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雑貨好きなら絶対おすすめ!「雑貨展」をレポート
「雑貨」という美学に焦点を当て、ともにその魅力を語り合う展示会
こんにちは、箱庭の森です。
今日は気になる展示をレポート!
2016年2月26日から21_21 DESIGN SIGHTで開催中の企画展「雑貨展」のプレスプレビューに参加してきましたので、そちらの模様をお届けします。
「雑貨」の放つ魅力を探りたい!その想いが企画展の原点
まずは、なぜ今回「雑貨」をテーマにしたのか?
その理由を、テーマ発案者でもあり展覧会ディレクターの深澤直人さんから。(写真右)
「デザインやアート、工芸、民藝、色々なカテゴリがある中で、新たに『雑貨』というカテゴリが登場したと思っています。
その『雑貨』がかなり魅力を放っていて、私達を強く惹きつけている。
その魅力は、なんなのか?それを探りたい。そんなところから始まった企画展です。」
確かに「雑貨」と聞いて食いつかない女性はあまり見たことがないですよね。
みんな「雑貨」が好きですし、「雑貨店」も大好き!
でも、あらためて「雑貨」のもつ魅力や「雑貨」そのものについて深く考えたことってありますか?
企画構成を手がける前村達也さんは、こう話します。(写真左)
「深澤さんから『雑貨』で展覧会をしようとふられてから、色々な方に『雑貨』って何だろうと聞いて、『雑貨』の定義づけからはじめようとしました。
でも、定義が非常に難しい。そこで、『雑』という字をまず考えたんです。
『雑』という字には、『分類できないもの』『多様に入り混じったもの』という意味があります。
展示作品でもある『雑』という言葉を含む二字熟語を集めた雑マンダラの中にもあるのですが、たとえば『雑煮』。それぞれ中身は自由に入れますよね。
そういう風に『雑』は、くっきり線を引いてカテゴライズしない、曖昧な境界として使われる便利な言葉です。
ですので、最初はひとつひとつのモノを『雑貨』なのかどうなのかを調べていたんですが、どうやらそうではない。モノが集まった時の集合体、それが『雑貨』なんじゃないかなと。そういう主旨のもと、展覧会を構成しました。」
※写真は展示作品「雑マンダラ」。「雑」という言葉を含む二字熟語から日本独特の文化や感性を伝えています。
「雑貨」に改めて目を向けてみると見えてきた「雑貨」という存在。
「雑貨展」は、深澤さんいわく”これ以上集めようとしても集まらない物量の雑貨”を見ながら、私達の生活に欠かすことのない「雑貨」の魅力を再発見できる展覧会です。
それでは展覧会の様子を一部ご紹介します。
日本の歴史や文化的背景を通して「雑貨」を読み解く
まず最初に目に飛び込んでくるのが、荷車に大量の雑貨を積みこんだダイナミックな迫力あるこの展示。
明治時代に、ホウキやカゴなど生活必需品としての雑貨を売り歩く「行商」の姿を、現代の日用品で再現したものです。
本展のイントロダクションでは、捉えどころのない「雑貨」が、いかに私たちの暮らしに根付いてきたのかを知ることができる展示がいくつか展開されています。
こちらの「雑貨のルーツ」という展示では、新たな外来文化や生活様式を柔軟に受け入れてきたその歴史を紐解き、さまざまなモノに「雑貨」としての価値が見い出された背景を15のキーワードと共に探っています。
色々なものが繋がって、いまの時代の「雑貨」が出来上がっているんですね。
大量の「雑貨」が魅了するギャラリー展示
21_21DESIGN SIGHTの最も大きな展示室、ギャラリー2でまず見ることが出来るのは、展覧会企画チームによる「雑貨展の雑貨」。
深澤さんと展覧会企画チームの視点で選んだ雑貨が、ずらーっと並びます。
自分も愛用しているものだったり、かわいいな~って悶絶するものだったり、これも雑貨なんだね!と思うものまで、本当にいろいろあります。
それが、「雑貨」ということなんでしょうね。
こちらは、ナガオカケンメイさんとD&DEPARTMENTによる「D&DEPARTMENT PROJECTが考えるコンビニエンスストア」。
家にある「必要以上に複数ある使っていない生活用品」を集めてつくったコンビニなんです。
確かに、ライターや電球、ポケットティッシュなど、あ~これ家に2つ以上あるわ!っていう、あるある体験をここでしました。
そして、さまざまな分野のプロフェッショナルな方が、自分たちの世界観や佇まいを感じる雑貨を展示している「12組による雑貨」。
上の写真は、以前記事でもご紹介した、たかはしよしこさんの展示。
たかはしよしこさんのお店「S/S/A/W」をここでそのまま再構築した展示になっていました。
他にも吉祥寺の雑貨店「CINQ」の保里正人さん・ 享子さんの展示だったり、名だたる方々の「雑貨観」が一堂に見れるとっても嬉しい展示です。
森岡書店代表の森岡督行さんの展示は、昭和28年当時の銀座通りを撮影した写真帳「銀座八丁」をもとに、今も現存する店舗から「雑貨」を買い求めてみたというもの。
雑貨店の場所に、ルーペが置いてあるのですが、
どうですか?見えますか?
