く反映されていることがわかりました。ブランドサイトにも、この商品ならではのコンテンツを展開しているそうですね。
森さん:はい。製品の裏トークのようなこぼれ話もぜひ味わっていただけたらと思い、サイト内で「YOIYOノート」というページを作っています。発売後すぐにはなかったのですが、お酒のことやこだわりをしっかりお伝えすることでより深くファンになっていただきたいという気持ちから開設しました。こういった話を読むと、自分も一緒に参加している、作っているみたいな感覚を持っていただけるんじゃないかなと。そんな楽しみ方もしていただけたら嬉しいですね。
――商品の背景を知ることでより旅気分や再発見を得られそうですよね。発売後の反応はいかがでしたか?
森さん:販売面ではうれしいことにロッテのオンラインショップのランキングで上位にランクインしています。
さらにアンケートやレビューでお客様の声を見ていくと、すごく熱い反応をいただくことが多々ありまして。他の商品ではあまりないのですが、YOIYOは3〜4行くらいぎっしり書いていただいていて(笑)サイトなどで発信している言葉をしっかり読んでいただいた、理解度が高く熱量のある文章が多いなという印象がありますね。
――やはりチョコレートやお酒好きな方からのコメントが多いのでしょうか?
森さん:そうですね。チョコ好きの方だと傾向としてはラミーやバッカスを入り口に興味を持ってくださる方が比較的多いです。また、本格的に各地の銘酒を飲まれているお酒ファンの方からYOIYOのコラボ先を見て「このお酒を使って来たか!」と、セレクトの妙に感心してくださるような声もありますね。そういったお酒をきっかけに、「ロッテの商品なら安心して買える」と実際に購入してくださることもありました。
――作り手の熱い想いやこだわりがお客様にも伝わっているのだと思います。最後に、今後の展開や思い描いていることはありますか?
森さん:まず引き続き新しい酒造様とコラボして商品を発表していきたいなと思っています。また、ファンの方々とコミュニケーションを取れるようなイベントも開催したいと考えています。そして商品の周りにある価値をもっとお伝えできるようなブランドをこれからも目指していきたいですね。まだまだ立ち上げて1年足らずなので、あれもこれもやりたいことはあるんですけど、ちょっとずつアウトプットしてお客様にくつろげる夜の時間を提案していきたいなと思います。
ロッテの信頼と洋酒チョコレートのノウハウがあったからこそ、このコロナ渦においても新しい取り組みを素早く実現出来たのだとお話しを聞いて感じました。商品そのものやパッケージ、発信の仕方など、“地域の魅力を届ける”というコンセプトがブレずに一貫している強さもYOIYOが支持される理由のひとつですね。
YOIYOについてもっと知りたい!という方は、ぜひブランドサイトを覗いてみてください。最新作でコラボした厚岸蒸溜所の所長さんとロッテの研究所所長さんが語る、熱いスペシャルトークも必見ですよ。
お話を堪能した後は、素敵な夜のお供にYOIYOを手にとってみてはいかがでしょうか。
YOIYO
HP:https://www.lotte.co.jp/products/brand/yoiyo/
オンラインショップ:
YOIYO<AKKESHI>4個セット
https://lotte-shop.jp/shop/g/g105546/
YOIYO<AKKESHI>10個セット
https://lotte-shop.jp/shop/g/g105545/
12月14日より第4弾「YOIYO<AKKESHI>立冬」を発売しています。
第4弾のお酒は第3弾同様、国内外から注目される、厚岸蒸溜所(北海道)でつくられた「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立冬」を使用。
黒糖やフルーツバスケットのような甘さ、香りを感じさせる「ウイスキー」と、口どけなめらかな「チョコ」のマリアージュをご堪能ください。
10個セット https://lotte-shop.jp/shop/g/g105686/
4個セット https://lotte-shop.jp/shop/g/g105687/
3弾、4弾セット https://lotte-shop.jp/shop/g/g105688/
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