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今までにない鉱物世界が楽しめると話題!
鉱物アソビ・フジイキョウコさんの『鉱物Bar』をレポート
鉱石(イシ)をみながら酒をのむ
こんにちは、箱庭編集部の森です。
ここ最近ずっと気になっている鉱物。友達に鉱物が気になると伝えたら、「歳を重ねたからじゃない?」と言われたのですが、いやいやちがうんです!
鉱物の暮らしの中での楽しみ方を提案し、今の鉱物ブームのキッカケとなったのが「鉱物アソビ」です。
箱庭で今年紹介した、自然造形美をテーマにしたお店『ウサギノネドコ』、鉱物ジオラマ作家の『時計荘』さん、ガラス造形作家の『ROUSSEAU』さんら3組の創作のキッカケとなったのも「鉱物アソビ」の本だとか!
今日は、そんな鉱物の世界を身近にしてくれた、パイオニア的存在鉱物アソビ・フジイ キョウコさんの『鉱物Bar』をレポートします。
専門知識をおさえつつも、まずは感じたままに鉱物の美しさそのものを楽しみたい。
(『鉱物Bar』を企画・運営する鉱物アソビ・フジイ キョウコさん)
フジイ キョウコさんは、旅と暮らしをテーマに編集&執筆活動を行う、エディター&ライター。幼少時から、川や海、山で拾った石でポケットをぱんぱんにしていたというほど、無類の鉱物好きです。ただ、鉱物が好きといっても、当時は鉱物趣味の認知が低かったため周りの友達にはなかなか言えず、永い間、秘密の趣味だったんだそう。
大学入学をきっかけに上京し、鉱物標本店やミネラルショーに通う中で、珍しい鉱物種や高価なモノを良しとすることが多い科学的分析や採集を主とする鉱物の楽しみ方に違和感を覚えるように。
「小さくても、ポピュラーな鉱物種でも、かわいいモノはかわいい! 誰もが美しいと感じたままに、もっと自由に鉱物世界を楽めたら。鉱物は植物や動物と同じ自然界の一員。日本ではまだまだマイナーな趣味だけど、鉱物世界という無機質ならではの美しい世界を伝えたい!」そんなフジイさんが、自分と同じように、雑貨や植物を楽しむように鉱物を楽しんでもらいたいと考え、構想・企画・執筆・編集に10年かけたという本が、2008年に刊行した『鉱物アソビ』です。そして、『鉱物アソビ』出版を機に、”鉱石(イシ)をみながら酒をのむ”をテーマにはじめたイベントが、今回私が訪れた『鉱物Bar』なんです。
いろいろな方との化学反応を楽しむ。今年のテーマは錬金術。
(『2016鉱物Bar vol.9』エントランスの展示。今回のテーマを象徴する展示がされています。)
『鉱物Bar』は、毎年、フジイさんが編集・ライターのお仕事をお休みできる8月に開催していて、今年で9回目。東京西荻窪にあるギャラリー「みずのそら」で8月21日まで開催中です。
多彩な鉱物世界を紹介したいと、毎年テーマを変え、鉱物標本をセレクトしているといいます。今年のテーマは「Alchemy ~錬金術~ 結晶が化学反応をおこす夜」。
錬金術というと、なんだか黒魔術的なものをイメージしたりしがちですが、実は錬金術は現代科学のはじまりといわれています。
西洋でいう錬金術というのは、この世のすべては火・水・空気・土(大地)の4つで成り立っていて、その成り立ちを研究し、不老不死の薬をつくったり、卑金属から金などの金属をつくることを目的としたもの。人間の理想のものをいかにつくるか、その研究過程で、薬や蒸留酒を作る技術が発達し、新しい鉱物が発見されたりしたそうです。「鉱物文化の歴史を紐解くうえで、錬金術は欠かせない事柄」とフジイさん。
長年フジイさんがやりたかったというテーマ”錬金術”。錬金術師ゆかりの街であるチェコのプラハにも足を運び、色々な準備が整ったことで、ようやく開催できたテーマです。
(展示会場の様子)
展示会場は、まるで小さな博物館。美しい鉱物がずらーっと並びます。ひとつとして同じものがないから、どれもじっくりひとつずつみて、選びたくなります。
(蛍石)
こちらはすべて蛍石という鉱物だそう。同じ蛍石でも、産地などによって色も全くちがうんですね!
つくられたものではなく、自然でこの色や形のものがあるって、本当に神秘的です。まさに自然のアート。
(展示コーナー)
『鉱物Bar』では、鉱物標本以外にも、鉱物の世界を楽しむためにあったらいいなというモノが展示販売されています。今回は高円寺にある博物系アンティークショップpiikaさんの博物系アンティークや、錬金術でできあがった結晶を彷彿とさせるアクセサリー作家coeur ya.さんの作品が展示販売されています。『鉱物Bar』ということで、錬金術で作られた霊薬エリクサーをイメージしたハーブリキュールのカクテルやハーブティー、鉱物に見立てたお菓子も楽しめます。残念ながら取材時はお菓子は完売していたので、…。また来年を楽しみにしましょう。
「こうやって色々な方とコラボしてつくっている『鉱物Bar』そのものが、錬金術のようだ。」とフジイさんは話します。毎年いろいろな方と化学反応を起こすことで、新しい発見があり、私たちに鉱物の新しい楽しみ方を伝えてくれているんですね。
展示の開催は、8/21(日)まで。残り少ないですが、足を運べる方は一年に一度のこの機会に行ってみてください。
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鉱物Bar vol.9 produced by 鉱物アソビ Alchemy ~錬金術~ 結晶が化学反応をおこす夜
開催日:2016年8月12日(金)〜8月21日(日)
開催時間:15:00~21:00 ※20、21日は20:30まで
開催場所・会場:GALLERY みずのそら
東京都杉並区西荻北5-25-2
入場料:無料
※鉱物Bar予約ナシの飲食は8月19日までとなります。(お菓子販売は、なくなり次第終了です。)
URL:http://www.mizunosora.com/event200.html
そして、展示が間に合わない!遠くて行けない!そんな方は、鉱物の世界を楽しめる鉱物アソビ・フジイ キョウコさんの本がおすすめです。
科学的なことは苦手だけど、石が好きな方は絶対に楽しめる本です。アートやデザインが好きな方もたくさんのインスピレーションが得られる本だと思います。ぜひ読んでみてくださいね~。
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鉱物アソビ 暮らしのなかで愛でる鉱物の愉しみ方(写真右)
フジイ キョウコ(編・著)
A5 144ページ 並製
出版社: スペースシャワーネットワーク
ISBN: 978-4-906700-04-2
価格:¥1,800(税別)
鉱物見タテ図鑑 鉱物アソビの博物学(写真左)
フジイ キョウコ(編・著)
A5 オールカラー 112ページ 並製
出版社: スペースシャワーネットワーク
ISBN: 978-4-86020-434-1
価格:¥1,800(税別)
◆鉱物アソビ・鉱物Bar
公式Twitter:https://twitter.com/KoubutuAsobi
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