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47都道府県からのやさしい贈り物 今年のギフトはd47 MUSEUM「P to P GIFT 2018 Problem to Product Gift」から見つけよう
こんにちは。箱庭編集部の祥子です。
つい先日、d47 MUSEUMで開催されている「P to P GIFT 2018 Problem to Product Gift」に行ってきました。
d47 MUSEUMとは、その「47」の名前が示すように、47都道府県のその土地らしさに焦点をあてたミュージアム。1〜3ヶ月ごとにテーマを変え、幅広いジャンルの展示を行っています。
箱庭では、第19回目の企画展にもおじゃまさせていただきましたが、第20回目は、47都道府県の地域問題から生まれた製品を、「ギフト」という視点から紹介する企画展。
年の暮れから年の始めにかけては、ギフトを贈る機会が増えるもの。この企画展をきっかけに、ギフトを選ぶときの視点にまた新たな観点が加わりそうです。
“未来につながるものづくり”がスタンダードになっていく
「サスティナブル」「エシカル」といったことばが、以前よりも活発にかわされるようになったこの頃。
そんななか、d47 MUSEUMの「P to P GIFT 2018 Problem to Product Gift」では、
日本各地の地域問題に対して、さらに一歩先の「循環」という部分に着目して生まれた製品を「P to P(Problem to Product)」として紹介しています。
わたしたちがまだまだ見えていない、日本各地の地域的な問題への取り組みについてもっと多くの人に知ってほしいと、
・その土地らしい資源や技術などが使われていること
・循環を考え、継続性のあるものづくりから生まれた製品であること
・デザインの工夫があり、自身の取り組みを発信していること
の3つの基準をもとに、選んでいるとのこと。
環境や資源はもちろんのこと、人材や、日本の受け継いでいきたい技術まで循環させて、これからやってくる時代につなげていく。
そんな、しっかりと前を見据えた「活動的なものづくり」が、これからの日本のものづくりのスタンダードになるであろうという考えから生まれた企画だそうです。
ギフトとして人に贈りたくなるデザイン
さまざまな問題に配慮した製品は、増えていっています。意識的に生活のなかに取り入れようとしている人も、増えていると感じます。
でも、それを人にギフトとして贈るとなったら?
取り組みには共感するけれど、ギフトとしてすてきなデザインなのだろうか?
製品の取り組みに関する主張が、贈る相手に対して強すぎてしまわないだろうか?
「P to P GIFT 2018 Problem to Product Gift」では今回、そのような想いも意識して、
問題への取り組みとともに、製品そのものとしても魅力が感じられるデザインという部分にも重きを置いて、製品が選ばれています。
贈られたすてきなものが、実は日本のさまざまな問題解決につながっているものだった。
そんな温度感で、取り組みが自然に広がってつながっていくのが、理想的なかたちなのかもしれません。
ぐるりと47都道府県をめぐる展示で日本一周
展示会場の中に足を進めると、真っ白な47個のテーブルが大きな輪を描いています。
北海道から沖縄まで順にぐるりと一周できるようになっていて、凛とうつくしく製品が並んでいます。
今回の展示では、キーワードとなる「循環」を、
環境:海、川、森、土など、地域の自然環境への取り組みから生まれている製品
資源:地域資源の活用などを通して、廃棄物軽減や新たな価値を創出している製品
人材:後継者問題への取り組みや雇用創出など、人材育成や技術継承につながる製品
という3つのカテゴリーに分けて紹介しています。
それぞれの展示スペースには、どのような想いでどのような取り組みを行っているのかというストーリーの掲示も。
このストーリーは、ギフトとして購入した製品にミニカードとして添付することが可能だそうです。
押し付けることはしないけれど、贈る相手に「あ、こんな背景があるのかあ」って、
やっぱり伝えたい、共感してもらえたら嬉しいなという気持ちはありますよね。
北海道 フプの森
入ってすぐにぱっと目をひいたのは、トドマツの薪をかたどった北海道のキュートなロウソク、「ナルーク ファイヤーウッドキャンドル」です。
こちらは、林業が盛んな北海道で森林資源を活用し、森を守っていくためにうまれた、雑貨・コスメブランド「フプの森」によるもの。「フプの森」は、豊かな香りのトドマツ精油を使用した製品による、自然とともに暮らすライフスタイルを提案しています。
ロウソクに灯がともる、ちいさな焚き火の図を想像しただけで、ほんわかやさしい気持ちになりますね。