昔と今が繋がる面白い展示でした。
こちらもとっても面白かった松場登美さんの展示。
古くから紡がれてきた日本の生活文化の中から見つけた雑貨は、「もったいない」「ありがたい」といった日本人の精神性が内包されていたんですよ。
と話す松場さんの展示には、普通ならゴミにしてしまいそうなものから作られた雑貨がたくさん!
この写真、貝殻かと思ったら、パンチで開けた紙屑の山!あまりにもキレイだったから全然分かりませんでしたよ。。
「雑貨」の捉え方は人それぞれ!ここでしか出逢えないユニークな「雑貨」も!
ここからは少しユニークな展示をご紹介。
野本哲平さんの「雑種採集」という展示は、必要にかられて制作されたユーモア溢れる雑種な生活用品を集めたもの。
中でも気になった3つが上の写真です。
写真右上は、長野の70歳のおばあちゃんが制作したというティッシュボックスの小物入れ。エルモアとPALNAPという二つのボックスティッシュの大きさの違いを利用した生活用品なんです。
写真右下は、台東区で見つけたという、寒さよけの自転車ハンドルカバーはお米の袋で出来たもの。
そして衝撃なのが、写真左のタオルかけ。いままで、ラジカセの持ち手を利用しようと考えた人がいたでしょうか??まさかラジカセも逆さになってタオルをかける日が来るとは、思いもしなかったでしょう。笑。
他にも色々ユニークな生活用品が、全部で20アイテム以上並びます。
こちらはオランダの3人組デザイナーの展示「Hook Carpet」。
その国をリサーチして、その国で見つけた素材で制作物をつくってるんだそうです。
今回は、ダイソーのS字フックを約1300個使ってつくられたカーペット!S字フックってとっても日本らしいって思ったんですって。
庶民文化研究家の町田忍さんの展示も釘づけ!
町田さん自身が昭和30年代より集めてきたパッケージなどを一部展示しています。
こんなかわいい崎陽軒の醤油入れがあるかと思えば、こんなものも!
マドラー。
マクドナルドのマドラーには、なんと1971年、銀座三越の1階にできた日本第一号店のマドラーもありました。
(ちょっと分かりづらいですが、写真手前から4つ目のもの)
こうやって展示を見ていると、いろいろなモノが「雑貨」であり、実用的かどうかは別として、私たちのそばにあるだけで、ちょっと心が楽しくなったり、癒されたり。
「雑貨」にはそういう力があるのかもしれないですね。
これだけたくさんの雑貨に囲まれていたら、欲しいものも出てくるのが、本音のところ。
展示と連動する1Fショップスペース「雑貨店」
膨大な物量なので、もちろんすべてが買えるわけではないけれど、1Fにある「雑貨店」では、参加作家・出展者にまつわる雑貨が販売されています。
いつもながら、てぬぐいもかわいい!
このショップは無料で誰でも入ることが出来るので、ちょっと雑貨を探しにくるのもいいですね。
ちなみに今回は、Sumallyとも連動!
本展に展示する一部の雑貨の情報を、ウェブサービスSumally内にて公開。会場から出た後も、オンラインで出展作品をお楽しみいただけます。
[雑貨展公式アカウント] https://sumally.com/ZAKKA
ぜひこちらもチェックしてみてください。
雑貨展は、6月5日まで開催中!
本当にたくさんの雑貨に出会える展示で、心が躍ります。時間をつくって、ぜひ足を運んでみてくださいね~
雑貨展
場所:21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン・ガーデン内)
会期:2016年2月26日(金)- 6月5日(日)
休館日:火曜日(3月15日、5月3日は開館)
開館時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
*4月28日(木)は関連プログラム開催に合わせ、通常19:00閉館のところを特別に22:00まで開館延長します(最終入場は21:30)
入場料:一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
*15名以上は各料金から200円割引
*障害者手帳をお持ちの方と、その付き添いの方1名は無料
その他各種割引についてはご利用案内をご覧ください
主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
Web site:http://www.2121designsight.jp/program/zakka/