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こんにちは!箱庭編集部みのりです。
10月1日に「草間彌生美術館」が開館し、同時に「開館記念展覧会」がはじまりました。今まで世界各国の名のある美術館で紹介されてきた草間作品ですが、今回、待望の個人美術館が東京都新宿区にオープンしました。きっとみなさんも、楽しみにしていたのでは?!
箱庭編集部ではオープン前の内覧会を訪れてきたので、さっそくその様子をレポートしたいと思います!

草間さんが「生涯における最大の感激」と語る、美術館に込めた想いとは?

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Portrait of Yayoi Kusama ©YAYOI KUSAMA

「草間彌生美術館」は、草間彌生の作品と関係資料の展示を通じて、草間芸術の普及振興を図るもの。年2回の展覧会を通して、草間作品のコレクションの展示や講演会などを開催し、草間さんが作品を通じて繰り返し訴えてきた「世界平和」と「人間愛」というメッセージを広く世界に伝えることを目指し、本人自らが設立しました。

開館にあたり、草間さんは
「この草間彌生美術館に込めた思想や、すべての最愛なる人類へ捧げる愛を込めたわたしの一生と、生涯を通してきた芸術への努力の真情を見て、感じ取って頂ければこれに勝る喜びはありません。」と話しています。

草間さんにとって終生の念願であった草間彌生美術館。どのような構成になっているのでしょうか?

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1F Museum Exterior ©YAYOI KUSAMA

草間彌生美術館は、都営大江戸線牛込柳町駅と東京メトロ早稲田駅、神楽坂駅のほぼ中間あたりに位置します。角が丸くカーブした特徴的な建物にたどり着くと、エントランスのガラス一面の水玉模様がまず目に飛び込んできて、さっそく草間ワールドを感じます!

館内は一方通行になっていて、階段を登って2階から5階までの各階のギャラリーを巡ります。
それでは、順路に沿ってギャラリーを巡っていきましょう!

2階ギャラリー:「愛はとこしえ」

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カラフルな色使いのイメージが強い草間作品ですが、2階には、2004年からの3年間に制作されたモノクロドローイングシリーズ「愛はとこしえ」が壁面を埋め尽くすように展示されていました。F100号のキャンバスに、フリーハンドで描いたドローイングをシルクスクリーン技法で版画にした連作50点のうち、27点が展示されています。

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FLOWERING NEW YORK[OPRT]©YAYOI KUSAMA

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WAKING UP IN THE MORNING[TQSTW]©YAYOI KUSAMA

黒のマーカーペンで描かれるモノクロの画面では、線や水玉などの抽象的な形象の反復、集積といった草間芸術の代表的要素と、本作以降顕著に現れる宇宙人のような不思議な形態のユーモラスなキャラクターなどの楽し気な具象的イメージが見事に融合しています。

タイトルの「愛はとこしえ」は、草間さんがこれまでに何度となく作品に名付け、訴え続けてきた生命賛歌のメッセージです。

3階ギャラリー:「わが永遠の魂」

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鮮やかな色彩あふれるアクリル絵画「わが永遠の魂」は2009年に着手され、現在も描き続けられている大型の絵画連作です。現時点で530点を超える草間作品最大のシリーズとなり、国立新美術館での個展で目にした方も多いと思いますが、本展では、未公開作品を含む16点が展示されています。

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PRAYERS FOR PEACE ©YAYOI KUSAMA

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DEATH OF MY SORROWFUL YOUTH COMES WALKING WITH RESOUNDING STEPS ©YAYOI KUSAMA

ダイナミックに抽象と具象を自在に行き来する本作は、草間さんが展開してきたスタイルや要素が目まぐるしく混在する、草間芸術の集大成ともいわれています。

4階ギャラリー:新作ミラールーム「無限の彼方へかぼちゃは愛を叫んでゆく」

4階に着くと、ドアが一つあるばかり。その部屋の中に入ると、暗闇から、鏡の反射で反復された無限のかぼちゃが浮かび上がってきました。

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4階は、本展のために制作された最新のミラールームになっています。今まで多数の体感型インスタレーション作品を発表してきた草間さんにとって、ミラールームは代表的な作品シリーズの一つです。

