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デザイナーに聞く!推しフォント 10選 【欧文編】

デザイナーに聞く!推しフォント 10選 【欧文編】

こんにちは、haconiwa編集部です。
印刷物やWEBなどをデザインする上で重要な文字のフォント。フォーマルで硬い雰囲気のものから可愛いデザインのものまで、伝えたいイメージに合わせてさまざまな種類があります。お仕事や制作でフォントを選ぶ際に、どれを使おうか迷ったことがある方も多いのではないでしょうか?

そこで本日はhaconiwa creatorsに参加するグラフィックデザイナー6名の「推しフォント」を調査ました!今回は文字の先端に飾りがあることが特徴の「セリフ体」、先端に装飾がなく線の太さほぼ均一な「サンセリフ体」に分けて欧文フォントをご紹介します。
推しポイントや実際に制作した事例も回答いただいたので、ぜひフォント選びの参考にしてみてください。

●セリフ体

【Mac標準搭載】Optima (オプティマ)

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「Optima」は、ドイツの書体デザイナーヘルマン・ツァップによって制作されたサンセリフの欧文書体。ツァップが1950年にイタリアのサンタ・クローチェでみかけた碑文にインスパイアされ、制作したと言われています。他の多くのサンセリフ体とは異なり、縦線と横線の太さに強弱があります。そのため、エレガントさとシンプルさを兼ね備えた美しいフォルムが特徴です。

グラフィックデザイナー
廣﨑遼太朗さん
 @ryotarohirosaki

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僕の一押しは「Optima」です。セリフはないけど抑揚のある、セリフ体とサンセリフ体の間のようなちょうどいいデザインで、替えの効かない書体だと思ってます。
商品ロゴなどをデザインしていると、セリフ体だと単調すぎたり、安っぽく感じる。サンセリフだと固すぎたり、エレガントになりすぎたりする時が結構あります。そういう時にOptimaを使うと、程よい品質感をもたらしてくれます。個人的にはモダンなグラフィックと合わせるのも好きです。

BODONI original(ボドニ オリジナル)

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「Bodoni」は18世紀のイタリア・パルマの印刷者ジャンバティスタ・ボドニが製作したモダンローマンです。縦線が太く、セリフがシャープなことが特徴で、金属活字の時代から親しまれる歴史の長い書体です。

デザイナー
千星健夫さん(NECKTIE design office)
 @necktie_design_office

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僕の推しフォントはbodoniのオリジナル版です。ボドニ氏は印刷するごとに気に入らない活字はカットしなおしたり、1つのサイズで字幅、ウェイト、エックスハイトが違うものを14種類もつくったりと妥協を許さない印刷者でした。オリジナルを見てしまうと、現在デジタル化されているbodoniはほとんどが劣化コピーだなぁなんて思い知らされます。

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特にこのイタリックはため息がでる美しさです。ごはん何杯でもいけるので、ぜひ実物を見てみていただきたいです。

Centaur(セントール)

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デザイナー
千星健夫さん(NECKTIE design office)
 @necktie_design_office

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ブルース・ロジャースがニコラ・ジェンソンの活字を復刻したヴィネツィアンローマン。デジタル版もとてもよく使う大好きなフォントです。長いアセンダーとディセンダー、細さと繊細さ、クラシックな雰囲気が他では出せない魅力だと思います。

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金属活字のものがどうしてもほしくてアメリカから輸入して購入しました。写真はその金属活字で印刷したポスターです。

Perpetua(パーペチュア)

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世界的フォントベンダーMonotype社の欧文フォント「Perpetua」。伸びやかでゆったりとしたデザインが特徴的です。書体はItalicとTitlingがあり、ウェイトはRomanとBoldを展開しています。

アートディレクター/イラストレーター
ウラシマ・リーさん
 @urashimalee

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イギリスの工芸家エリック・ギル氏制作のフォントです。優等生になりがちなトラディショナルローマン体ですが、Perpetuaはどこかコケティッシュな魅力があります。ギル氏のもうひとつの代表作GillSansとの相性が良く、組み合わせても使えます。
ちなみに私の作品集の表紙や名刺に記載している「urashimalee」の文字組はperpetuaをベースに制作しています。

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Sabon(サボン)

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ドイツの書体デザイナーヤン・チヒョルトによって制作された「Sabon」。やわらかくも品がありエレガントな雰囲気をまとう書体です。

アートディレクター/イラストレーター
ウラシマ・リーさん
 @urashimalee

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先ほど紹介した「Perpetua」が妹だとしたら、「Sabon」はお姉さんのようなイメージです。優雅だけど引き締まっていて、特に詩などの短文に使ったときの美しさは一番じゃないかなと思います。大文字で組んでもデコラティブにならず、涼しい顔です。タイトルはもちろん、本文でもよく使われる書体です。

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和装鞄の「tatsumi」さんが開始した新サービスのロゴ制作を担当した際に「Sabon」を使用しました。羽ばたく鳥をイメージしたマークイラストレーションも制作しています。

【Mac標準搭載】Zapfino(ツァッフィーノ)