ハンドメイドでつくられているので、ひとつひとつ微妙に表情が異なります。まったく同じ物はひとつとしてない。それは、自然の樹木とも同じですね。
ハイキングやキャンプ、森とともに遊ぶことが好きな人へのギフトによさそうです。
山形 山形代表
近頃このすてきなデザインのジュース、「山形代表」が気になっていた、という方も多いのでは?品質は申し分ないのに、規格外のために販売用としては出荷できない山形県産の果物を活用した果汁100%ジュース、「山形代表」。
シンプルに果物のみで作られているため、その年によって味わいは変わるのだそうです。
考えてみれば、常に味がまったく同じということは、自然なことではないのですよね。気づけば、そのことを忘れてしまっていたかもしれません。「山形代表」は、今や、駅中の自販機でも販売されています。自然の移ろう味わいをおおらかに楽しむ、そんな感覚が、スタンダードになっていくとよいなあと思いました。
素朴な果物のイラストがしゃんと並んでいる図が、とても愛らしいと思ったので、箱入りの詰め合わせをお世話になった方に贈るのもすてきではないでしょうか。
奈良 saredo−されど–
ギフトでもよいのですが、自分にギフトとして贈りたい…そう思いながら、ついついじいっと自分用を吟味してしまったのが「saredo -されど-」の靴下。
紡績工場では、糸をつくる工程で綿を梳くとき、わたクズが落ちます。そのわたクズ“落ちわた”をていねいに紡いだリサイクルコットンで、「saredo -されど-」の靴下は作られています。
適度な厚みとやわらかな素材感、ファッションのアクセントになりそうなカラーは、大切な友人たちに日頃の感謝を込めて贈りたいなあと思いました。このさらりとしたブランドフォントも、さりげなくて素敵です。
鳥取 福田養蜂場
花が咲きほこるやさしいパッケージデザインと、きらきら輝く蜜の色に思わず吸い寄せられてしまった、鳥取県の福田養蜂場のはちみつたち。
ミツバチがいなくなると、わたしたちの世界は終わりを迎えるとも言われています。それほどミツバチは、さまざまなものを運び、つなげてくれるとても大切な役割を担っているのですよね。
福田養蜂場では、大地の芽吹きをつなぐミツバチたちが、快適に働けるように環境を整える取り組みを行っています。鳥取の自然のなかで育まれた蜂蜜は、れんげ、アカシア、マロニエ、百花の4種類。
食べることがすき、お料理を楽しんでいる、という方にギフトとして贈りたいなあと感じました。
都道府県別アイテムを組み合わせて贈ることも可能
d47 MUSEUMではギフトラッピングも用意されているので、気になった製品を組み合わせて贈るのもすてきですね。贈りたい相手がご夫婦であれば、お二人の出身の土地の製品を、組み合わせて贈るのも粋だと思いました。
今回展示を見ながら自分自身でも感じたのですが、
やっぱり自分の出身の土地のものって、特別な感情を抱きやすいなあと思います。
自分の生まれ育った土地の未来への取り組みを知って、わたしはすごく誇らしい気持ちになりました。
d47 MUSEUMの空気感も楽しむ
d47 MUSEUMには、とても穏やかで心地よい空気が流れていました。
平日のお昼過ぎにおじゃまさせていただいたのですが、来場者の方は皆静かに、とてもやさしい目で製品を見つめていらっしゃいました。
ああ、こういう空間にならぶ“もの”は、ただの“もの”ではなくなるのかもしれない。
ものがつくられること、そしてそれを私たちが購入すること。
その本質を、改めて考えさせられた気がしました。
そして、日本のものづくりって、ほんとうにすてきですね。
わたしは、渋谷の人の波にアワアワしてしまうことが多々あるのですが、
渋谷駅から直結の渋谷ヒカリエのなかにあるd47 MUSEUMは、喧噪から離れてゆったりとしたひとときを過ごすことができました。
どれもがすてきすぎて、悩みすぎて、ギフトを選びきれなかったので、
展示期間中またすぐに、覗きにいきたいと思います。
「P to P GIFT 2018 Problem to Product Gift」展は、年明け2018年2月4日(日) まで。
たいせつな方へのギフト選びがてら、日本の47の土地の想いに、ゆったりと触れてみてください。
P to P GIFT 2018 Problem to Product Gift
会期:2017年11月30日(木) – 2018年2月4日(日)
※2017年12月31日(日)は18:00まで(最終入場17:30)
※2018年1月1日(月)は休館
時間:11:00〜20:00(最終入館19:30)
場所:d47 MUSEUM
住所:〒150-8510 東京都渋谷区 渋谷2丁目21-1 渋谷ヒカリエ8F
料金:入場無料
事前申込:不要
URL:http://www.hikarie8.com/d47museum/2017/11/p-to-p-gift-2018-problem-to-product-gift.shtml