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ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2017開催!
6月1日より東京&横浜を舞台に開催される「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2017(以下、SSFF & ASIA)」。今回で19回を迎えるこのイベントは、世界140以上の国と地域から集まった約9,000本の作品の中から、選りすぐりの約250作品を一挙上映するショートフィルムの祭典です。
聞いたことはあるけれど、実際どんなイベントなのか分からないという方も多いのでは?また、ショートフィルムを観たことがないという方もきっといるはず。
今回は、SSFF & ASIAの魅力や楽しみ方を知るべく、フェスティバルアンバサダーのLiLiCoさんにお会いしてきました!
LiLiCoさんに聞く!ショートフィルムの魅力って?
−実は『SSFF & ASIA』という名前は聞いたことがあり、毎年開催されていることは知っていたんですけど、実際に作品を見たことがないんです…。
LiLiCoさん(以下、敬称略):でしょうね(笑)。そういう方は多いと思いますよ。「別所哲也さんがやっている映画祭だよね、今年もやっているんだね〜」くらいで終わっている方が多いと思います。だけど、私がアンバサダーになった以上、それで終わらせたくはないですね。
実は、スウェーデンでは、ショートフィルムが結構人気なんです。いくつかの作品を収録したDVDが販売されているので、私は子どもの頃から見ていたし、サマーキャンプなどで作ることもありました。日本に来て、別所さんに出会ってショートフィルムに触れ合うことができたときは、「懐かしい!また触れ合える!」とうれしくなりましたね。
それからは『SSFF & ASIA』の司会をやらせてもらっていました。いろいろなところでこのフェスティバルを紹介するんですけど、みんな「またこの季節なんだね〜」くらいで実際に観に行く人が少ないんですよ。
—あ、まさに同じ感じです。
LiLiCo:私、楽しい人生と楽しくない人生ってなにが違うかって、「いいな」って思ったものに対して実際に行動できるかどうかだと思うんです。よく「LiLiCoさんってなんでいつも明るく生きられるんですか?」って言われるけど、私「あの人に今日会いたい」と思ったら会いに行くし、食べたいものがあるなら食べに行きますもん。「なんだろう?」と気になったら、「行く」というのがすごく大事。新しいところに行けば、絶対に新しい扉が開きますから。
ショートフィルムは長編映画に負けないくらいすごくたくさんのメッセージが詰まっています。最近はDVDや動画配信サービスが普及したこともあり、映画館に行かないという人も多いみたいですよね。ショートフィルムは短い映画だからこそ、映画を普段観ない方もショートフィルムなら気軽に楽しめると思います。
—なるほど。短い時間だから気軽に楽しめるのはありますね。
LiLiCo:『SSFF & ASIA』開催中はぜひ会場で観て欲しいというのがありますが、一年中ウェブサイトなどでショートフィルムを公開してもいるんですよ。私もさっきネイルをやりながら1本観て、移動の電車でも観てきました。朝1本映画を観たら人生ってすごく変わると思うんです。
あの洋服がかわいかったでもいいし、メッセージがよかったでもいい。長編だろうと、ショートフィルムだろうと、映画って人生に役立つヒントを運んでくれるものだと私は信じているので。でも長さでいったら、気軽に楽しめるのはショートフィルムですよね。1,2分のものもありますから。長くても20分とかですよ。シーンを選ばずに観られるので、もっと気軽に観てもらいたいですよね。
代表の別所哲也さんとアンバサダーを務めるLiLiCoさん
−私は今年はじめに初めてショートフィルムというものをちゃんと見たんですけど、短いけれどその分想像させられたり、余韻があって、すごくメッセージが詰まっているなと感じました。
LiLiCo:やっぱり大きなストーリーを短い時間に詰めているから、短い分、心のディープな部分にすごく入ってくるんですよね。別所さんもよく「映画は長さじゃない」と言っていますが、本当にそうだと思います。だから、なんでみんなあんまり観ないんだろうって思いますね。
国内外約250作品公開!LiLiCoさんの注目作品は?
—国内だけでなく海外の作品も多く上映されるんですよね?
