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アナログ感がたまらない!まるで絵画のような写真プリントの古典技法「鶏卵紙プリント」
「鶏卵紙プリント」で味わうアナログの世界
こんにちは、箱庭キュレーターmariです。
芸術の秋到来!今、写真はデジタルでシェアもしやすい便利な世の中ですが、フィルムカメラのような古典的なアナログ手法にも惹かれる私。箱庭読者の皆さんの中にも、フィルムカメラなどアナログな技法で写真を楽しまれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?デジタルとは違った表現の風合いはもちろん、手間暇をかける時間もまた、魅力の一つですよね。
今回ご紹介したいのは、「鶏卵紙プリント」という写真のアナログ技法。その名前を聞くだけでは「何だろう?」と思う方も多いかと思いますが、東京オルタナ写真部が主催する鶏卵紙プリントのワークショップに参加したときの様子と共に、その魅力をお伝えしていきたいと思います。
鶏卵紙プリントとは?
鶏卵紙プリントとは、1850年にフランスで開発され、19世紀後半に盛んに利用されていた写真のプリント技法のひとつで、その名称は文字通り卵を使用することに由来しています。当時行われていた通常の写真現像プロセスの前に、印画紙を鶏卵に浸して乾かすというプロセスを取り入れるだけなのですが、発色やコントラストのクオリティを安定して保てる技法だった為、長い間使われていたのだそう。
そんな、私たちが生まれるずっと前に使われていた写真のプリント方法は、もちろん今でも実践可能。ワークショップでは、写真のデジタルデータをプリンターでフィルムに印刷し、鶏卵紙プリントを行うという新旧交えたハイブリットなプロセスで印刷を行いました!
ちなみに、デジタルデータをプリンターでフィルムにできるデジタルネガフィルムはピクトリコプロ・デジタルネガフィルムTPS100を使用。デジタルネガフィルムのプリントは、今回のワークショップでは講師の方が作業して下さいました。
ここからは、いよいよ鶏卵紙プリントのプロセスをご覧に入れましょう!
step.1 卵液に印画紙を浸し乾燥させる
バットに、卵白と塩を少々混ぜたものを入れ、その上に印画紙を浮かせるようにそっとのせ、卵液に浸します。しっかりと紙に卵白がしみ込んでいるのを確認したら、取り出して一度乾かします。
step.2 硝酸銀を塗り再び乾燥させる
卵液が乾いたら、印画紙に硝酸銀水溶液をハケで塗っていきます。この時のハケ跡が写真の縁に現れてくるため、きっちり仕上げるか、あえてハケの筆の質感を出すか、自分の好みに合わせて作業します。この作業は、みなさん作品の仕上がりに影響があるため真剣な眼差しでした!
step.3 デジタルネガフィルムを印画紙の上にのせる
ここで、事前にデジタルデータをプリントして用意していたネガフィルムが登場。ブロアーという道具を使って、汚れを丁寧に落とします。
綺麗になったネガフィルムを先ほどの印画紙の上にのせ、隙間があかないようにしっかりと密着させます。フィルムと印画紙がしっかりと密着していないと、ぼやけたプリントになってしまうため慎重に行います。
step.4 紫外線をしばらくあてる
約20分程度紫外線にあて、感光させます。ちなみにこの感光の機械は自作だそう!
step.5 感光完了!
印画紙を剥がすと、絵が写っていました!わぁ〜!と思わず歓声が上がる瞬間です。様々な工程を経て完成した写真を見る瞬間は、感動ものですよ。
step.6 水洗し、現像と定着の処理をする
感光させた後は、水洗いをして、定着させる工程が待っています。
こちらは定着させているとき、水の中で印画紙が泳いでいるような様子。デジタルならこんな時間かからないのに~なんて言わないでくださいね。こういった、手間暇をかける作業がまた楽しいのです。
step.7 乾燥させたらプリント完了!
これで、しっかりと乾燥すれば完成。途中でハケの跡が仕上がりに影響すると言いましたが、その質感がなんとも素敵だと思いませんか?!写真だけど、どこか絵画のように見えるんです。
このように、まったく同じ風景を撮った写真であっても、デジタルで撮るか、フィルムで撮るか、そしてこの鶏卵紙プリントのように昔の手法を使ってプリントをしてみるのかで、全く違う写真になります。どのような手法を選ぶかも、また写真表現のひとつなんですね。いつもデジタルしか撮らないという方も、少し違った表現にチャレンジしてみることで、自分の写真の新しい魅力を発見してみては?
最後に、ひとつお知らせを。今回のワークショップで制作した作品展示が、10/5からスタートしています!珍しい鶏卵紙プリントを生で見るチャンス。もし少しでも興味が湧いたら、ぜひ実物を見にきてくださいね!
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Flowers of Romance 展
開催日:2017年10月5日(木)〜2017年10月15日(日)
休館日:月・火・水曜日
開催時間:(木・金)18:00-22:30、(土)15:00-22:30、(日)12:00-18:00 ※最終日17:00まで
開催場所:Paper Pool
目黒区祐天寺2-16-10 たちばなビル 2F
URL:https://tokyoaltphoto.com/2017/09/group-exhibition-flowers-of-romance/