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紙の専門店「紙の温度」が紹介!185種のディープな紙の世界に触れる『世界の紙と日本の和紙』

紙の専門店「紙の温度」が紹介!185種のディープな紙の世界に触れる『世界の紙と日本の和紙』

こんにちは。haconiwa編集部 モリサワです。
毎週金曜日にお届けしている「週末読みたい本」のコーナー。本日ご紹介するのは『世界の紙と日本の和紙』です。

世界の紙と日本和紙。魅力あふれる紙の世界を、たっぷりの写真と文章で紹介!

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愛知県名古屋市にある紙の専門店「紙の温度」は、「手漉き和紙と世界の紙」や紙製品を約20,000アイテムも品揃える紙の専門店。世界と日本の手作業で作られた紙を中心に、数多くの紙を扱っていることから、世界でも類を見ない“紙の聖地”と呼ばれているお店なのだそう。

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本書は、そんな「紙の温度」が今までに出会ってきた手仕事紙の中から、185種類(87項目)を厳選。魅力あふれる世界の紙と日本の和紙を、美しい写真と文章で多数紹介。紙の生産者と親しく付き合ってきた「紙の温度」だから語れ る、紙の魅力がたっぷり詰まった1冊です。

また、この本の企画・編集は、「デザインのひきだし」の編集長・津田淳子さんが担当されているのだそう。紙好きの方はもちろん、デザインやアート好きの方にもおすすめの内容になっていますよ~。

「紙の温度」ならではの、紙づくりの背景やエピソードが満載!

この本の魅力は、今まで世界や日本の紙がこれほど紹介された内容は珍しいのでは?と思うほど、紙好きの方もなかなか知らないようなエピソードが満載なところ。紙の生産者と直接交わりを持ち、厚い信頼を得ている「紙の温度」ならではの、紙についての詳しい解説を写真家・井上佐由紀さんの美しい紙の写真とともに読み進めることができます。

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こちらは、植物を見たらなんでも紙に漉(す)きたくなるという、三宅賢三さんの「竹紙(ちくし)」(日本・京都)。原料である竹の熟成期間と厚みに違いのある竹紙が並んでいます。

牧場でカウボーイ兼、紙漉きの生活をしている三宅さんが竹に着目したのは、牧場の周辺に多く生息する“竹”。この竹を使うことで原材料がそれほどかからないのでは?と考えたのだそう。三宅さんの紙漉きの師匠も竹の紙を漉いていたことを思い出し、紙漉きに使用する竹と向き合うことで根気よく試行錯誤を繰り返しました。

100枚漉いても98枚は破れていたという、薄い竹の紙。研究者肌である三宅さんは「熟成」という工程にも着目。日付や原料、煮熟材、繊維に柔軟性を与え絡みやすくするために、切りほぐしたり押しつぶしたりする叩解(こうかい)、熟成期間と、あらゆることに変化を加えて挑戦。細かく記録をしていったのだそう。すごい情熱ですよね。紙の温度では、そんな三宅さんの竹紙ばかりを28種類集めた「見本帳」も作成したことがあるそうですよ~。

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三宅さんは竹の他にも、オニバシリ、ミョウガ、ガマ、藤、チガヤなど周辺に自生するさまざまな植物を紙漉きに採用。「紙漉きがやりたくない紙は自分で漉く」という、三宅さんの研究心には頭がさがります。

本編では、このように作り手が、どのような工程で作っているかなども写真で分かりやすく解説されています。この紙はこんな風に出来上がっていくんだ!と、新鮮に感じるものもたくさん掲載されていますよ。

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工房の目の前にある花畑で朝摘んだ花を入れた「手漉きフルールペーパー」(フランス)
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左:ペーパーの語源となった「パピルス」(エジプト)、右:見る人を魅了する「金の繭の紙」(インドネシア)
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雪深い地域ならではの「藍絞り染め紙、紅花漉込紙 月山和紙」(日本・山形)

実例をみていると、日本だけではなく、世界にはこんなにいろいろな紙があるんだなぁ~と驚くばかり。紙づくりをされている方の挑戦やアーティスト性なども伝わってきて、実際にその紙を手にとってみたくなってしまいます。

ドイツ・ホイルペーパーの実物やコラムも掲載。

本編以外にもこの本には楽しい企画やコラムが満載。
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本編の合間には、紙の温度のスタッフさんが先生と仰ぐ「紙のことならなんでも教えてくれる人 植物を愛する宍倉佐敏さんのこと」や、巻末には、紙の温度について「こんなに素敵なお店はどのように生まれたか」などのコラムも掲載。

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扉部分には、なんと、本の中で紹介されているホイルペーパーの実物も綴じこまれていましたよ!サプライズ感が楽しい~。全部で8種類のペーパーバージョンから1種類が入っているそうなので、じっくり見て、触って堪能してみてくださいね。

ひとつひとつの紙づくりの背景がとても楽しい 『世界の紙と日本の和紙』。週末はぜひ、奥深い紙の世界を味わってみてはいかがでしょう。

「紙の温度」が出会った 世界の紙と日本の和紙

発行元:グラフィック社
著者:紙の温度株式会社
文:鈴木里子
紙の写真:井上佐由紀
ブックデザイン: 中西要介、根津小春(STUUDIO PT.)、寺脇裕子
企画・編集:津田淳子(グラフィック社)
仕様:A5並製/192ページ
定価:2,530円(税込)
ISBN:978-4-7661-3671-5

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