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約150作品を紹介!今もなお、躍動し続ける魅力に迫る『柚木沙弥郎の100年 創造の軌跡』

約150作品を紹介!今もなお、躍動し続ける魅力に迫る『柚木沙弥郎の100年 創造の軌跡』

こんにちは。haconiwa編集部 モリサワです。
毎週金曜日にお届けしている「週末読みたい本」のコーナー。本日ご紹介するのは2022年9月17日(土)~10月17日(月)に、女子美アートミュージアムで開催された「柚木沙弥郎の100年―創造の軌跡」展で図録として発売された『柚木沙弥郎の100年 創造の軌跡』です。

特徴的なテーマを取り上げながら、柚木さんのアイデアや技法、生き方に触れる1冊。

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1922年・東京に生まれ、今年10月に100歳を迎えられた柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)さん。染色家、工芸家、教育者、デザイナー、アーティストなど、実にマルチで幅広い表現活動を行う柚木さんが、染色の道に進まれたのは、柳宗悦氏の「民藝」と芹沢銈介氏のカレンダーとの出会いから。

その後、数多くの「染布」、「染絵」などの作品を制作しながら、女子美術大学で教鞭(きょうべん)を執り、同時に「女子美術大学工芸科」の設立にも参画されたのだそう。絵本や版画、立体作品にも取り組みながら、約半世紀もの間、染めの教育にも従事。柚木さんのユニークな教え方は、今でも女子美卒業生である多くの女性染色家たちの創作の原点となっているのだそう。

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本書は、そんな柚木作品の特徴的なテーマに触れながら、100年にわたる多彩な生き方と創作、そして現在もなお、躍動し続けるその魅力に迫ります。1950年代から2000年代にかけての「染色」「型染」「ガラス絵」「装幀」などの作品の紹介から、教育者としての一面まで、柚木沙弥郎さんの100年の活動の軌跡を年代ごとにたどる“集大成”ともいえる1冊になっています。

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左:たすき文(1969年)、右:大気(1970年代)
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左:断絶する弧(1984年)、右:らんまん(1986年)

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収録されている作品はどれも色鮮やか。作品に注がれる情熱が、眺めているだけで色と模様から伝わってくるかのようです。「染める+染まる」「女子美工芸 学生とともに」「グラフィック」「自由に、空間に」「再び、“暮らし”へ」と年代順に読み進めていくと、柚木さんの作品は自由で枠にとらわれることなく、表現者として作りたいものに精一杯向き合われていることが分ります。

特に28歳(1950年)から79歳(2001年)まで長きにわたって尽力した女子美工芸での第2幕は、工房風景や色とパターン、技法なども掲載されていて、教育者としての長年の功績や存在の大きさを実感できるので必見です。

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左:エースホテル京都のフォントデザイン(2020年)、右:柚木沙弥郎+エースホテル京都

そして最近のお仕事として掲載されていた、2020年開業の「エースホテル京都」でのアートワークや、IDEEとの最新コラボ商品は、今もなお柔軟な発想と、その完成度に驚かされます!

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「第6幕 創作が生まれるところ」では、貴重な柚木さんのご自宅の様子も掲載。1階の居間から3階のアトリエまで小さな美術館のようなステキな空間を垣間見ることができますよ。

この他にも、柚木さんに関するさまざま方へのインタビューや略年譜、作品リストなどの資料も盛りだくさん。「人生100年」と言われる昨今、柚木さんの作る喜びとパワーから、心に響くヒントがもらえるかも?

柚木沙弥郎さんのファンの方はもちろん、アート好きの方、デザインについて学びたいと思っている方は、ぜひ1度手に取ってみてくださいね~。

柚木沙弥郎の100年 創造の軌跡
発行元:青幻舎
編著:女子美術大学 柚木沙弥郎展実行委員会
装幀・デザイン:吉野愛
仕様:A5並製/224ページ
定価:本体2,500円+税
ISBN:978-4-86152-901-6

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