DESIGN クリエイティブなモノ・コト
週末読みたい本『おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる:地域×デザインの実践』

こんにちは。haconiwa編集部 モリサワです。
今回は、『おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる:地域×デザインの実践』をご紹介します。デザイナーのみならず、地方への移住や2拠点生活を考えられている方にも参考となる1冊です。
全国各地21人のデザイナーが自ら書いた、地域をおもしろくする工夫を紹介!
「地域に根ざしたデザイナー」と聞いて、みなさんはどんな働き方をイメージしますか?デザイナーといってもパッケージデザイナーやグラフィックデザイナーなどデザイン制作する領域はさまざま。
本書は、従来のデザインの枠を超え、人、歴史、産品、土地、自然といった、その土地だからできる新しいストーリーを生み出し、わずかな予算、想定外の作業、地域の付き合い…。そんな状況をおもしろがる21人の体験をもとに、それぞれ異なる視点から、デザイナー自身の言葉で書き下ろされた珍しい実践本。
プロジェクトのデザイン例だけではなく、彼らがデザインの仕事を始めたきっかけや姿勢、生活の実態、地域と関わる理由など、「地域×デザイン」の今がわかる1冊になっています。
本書では、たっぷりの写真と文章でデザイナーからのメッセージ、活動の遍歴などが紹介されています。それぞれのタイトルページを開くと、ご本人の直筆で「題字」と「会社名・名前」が書かれています。
使っているペンや字の大きさ、レイアウトまで、各デザイナーさんの個性が溢れているので、ついつい細かいところまで注視してしまいます。拠点の下にはハッシュタグでキーワードとなる気になる単語も掲載されていて、このワードからいったいどんな内容が書かれているのかが気になります~。
この章に書かれている吉野敏充デザイン事務所代表の吉野さんは、山形県新庄市生まれ。東京でデザイン専門学校卒業後、仕事をしているときに、地方の農家出身者が都心で働きながら野菜を売るプロジェクト「継がなくてごめんなさい」に出会ったそう。そのキャッチーコピーに惹かれ、なんと翌週には実家から野菜を送ってもらい販売することに。
地元のことを聞き、知ることで次第に売れるようになり、2010年に帰郷。今では様々な案件のクリエイティブディレクションを手掛けながら、地域の伝承野菜(在来野菜)や工芸品を後世に繋いで行くプロジェクトの企画・運営も手掛けているのだそう。
「あの時、屋号が決まった」というミニコラムも企業名や活動立ち上げのエピソードが垣間見れて面白い~。
このように各デザイナーの「この地域で仕事をはじめたきっかけ」から、「仕事の全体像」、「実際のプロジェクト」、「仕事・生活の実際」、「地域でデザイナーをするということ」などブロックごとに生きた内容が綴られています。
北は北海道から南は九州まで、デザイナー自身のそれぞれ異なる視点からターニングポイントや地域との向き合い方、工夫した点が本音で書かれているところも本書の魅力といえそうです。


他にも、熊本地震に関心を持ってもらうためにブルーシートを「ブルーシード(復興のたね)」に見立てトートバックに作り替えた「BLUE SEED BAG」や以前haconiwaでも紹介した奈良の吉野の木でつくられた石のような積み木「tumi-isi」のプロジェクトの写真なども掲載されていましたよ~。
巻末の「本書の装丁製作にあたって」では、本書の著者で装丁も担当した吉田勝信さんの工房で行われたワークショップの模様も紹介。
編集者・著者の「きっかけ」となった、植物、乾物、プロジェクトの機材などが各フィールドから集められたそう。それを箔押し機でプレス。表紙として印刷されていく様子も写真で掲載されています。どんなアイテムがチョイスされたのかは、表紙を確認してみてくださいね~。
地域デザイナー21人のリアルな実践エピソードが満載の「おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる:地域×デザインの実践」。じっくり読み進めていくと、生活の中で前向きなれるヒントがもらえます。この本の関連トークイベントも各地で随時行われる予定。気になる方は「まち座」のWEBページもあわせてチェックしてみてくださいね~!
発行元:学芸出版社
編・著者:新山直広・坂本 大祐
著者:小林 新也・迫 一成・古庄 悠泰・稲波 伸行・福田 まや・吉田 勝信・佐藤 哲也・長谷川 和俊・羽田 純・吉野 敏充・佐藤 かつあき
今尾 真也・小板橋 基希・安田 陽子・土屋 誠・堀内 康広・タケムラ ナオヤ・森脇 碌・中西 拓郎装丁:吉田 勝信(吉勝制作所)
誌面デザイン:村谷 知華(TSUGI)
仕様:四六判/192ページ
定価:2,400円+税
ISBN:978-4761528102
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