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全身で感じる、ダイナミックな作品がおもしろい!「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」レポート
まさに「そこまでやるか!」と言いたくなる展覧会
こんにちは、箱庭編集部 moです。
また興味深い企画展が2017年6月23日(金)から、六本木の21_21 DESIGN SIGHTではじまりましたよ!その名も「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」。
こちらは、21_21 DESIGN SIGHT の10周年を機に、ギャラリー1、ギャラリー2、そして新しくオープンしたギャラリー3まで、すべてのギャラリーを使って開催される初めての展覧会となっています。先日行ってきたので早速レポートしたいと思います!
思いもつかなかった楽しさと価値観に触れられる
会場に到着すると、パキッと映えるオレンジ色のバナー。「そこまでやるか」という展覧会ではめずらしいフレーズに、どんな展示なのだろう?と入る前からワクワクします。
「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」は、クリストとジャンヌ=クロード(Christo and Jeanne – Claude)が2016年6月にイタリアのイセオ湖で行ったプロジェクト「フローティング・ピアーズ、イタリア・イセオ湖、2014-16」を、21_21 DESIGN SIGHTのディレクターたちが知ったことをきっかけとしています。その2人を含め、世界各国からダイナミックな活動を行うクリエーター8組を集めて開催する企画展となりました。制作過程のアイデアスケッチやドキュメント、実際の作品で使用した素材、新作インスタレーションなどを通して、“自分にはとてもじゃないけどできないこと”をやり遂げてしまう人たちの、型破りで壮大なプロジェクトを感じることができる展示となっています。
クリストとジャンヌ=クロードの壮大なプロジェクトの数々
階段を降りてすぐ、左側の壁面には、本展覧会のきっかけとなったクリストとジャンヌ=クロードの活動についての展示があります。現在に至るまで、22のプロジェクトに費やされた時間、実演時間、地図などクリストの50年の歴史が記されています。作品の物理的なスケールだけでなく、実現のために費やされた時間のスケールなど、いかに壮大なプロジェクトを続けてきたかを知ることが出来ます。
続いて、ギャラリー1ではクリストとジャンヌ=クロードの映像作品を展示。昨年実現させたプロジェクト、「フローティング・ピアーズ」の映像に加えて、同展のために行ったクリストへのインタビューを紹介しています。こちらは2時間にも及ぶインタビューを約50分にまとめた貴重な映像なんだとか。
また、映像の部屋を出たギャラリー1の壁面には、現在進行中の「マスタバ、アラブ首長国連邦のプロジェクト」の紹介も!これだけ壮大なプロジェクトを82歳になった現在も情熱的に進めていることに驚かされます。このプロジェクトが、いつどのような形で完成されるのかも今後気になりますね。また、今後の構想を記した8点のドローイング作品により画家としてのクリストを楽しむことが出来ます。
スケールを体感!見て、触って、想像力が膨らむクリエーション
ギャラリー2では4組のアーティストの作品を紹介。
ひときわ大きく、真っ先に目に入ってくるこちらの作品は、ヌーメン/フォー・ユースによる新作インスタレーション。なんと半透明のテープやネットのみで作られた作品なんです!そしてこのオブジェの中には実際人が入ることができます。見ている時には彫刻として、人が入ることにより建築として変化する、というイメージで作られているそう。
実際に中に入ってみました!テープだけで出来ているので、何とも言えない床の弾力がおもしろいです。1度に最大2名ずつ入って体験できるので、訪れた際はぜひ試してみてくださいね。
こちらは石上純也さんによる中国山東省の渓谷で進行中の教会のプロジェクト模型。この教会は幅1.35m×高さ45mで構想されており、小さな人物模型がそのスケールの壮大さを表現しています。実際に建てられたらどうなるんだろう?と想像力が膨らみます!
また、こちらも「こんなことが可能なんだ!」と感じるプロジェクト。ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァが取り組んだ、東日本大震災を機に東北で長さ36メートルの巨大な風船状のコンサートホールです。プロジェクトの素材サンプルや構造の図面、コンサートの様子などが展示されています。実際の映像を見ると、よりその壮大さに驚かされます!
ギャラリー2の出口付近いっぱいに広がるこちらは、淺井裕介さんによる壁画。なんとすべて泥や土で描かれたものだそう!過去に手がけた泥の絵の具による作品に、東京ミッドタウン内で採取した土などを加えて再構成されています。
近くで見ると、泥の立体感や手の跡など、ダイナミックさと臨場感のある作品になっています。ぜひ細部までじっくり見ていただきたい作品です!
ギャラリー2を出たあとも最後まで楽しめる展示となっています。
廊下ではダニ・カラヴァンの大都市軸とネゲヴ記念碑の二つのプロジェクトのスケッチ写真などのドキュメントを紹介。
また、最後にはジョルジュ・ルースによる、見る位置によって形を変える円形のインスタレーションの作品が展示されています。特定のポイントから撮影すると美しい円になるようになっていているので、足を運んだ際には是非試して写真を撮ってくださいね。
新しくオープンしたギャラリー3が実際に泊まれるカプセルホテルに!?
本展覧会から新しくオープンしたギャラリー3も見どころのひとつ。安藤忠雄建築の中にカプセルホテルをモチーフとした西野達さんの新作インスタレーションが展示されています。
外側から見ると、本当にホテルが出来たのかな?と思ってしまう展示でした!そしてなんと、会期中、閉館後の展示空間で実際に宿泊体験ができる予約制のイベントも開催するそう。(気になった方は公式WEBサイトへ。)
アート作品の中に泊まれるなんて、その発想がおもしろい!
また、メインビジュアルとキャッチコピーにちなみ、思わず「そこまでやるか!」とツッコミを入れたくなるオリジナルグッズも販売しています。ショップスペースは無料で入場できるので、気軽に足を運んでみてください。
いかがでしたか?
つよい意志を持ったつくり手の情熱が、驚きと発見を生み出してくれるこちらの展覧会。実際にその場でスケールを感じていただきたい展示です。気になった方はぜひ足を運んでみてくださいね。
「そこまでやるか」壮大なプロジェクト展
会期:6月23日(金)~10月1日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
時間:10:00~19:00(9月30日は24:00まで、入場はいずれも閉館30分前まで)
休館日:火曜
入場料:一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
URL:http://www.2121designsight.jp/program/grand_projects/