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煉瓦倉庫の再生までを追った美術館の軌跡『弘前れんが倉庫美術館-記憶を継承する建築-』

こんにちは、haconiwa編集部 mo です。
毎週金曜日にお届けしている「週末読みたい本」のコーナー。本日ご紹介するのは、『弘前れんが倉庫美術館-記憶を継承する建築-』です。
築100年の煉瓦倉庫を現代アートの美術館に甦らせる、再生までの全記録
弘前れんが倉庫美術館は、パリを拠点に国際的に活躍する建築家の田根剛氏が、日本国内で初めて設計を手掛けた美術館です。本書では、田根氏が取り組む「記憶を継承する建築」はどのように行われたのか、その全貌を明らかにします。
田根氏は「改築」ではなく、「延築」という考え方を提案し、始まったこのプロジェクト。弘前の歴史から、煉瓦倉庫の変遷、考古学的なリサーチから導きだされた建築のコンセプト、さらに既存の建物を解体・分析して修復する壮絶な現場の記録が、多くの資料・写真とともに紹介されています。
解体資材も廃棄せずに活用することも設計と考え、かたちを変えて利用。また、新しいれんがは、「ふるさと納税」制度を使って記名れんがを募集し、市民参加の記憶が蓄積されるような仕組みにしたそう。
また、未来への風景を創造したいと、ただ建物を再建するだけでなく、弘前の風景と共に設計された美術館。完成後の美術館と共に、弘前の風景までを紹介しています。
さらに、プログラムの構成や空間の使い方など、弘前から世界へと発信する美術館運営の新たな取り組みにも迫った1冊。日本の古き良き風景が失われる中、未来へ繋ぐ建築とはどのようなものなのか、煉瓦倉庫の再生までを追った美術館の軌跡です。
建築好きな方にも、美術館好きな人にも是非読んでいただきたい1冊です。本書を読んだ後にはきっと弘前れんが倉庫美術館に訪れたくなりますよ。
弘前れんが倉庫美術館-記憶を継承する建築-
出版社:パイインターナショナル
著:田根剛(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)+ 弘前れんが倉庫美術館
価格:本体3,600円+税
仕様:B5判変型、240×175mm、256ページ(フルカラー)
ISBN:978-4-7562-5410-8 C3052
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