DESIGN クリエイティブなモノ・コト
週末読みたい本『作字作法 日本語文字デザインの思考とプロセス』

こんにちは。haconiwa編集部のさんどです。
本日は、『作字作法 日本語文字デザインの思考とプロセス』をご紹介します。日本語文字デザインにおける最前線で活躍するデザイナー17名にインタビューを行い、デザインのプロセスに迫る、文字好きの方にぜひ呼んでいただきたい一冊です!
業界の最前線で活躍するデザイナー17名の、日本語文字デザインの制作方法を取材
佐々木俊、三重野龍、小林一毅など気鋭のデザイナー17名へのインタビューを通して彼らのデザインがどのように発想されているのか、どのように制作されているのかを解説した本書。実は、以前haconiwaでも紹介した『作字百景 ニュー日本もじデザイン』の姉妹編となっています。
『作字百景』はデザイナーによって制作された様々な日本語文字デザインを作品集のように紹介するものでしたが、この『作字作法』はデザインの思考やプロセスに迫るもので、実際の文字デザインが生まれるまでの過程を見ることができるのが見どころになっています。
佐々木俊さんのページでは、詩人・最果タヒさんの短編集『パパララレレルル』の表紙や収録されている26編のタイトルデザインについて語られています。
その中の一編「青よ空か火か」のIllustratorでの制作画面からは、綺麗に揃えられた真っ直ぐな線を、予定調和を壊すように崩しながら形作っていく佐々木さんのデザイン手法を見ることができます。
POPEYE WebのTODOカレンダーのデザインも手がける鈴木哲生さんのページでは、毎年発行しているカレンダーの日付のレタリングが紹介されています。「無国籍・無時代な印象にしたい」という言葉の通り、多種多様で個性豊かな表現がとても楽しい鈴木さんのデザイン。その発想の元や、手書きラフによる試行錯誤が見られます。
葛飾出身さんは、Twitterでタイポグラフィを幹とする動画作品「今日の日記」を投稿しています。ご自身が「レトロフューチャー的」と語るように、ノスタルジックなフォントや古い映像を思わせる粒子感がかっこいい。
紙面では、それぞれの日記について一言コメントでデザインの意図や試みが語られているので、それを読みながら是非実際の動画も見ていただきたいです。
こちらは、nipponiaの山田和寛さんが手がけた北村みなみさんのコミック『グッバイ・ハロー・ワールド』のページ。ラフスケッチからデジタルに起こし、イラストと組み合わせるまでの過程が紹介されています。イラストと文字の組み合わせでは「絵と文字を馴染ませる方法」と「絵と文字をそれぞれ主張させる方法」があり、山田さんのページではその両方の事例が紹介されているので比較してみてください。『グッバイ・ハロー・ワールド』は前者の方で、絵が入るためのヌケがあらかじめつくられているそうです!
本書表紙のデザインプロセスも紹介!
また山田さんは『作字百景』に続き本書の表紙も手がけています。
台湾の市街地にある太い楷書のステンシル文字をイメージしているそうで、その制作プロセスも紹介されていますよ。
コンクリートの壁にスプレーを吹きつけたような表紙の独特な光沢や質感がかっこいいので、手に取って確認してみてくださいね。
デザイナーの作字プロセスを解説した『作字作法』。
デジタルのみで仕上げたり、手描きのラフから作り上げていったりとデザイナーによって制作方法が全く異なり、それがデザインの個性となっているところがとても面白いな〜と感じました!
発行元:グラフィック社(2021/10/25)
編者:グラフィック社編集部
デザイン:山田和寛、佐々木英子(nipponia)
編集:室賀清徳(グラフィック社)
定価:本体2,400円+税
ISBN:978-4-7661-3574-9 C3071
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