DESIGN クリエイティブなモノ・コト
週末読みたい本『世界を変えるイノベーションデザイン ビジネス誌ファストカンパニーが選んだ革新的事例』

こんにちは。haconiwa編集部 モリサワです。
今回は、多彩なビジュアルでクリエイティブなプロセスをたどることができる『世界を変えるイノベーションデザイン ビジネス誌ファストカンパニーが選んだ革新的事例』をご紹介します。
「ファストカンパニー」が25年分の記事から厳選した、80本の記事を紹介。
1995 年にアメリカで創刊された「ファストカンパニー」は、注目すべきデザイン、テクノロジー、ビジネスの事例について革新的な取材を続けているビジネス誌。現在ではTwitterのフォロワー数が約240万人という人気のメディアです。
本書では、そんなファストカンパニー誌に掲載された25年分の記事の中から80本をピックアップ。シリコンバレー、家庭用プロダクト、ブランディング、都市と建築、小売り、環境・社会問題の6つのカテゴリーに分類し、ビジネスにおけるデザインの意義に触れていきます。デザインとテクノロジーを活用して、これからの激変していく社会を生き抜くためのヒントが見つかる1冊になっています。



記事では、従来にないアプローチでビジネスを展開している企業や画期的なアイデアを実現した、建築家、デザイナーへの綿密な取材を通じて、革新的な事例の数々をリアルに掲載。環境問題、社会問題、人種やジェンダー、感染症対策など、現代社会が避けては通れない課題も積極的に取り上げ、グローバルな視点で解説されていきます。
ひとくちに25年分から選りすぐった記事といっても、まったく古さを感じさせないサステナブルなデザインが多いことに気づかされます。執筆者や取り上げる課題もさまざまなので、ひとつひとつ時間をかけて読んでみたくなる内容になっています。
身近な内容で気になったのは、「スターバックスロゴに秘められたトリック」。2011年に人魚イラストと英文の社名が囲んだロゴを改訂するための取り組みについてエピソードが書かれていました。
新デザインは、まず初めに社名と人魚をトリミングし、顔をクローズアップする大胆な案が考えだされたのだそう。その後も「人魚の顔が整いすぎでは?」という課題に開発チームがたどり着いた答えは、人魚の顔立ちをあえて左右非対称にすること。向かって右側は左より陰影が深いのだそう。
ピクセル単位を改善することで、表情の冷たさも消え、ほどよい人間味を感じるだけではなく、ロゴマークを模範しにくい機能を備えることができたのだそう。頻繁に目にしていたロゴマークですが、デザインのアイデアでいろいろな効果がもたらされるとは驚きますね。
リサイクル製品や3Dプリンターで製作されたプロダクトなど、革新的な実例の数々。
この本の中では、多くのデザイナーやエンジニアは、企業の枠を超えた社会貢献活動をしていることも伺えます。アディダスの100%リサイクル可能な素材で作られたシューズや個人の生体情報を元に3D プリンターで製作された簡単に操作ができる車いす、コンテナを利用したオープンソースのCOVID-19の処置室など、これからの社会を良くするためのデザインと仕組みも多数紹介されています。



このように本書でたくさんの事例を読んでいると、デザインとビジネスは、社会、文化、環境、政治などと密接な関係があり、相互的な作用を持っていることもよくわかります。自身の知識として取り入れたり、チームでアイデアを掘り下げる時の参考にしたりと幅広く活用できそうです。
デザインの思考の問題点に触れながら、テクノロジーとデザインで革新的なアイデアを紹介している「世界を変えるイノベーションデザイン ビジネス誌ファストカンパニーが選んだ革新的事例」。
週末のお供に、もうすぐやってくる大型連休にじっくり読む本として、ぜひ手に取ってみてくださいね~!
発行元:ビー・エヌ・エヌ
著者:ファストカンパニー 、 ステファニー・メータ
著者その他:デビー・ミルマン
翻訳:道添 進
デザイン:中山 正成
仕様:B5判変型/256ページ
定価:本体2,600円+税
ISBN:978-4802512336
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