LiLiCo:日本で長編映画は、邦画含めて毎年900本の映画が公開されているけど、日本で公開されない海外作品はたくさんあるんですよ。今回のフェスティバルでは日本・デンマーク外交関係樹立150周年を記念した『デンマーク特集プログラム』もあり、デンマークの映画が注目作品でもあるんですが、デンマークの長編映画なんて毎年1本公開されるか、されないかじゃないですか。トルコやキプロス、それ以外にも「こんな国あるの!?」なんていう国の作品もショートフィルムなら気軽に観ることができます。スウェーデンの作品は皮肉いっぱいだったり、アメリカは下ネタが多かったり、そういうお国柄を楽しむのもひとつですね。
映画を通して、知らない国を旅する感覚になれますよね。しかも何より短いので、忙しくて時間がない人もいろいろと観られますから。ちょっと映画で旅してみましょうよ。
—観たことない国の作品を長編で観るのは少しハードルが高いけど、短い時間なら観てみようと思えますね。
LiLiCo:ショートフィルムはとにかく短いから、いくつも観ることができる。『SSFF & ASIA』では1回のチケットで複数作品観られるし、ショートフィルムをスクリーンで観られるというのは、すごく贅沢!そうやっていくつもの作品を観ていくうちに徐々に自分好みもわかってくるかもしれないですよね。フランス映画って難しそう…と敬遠していた人も、ショートフィルムからはじめたらハマるかもしれなし。そこから長編に行ってもいいじゃないですか。
やっぱり映画は長編だけじゃないということを、自分の足で行って、自分の目で観て、知ってもらいたいですね。たくさんの作品に出会って、そこに新しい世界があると思うので、「行ってみる」それがすごく大事だと思います。
—今回は『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したエマ・ストーン出演作(『Anna』)など、ハリウッドスターが出演するショートフィルムも上演されるんですね。
LiLiCo:今年で19年目ですが、昨年はディカプリオの作品が上映されるなどおかげさまで国内外の有名な俳優さんが参加してくれるようになり、どんどんラインナップも豪華になってきています。
本当にディカプリオのファンならやっぱり『オーディション』っていうショートフィルム作品も観ないとダメだと思うんですよ!みんなが大好きなジョニー・デップだって、『パイレーツオブカリビアン』だけじゃないんですよ!『ブロー』とか『ラ・マンチャの男』とかいいショートフィルムたくさん出ているから!って。「『オーディション』は最高だよね」なんて言われると、「いいね〜わかってるね!」ってなりますよね(笑)。
—なるほど〜!今回は約250の作品が上映されるとのことですが、LiLiCoさんが注目している作品はありますか?
LiLiCo:『シネマファイターズプログラム』で上映予定の Dream Amiちゃんの『色のない洋服店』という作品があるんですけど、Amiちゃんがはじめて演技したとは思えない!この映画、「色があるとハッピーだよね!」っていうくらいのすごく浅い見方をすることもできると思うんです。でもこれは人と違うことをやる勇気だったり、個性を出す勇気とか生き方の映画だと感じたんです。最初は色がない世界で、そこで少しずつ色を着ていくという内容なんですが、それだってすごく勇気が必要なこと。
Amiちゃんは金髪なので派手に見られるだろうし、普通の役を演じるのは難しいと思うんです。でも、逆にそれが彼女の持つ個性なんですよね。私もそうだったので、すごく共感できて。この映画にもそういうメッセージがあると感じましたね!ちょうど観たときに私がそういう気分だったというのももちろんあるでしょうけど、とにかくすごくかわいかったです。
あともちろんデンマークの映画も素敵でしたね。『インターナショナル5プログラム』で上映予定の『今よ、永遠に』という作品は、別れるカップルの一晩の間にあるいろいろな感情を描いているんですけど、そういう経験があったからすごく好き。きらいなはずなのに…っていう、別れるときの複雑な感情はわかりますよね。誰にも言っていないような、隠れていた気持ちに気付かされるのも映画の魅力!
『色のない洋服店』
−映画って見るタイミングによって、見方が変わりますよね。
LiLiCo:それはすごくありますね。疲れているときに撃ち合いのアクション観たら疲れちゃったり、失恋したときにラブストーリー観たら「ないない!」と思ったりするのはしょうがないと思うんです。でもだからこそ、私たち映画を紹介する立場の人間は映画を観るとき、どんなときでもニュートラルでいなきゃいけないんですよ。恋をしていてもフラレても、いつでもラブストーリーを観られるように心を作っておかなきゃいけんです。だから映画館入ったら、なにも考えずにニュートラルにしていますね。
女のLiLiCoと男のLiLiCo、中性的なのLiLiCoという様々な視点から観ています。だからか、だいたい主人公に共感しないんですよ。その周りの人達に共感することが多くて。ニュートラルに観ることってすごく難しいことだと思うんです。だからこの仕事ができているんでしょうね。『王様のブランチ』で映画を紹介して16年になりますから。
大物俳優も出たがるショートフィルム
−さっき自分の思いとシンクロさせて、「いい」と思ったというお話がありましたが、ショートフィルムってそんなに細かい説明があるわけじゃないので、観る側の想像に委ねる部分も多いですよね。
LiLiCo:そうなんですよ!ショートフィルムって「ジャンジャン!」っていう終わり方よりも、自分で考える終わり方が多いじゃないですか。でもだからこそ人生を考えたり、映画から人生のヒントを知るということにつながると思うんですよね。ショートフィルムの世界を知るとちょっと大人になった感じがしますよね。
もともとはショートフィルムを撮った監督の中から長編映画監督が生まれるという感じでしたが、今は長編を撮っていた人がショートフィルムを撮るという流れも出てきていますよね。アメリカの俳優さんは事務所の許可を取らずにショートフィルムに出ちゃったりもしますから。
−そうなんですね!