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ドイツのヘルマン・ツァップがデザインしたスクリプト書体です。流れるようなカリグラフィを取り入れたフォントで、羽根のように軽い繊細なタッチが上品さやリラックス感を演出してくれます。

アートディレクター/イラストレーター
ウラシマ・リーさん
 @urashimalee

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ロマン枠として「Zapfino」も推したいです!実は書体作者のツァップ氏の共同開発者であるデビッド氏が、書体の制作中恋人に振られて途中で制作をやめちゃったエピソードがあるそうで。純粋にフォントとしても好きですが、その背景まですべてが愛おしいです。

●サンセリフ体

【Mac標準搭載】Futura(フツラ・フーツラ)

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「Futura」は1923年にドイツの美術学校バウハウスの非常勤講師として勤めたパウル・レナーによって制作されたサンセリフ書体。世界的にも人気の高い定番書体であり、有名ブランドや企業のロゴなどにも使用されています。

アートディレクター/デザイナー
多田明日香さん
@asuka_tada

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欧文を構成するときによく使用するのが「Futura」です。正円のフォルムが特徴的な書体ですが、そのまま使うと可愛らしい印象になってしまう気がして、使用するときはイタリック体を使用しています。

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正円が少し崩れてしまうので本来のFuturaの良さがなくなってしまうのかもしれませんが、その微妙な崩れ具合がニュートラルな雰囲気を作り出してくれるので、自分のブランドのショップカードや、カタログなどでは共通して使用しています。

【Adobe Fonts有】Korolev(コロレフ)

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ロンドンのイラストレーター/タイポグラファーのライアン・ヒューズがデザインしたサンセリフ書体「Korolev」。CondensedとCompressedの2種類の長体、Roundedのバージョンを展開しています。それぞれにThinからHeavyまで5種類の太さがあり、汎用性の高いフォントです。

グラフィックデザイナー
岡口房雄さん 
@fusaof

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使いやすく気にいっている書体です。DINなどにも少し似ていますが、Korolevの「P」「R」のフトコロの大きさや「J」のハライのカットが水平なのと「K」の線が交差するところの処理などが、自分のデザインにはシックリきています。adobe fontに収録されているので、もし他の人にフォーマットのデータを引き継ぐような場合も便利ですね。

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バンド「ポップしなないで」のグッズ「POSHINA AIRLINEフライトタグキーホルダー」を制作したときに使用しました。若干の変形はさせているのですが、ほとんど元のフォントのまま使っています。

Gotham(ゴッサム)

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老舗のフォントメーカーHoefler&Co.が生み出した「Gotham」はジオメトリックなサンセリフフォント。非常に細いものからどっしりとした太いものまで幅広いウェイトとファミリーを展開しています。

アートディレクター/イラストレーター
ウラシマ・リーさん
 @urashimalee

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堂々とした書体デザインで重宝しています。カウンターが広く重心が上下均等なのでフォルムが二頭身に見え、キャラクター的な可愛さもあります。太いウェイトもかっこいいですが、私は特に細いウエイトで組んだ姿がとても好きです。
欧文を細いウエイトで組む場合スイスのサンセリフ書体「Helvetica(ヘルベチカ)」も好きです。どちらを推しに選ぼうか悩みましたが、今回は「Gotham」に軍杯が上がりました!

【Adobe Fonts有】Forma DJR Banner (フォルマディージェーアールバナー)

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マサチューセッツでフォント製作を行うデビット・ジョナサン・ロス(JDR)がデザインしたサンセリフ書体「Forma DJR Banner」。スタイリッシュな綺麗さとニュートラルな印象を兼ね備えていおり、Adobe fontsからアクティベートすることもできます。

グラフィックデザイナー
吉田雅崇さん
 @mzabc

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「Forma DJR Banner」は製品ラベルに打ち込まれていそうな、何とでもとれる使い勝手の良いフラットなフォントです。ディティールの形に小技が効いているので、何かに印刷された結果文字間が潰れたり、テキストとして組んだ時に一部違和感が出たりと…良い意味でデジタルっぽくない良さがあります。
メインとして使うのではなく、グラフィックの添え物的な感じで、無記名性や匿名性、誰かが意図せず打ち込んだような雰囲気を出したい時などにおすすめです。

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5人組ガールズラップユニット「lyrical school」のCDジャケット「Wonderland」で使用しました。架空のチケットの文字周りに「Forma DJR Banner」のBoldを使っています。


定番から少し珍しいものまで、さまざまなフォントが集まりました。みなさんのフォントへの熱い想いも垣間見えましたね。フォント選びに悩んだ際はぜひ参考にしてみてください。

日本語フォントをお探しの方は「デザイナーに聞く!推しフォント 12選 【日本語編】」もおすすめ!

◆メインビジュアル
グラフィックデザイン:廣﨑遼太朗 @ryotarohirosaki
1996年2月27日生まれ
名古屋市立大学 芸術工学研究科 修了
現在はデザイン事務所に勤務しながらイラスト、アートワークの制作をしています。主に花のアートワークがメインです。

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