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種苗業を営む生家に生まれた草間さんが、幼少期に見た頃からその「太っ腹の飾らぬ容貌」に興味を抱いていたというかぼちゃを題材に、暗闇の中に瞬く水玉のかぼちゃのビジョンがミラールームの中で無限に反復し、宇宙に浮かぶ無限のかぼちゃ畑にいるような感覚を持たせる没入型の作品になっています。

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時間と共に変化していく照明や鏡の反射、立ち位置や目線によって見え方が変化するのがとても面白く、不思議な世界に吸い込まれたような気持ちになりました。

草間さんは、「この広大なかぼちゃ畑を見てこれからの人間の生き様を是非見つけてください。そして、みなさん自身の人生の生き様を見出してください。」と話しています。
ぜひ、色々なことを感じ取りながら、じっくりと観ていただきたい作品です。

5階屋上ギャラリー:新作立体作品「Starry Pumpkin」

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5階は、草間さんの写真集や本などを自由に読めるブラウジングスペースになっています。
そして、奥に進むと・・・

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屋上スペースには大きなかぼちゃ・新作の「Starry Pumpkin」が登場!!
太陽の光を浴びて、キラキラと輝いているその姿にぴったりなネーミングです。

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細部までタイルがびっしりと貼られています。

新宿の街並みが一望できる屋上ギャラリーは、とても気持ちのいい空間でした!ベンチもあるので、展示を振り返りながらゆっくりと過ごすのがおすすめです◎ちなみに、4階と5階の展示は撮影OKでしたよ〜。

展示以外にも、楽しみがいっぱい!

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2階から5階までの展示を見終えたら、エレベーターで1階に戻ります。
そのエレベーターが、ガラス張りの水玉模様になっていてとってもかわいかったんです!!ちなみに、お手洗いも赤い水玉柄で思わずテンションが上がりました(笑)。

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1階はエントランスおよび受付、ショップの機能を備えています。
ショップには、かぼちゃのオブジェやスカーフ、クラッチなどここでしか購入できない限定グッツがたくさん!思わず、あれもこれも欲しくなっちゃいました。。

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中でも私がいいなと思ったのが、パンプキンクッキー。「愛はとこしえ」シリーズの作品が描かれた柄違いの12枚のクッキーが、かわいい箱に入って1,000円(税込)。友達へのお土産にぴったりだし、価格も手頃なのでおすすめです!

いかがでしたでしょうか?
草間さんが「私の愛する美術館を是非あなたにも最大の愛をもって一生愛して頂きたいと思っております。」とお話しされているように、今回訪れたことで大好きな場所になり、これから何度も足を運びたくなりました。

なお、入場は日時指定の事前予約・定員制になっているのでご注意を!現在は、なんと年内いっぱいの予約が完売しています。次回は11月1日(水)10:00より、美術館WEBサイトにて2018年1月分の発売が開始予定です。
たくさんの方に一度は訪れて、色々なことを感じていただきたい展覧会です。
ぜひ、足を運んでみて下さいね。

    草間彌生美術館開館記念展「創造は孤高の営みだ、愛こそはまさに芸術への近づき」

    会期:2017年10月1日〜2018年2月25日
    ※12月25日〜1月17日は冬季休館
    開館日:木・金・土・日曜日および祝日
    開館時間:11:00〜17:00 
    入場時間:
    ①11:00〜12:30(11:30までに入場)
    ②12:30〜14:00(13:00までに入場)
    ③14:00〜15:30(14:30までに入場)
    ④15:30〜17:00(16:00までに入場)
    ※1日4回(各回定員50人・90分の入れ替え制)のチケット事前購入制
    料金:一般 1000円 / 小中高生 600円(税込)※未就学児は無料
    ※毎月1日午前10時に、美術館WEBサイトにて翌々月のチケット発売を開始。
    会場:草間彌生美術館(東京都新宿区弁天町107)
    電話番号:03-5273-1778
    美術館WEBサイト:http://www.yayoikusamamuseum.jp