LiLiCo:この前、別所さんと取材を受けたとき、「actor(俳優)はactだから動くという意味なんだよ」という話が出たんですけど、本当にそうだと思います。ブラッド・ピットだって、こういう役がやりたい!と思ったら、その役になりきって監督の家の庭で中毒者の役を演じられますよっていうアピールをするんですから!日本の芸能界とは根底が全然違いますが、アメリカのactor(俳優)は、本当にact(行動)している。だからこそ、アカデミー賞俳優たちもショートフィルムに参加するし。やっぱり自分たちで何かをクリエイトして、プロデュースもするようになったり、活動が広がるんですよ。ディカプリオもブラッド・ピットも今や映画プロデューサーとしても活躍していますから。
日本も最近だんだんアメリカのそういう流れに追いついてきているような気もします。井浦新さんとか斎藤工くんとか旬な俳優さんたちが自分たちで映画を作るようになっているし、今回上映される作品には山田孝之さんが出演しているし、そういう人と違うことに挑戦している人たちって、やっぱりちょっとかっこいいですよね。映像を愛している表現者なんだと感じますよね。
『パラレルワールド』河瀬直美 監督、山田孝之・石井杏奈 出演
—そういう方たちのように、普段は長編に出演されている俳優や監督がショートフィルムをやりたくなる理由は何なのでしょうか?
LiLiCo:ショートフィルムって短い時間の中にストーリーを凝縮させるから、スクリプトがしっかりしているんですよ。スクリプトが優れているというのは、演じる側が惹かれる魅力のひとつだと思います。
あと、エンディングに含みがあるような映画ってみんな好きじゃないですか。インタビューしても「オレもわかんないよ!オレだったらこう思うかな」みたいな。数年後、話を聞くと違ったり(笑)。みんな、そういう役を演じたいんだと思いますよ。
LiLiCoさん流『SSFF & ASIA』の楽しみ方
『キモチラボの解法』AKIRA(EXILE)出演
—LiLiCoさん流の『SSFF & ASIA』の楽しみをおしえてください。
LiLiCo:『SSFF & ASIA』の期間中はぜひ作品を会場で観てみて欲しいですね。期間中はクリエイターのトークショーがあったり、俳優さんに会えたりもするので、積極的に足を運んでもらいたいですね。
あと、ぜひ友だちと一緒にグループで来てくれるとうれしいですよね。何作品か観られるので「私はこっちが好き」という話ができるのもこのフェスティバル楽しみのひとつ。そういう感想を交換すると、その友だちの性格をよく知ることができるじゃないですか。それって楽しくないですか?
『スワンソング』岩田剛典(三代目 J Soul Brothers)出演
今回はLDHのHIROさんがお手伝いしてくれていますし、山田孝之さんなどの俳優さんが出ている作品もあるので、それがきっかけで観てみるというのでもいいと思います。映画を好きになるきっかけって、監督が好きでも主演俳優が好きでもなんでもいいと思うんですよ。今や大スターのフランスの女優さんたちの若い頃の作品も上映されますしね。あどけない表情とか自然体の演技を観られるので、これはもうおじさんたち大喜びですよね!EXILEの作品は若い女性たちが観るだろうし、おじさんたちはカトリーヌ・ドヌーヴを観るだろうし、ショートフィルムは本当に数が多いから、色々な年代が楽しめると思いますよ。
映画から視野が広がることって本当に多いと思うんです。特にショートフィルムは8分とか10分で笑えたり、泣けたり、元気がもらえたり、皮肉いっぱいだったり、短い時間に物語がたくさん詰まっていますから。いろいろ観てくださいよ。私もどういうお客さんが来るのか気になるので、皆さん来てもらえるとうれしいです。
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ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2017 (SSFF & ASIA 2017)
- 開催期間:2017年6月1日(木)~2017年6月25日(日)
- 会場:東京(5会場)・横浜(1会場)
- ※開催期間は各会場によって異なります。また 、変更になる場合もございます。
- <東京>表参道ヒルズ スペース オー、ラフォーレミュージアム原宿、アンダーズ 東京 Andaz Studio、iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ、恵比寿 act*square
- <横浜>ブリリア ショートショートシアター
- 料金:無料上映 事前予約は Peatix
- 一部、有料イベントあり。
- 主催:ショートショート実行委員会/ショート ショート アジア実行委員会
- 上映作品:世界140以上の国と地域から集まった約9,000本の作品の中から、選りすぐりの約250作品を一挙上映。
- www.shortshorts.org/2017