こんにちは。haconiwa編集部 モリサワです。
毎週金曜日にお届けしている「週末読みたい本」のコーナー。本日ご紹介するのは『ʼ60s〜ʼ80sのライフスタイルをのぞく レトロ家電デザイン』です。

1960～80年代に登場した、魅力あふれる家電のプロダクトデザイン集！

本書は、オランダのヴィンテージコレクターである、ジェロ・ジーレンスさんのコレクションを基に、1960～80年代という個性豊かな時代に登場した、101点の魅力あふれる家電を収録したプロダクトデザインブック。コーヒーミルや電動ナイフなどのキッチンツールから、ドライヤーやシェーバーなどの洗面所まわりのアイテムまで幅広く収録しています。

掲載されている家電製品は、著者が在住するヨーロッパのものがメイン。「ブラウン」「フィリップス」「AEG」「クルプス」などヨーロッパ企業の製品が、多く登場しているのも特徴的です。1960～80年代という時代背景から、家事や雑用の「時間」と「労力」を軽減するように開発された小型のものを中心に紹介しています。

本編は、1ページ見開きに1つの製品デザインを紹介していく構成になって いるのもポイントです。製品によってはパッケージや広告ビジュアルも紹介されているので、当時の雰囲気を感じると同時に、年代ごとのライフスタイルの変化についても知ることができますよ。

この赤いエスプレッソメーカーは、業務用のマシンを日常使いに簡素化したムリネックスの「カフティエ・エスプレッソ（1975年）」。赤いプラスチックとガラスを組み合わせたエスプレッソカップがなんともかわいい～。別売りのお揃いのカップも追加で購入できたのだそう。ミニチュア版のようでいて、見るからに使勝手が良さそう。レトロな佇まいもたまりませんね。

そして一目みただけで「これは何だろう？」と思ってしまうこちらのアイテムは、ゼネラル・エレクトリックの鏡「ルッキング・グラス（1978年）」。イエローの色使いがとてもポップ！鏡の裏側は拡大強になっていてどちらもライトが丸く点灯する仕組みになっているのだそう。

パッケージをよく見てみると、手鏡以外にも壁にかけたり、カウンターに置いたりと、使い方の図式もされています。商品名の丸くレトロな文字デザインにも注目です。

なんと、日本の有名電気機器ブランドのユニークな家電も登場！

さらにページをめくっていくと、なんと日本の大手電気機器ブランド「ナショナル（＝現・パナソニック）」のユニークな製品も掲載されていましたよ～！

こちらは、ポータブル乾燥機「クロス・ドライヤー（1976年）」。パッケージの広告どおり、さまざまな使い方ができるのが特徴。温風・送風式で温風が当たる部分が可動式になっていて、物干しとしてキッチンクロスが乾かせるのはもちろん、上履きやカーペット、食器乾燥にも使えるという、湿気の多い日本に合ったマルチな使い方が面白い～。

なんとこちらは、ナショナルのかき氷が作れる「アイス・シェーバー（1976年）」 。マンガのロボットのようなデザインがとてもユニーク。かき氷を受け止める器にあわせて高さも調整できるのだとか。ジェロ・ジーレンスさんがこちらをコレクションしていたことを想像しながらポップでキュートなレトロ家電を眺めていると、自然と楽しい気分になってきます。

見ているだけでも楽しい本書ですが、中には、各メーカーの紹介も丁寧に書かれています。企業の創意に取り組む姿勢や家電デザインについてさらに深く知りたい方にもおすすめですよ。

懐かしく個性豊かな製品の数々が堪能できる『ʼ60s～ʼ80sのライフスタイルをのぞく レトロ家電デザイン』。どれも耐久性、品質、イノベーションと優れたデザインの傑作ぞろいです。週末はじっくりプロダクトデザインの世界を堪能してみてはいかがでしょうか。