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民藝ってヤバイ!純粋に民藝の魅力を伝えてくれる「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」をレポート。
プロダクトデザイナーの深澤直人氏がディレクション。新旧146点の民藝品展示
こんにちは、箱庭キュレーターのKIMIです。
いつもワクワクする展示方法で楽しませてくれる21_21DESIGN SIGHTの展覧会。
11月 2日 (金)より新たにはじまった企画展「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」のプレスプレビューに行ってきました。
『民藝』。よく耳にする言葉ですが、『民藝』という言葉が生まれたのは、1925年。民衆の用いる日常品の美に着目した柳宗悦氏が、無名の職人たちによる民衆的工芸を『民藝』と名づけたのがはじまりです。
今回の展示は、21_21DESIGN SIGHTのディレクターでもあり、日本民藝館の館長を務めるプロダクトデザイナーの深澤直人氏がディレクションし、日本民藝館の所蔵品から選び抜かれた146点の新旧さまざまな民藝品が展示されています。
民藝ってヤバイし、スゴイ!を直観で言い合ってほしい。
(深澤直人氏ご本人)
まず最初に深澤氏が話されていた、今回の展示のきっかけがとても印象的でした。
「民藝館の館長になって収蔵庫に入れるんですが、つくり手としてビックリすることが多い、なんでこんな魅力的なんだろう、と強烈なインプレッションを感じて、言葉が悪いかもしれないが『民藝ってヤバイんじゃない?』って(笑)。僕と同じように来場者の皆様にもいつどこで何年につくられたという情報よりも、民藝のヤバさを感じてほしくて、この展示を見た人たちが、コレすごいよねって直観で言い合ってほしいなと思いました。」
この言葉を聞いて、なんだか、よりワクワクしてきました。
『民藝展』と聞くと、いつどこで作られたもので…といったように小難しい展示なのかなぁ?と思う人もいるかと思いますが、本展は自分の直観で感じる展示なので、誰でも気軽に楽しめる展覧会です。
普段お目にかかれない、日本民藝館の館長室の品々も展示
(柳デスク「意匠:柳 宗理/2002年」)
本展で面白いのは、深澤氏のセレクション。日本民藝館の所蔵品以外でも、普段日本民藝館で使っている、館長室の家具なども展示されているんです。入ってすぐに展示されているこの机は、日本民藝館の館長室にいつも置かれているデスクだそう。今まで展示されたことがなく、これからも展示されることはないだろうとのことです。こんな机が自分のデスクだったら、かっこ良すぎますよね。
(深澤直人さんの個人コレクション)
続いて、深澤氏が今まで集めてきた蒐集品が並んでいます。
飾っているものだけでなく、ご本人が普段使っているものが展示されていて、愛らしいものがお好きだと言う深澤氏のお人柄が垣間見れるものが多く、とてもほっこりしました。
展示と共に書かれている深澤氏のコメントが、私たちの直観を刺激してくれる
そして、メインの展示エリアに、キャプションとして記されているのは、それぞれの品を見たときの深澤氏の心のつぶやき。これがとても面白いんです!
「何気ない風景にパターンを見るというセンサーこそ、染色家の才能なのだろう。図を見ているようで、地も見ている。」と、こちらを読んで上を観ると
天井まで伸びる染物の民藝品が展示されていました。
そして、この可愛らしい民藝品たちには、こんな言葉が…
「それは愛のかたち。」まで読んだ瞬間、胸がキュンとなって、この民藝品たちがより身近なものに感じました。
この「シンプルだ!」の一言もストレートで素敵!思わず、確かに!と呟いてしまいました。
その他にも深澤氏のコメントは、自分が感じた感覚との答え合わせをしているようで、ハッとさせられる部分が多く、一つ一つをじっくり観たいと思わせるポイントが書かれています。ぜひ、隅々まで読みながら楽しむのもオススメですよ。
2000年前の民藝品が目の前に!?
本展では、いつ作られたものなのかなどの情報はハンドアウトにて公開されており、かなり古いものもたくさんあります。たとえば、写真左側の厨子(ずし)は約2000年前のものですって!ビックリですよね。とても古いものですが、深澤氏のつぶやきは「デフォルメがいい。かたちが愛らしいんだ。」です。足もとをよく見ると、
かわいらしい動物の形になっていました。深澤氏のお気に入りの一つなのだそう。本来なら歴史の凄さに圧倒されてしまいますが、直観で見ていく面白さを感じます。こんなところにも愛らしい部分を発見できて、ますます民藝の虜になりそうです。
あれもこれも細部まで楽しめる民藝品の数々。他にもたくさん愛らしいものがありますので、お気に入りをぜひ探してみてくださいね。
柳宗理氏がデザインを担当した雑誌「民藝」の表紙を展示。
(雑誌「民藝」の表紙)
展示の最後には、1978年〜2007年インダストリアル・デザイナーの柳宗理氏が館長を務めた時代に、レイアウトも担当した雑誌「民藝」の表紙が並んでいました。大胆なデザインが潔くてカッコいいんです!こちらもじっくり楽しんで頂きたいです。
(雑誌「民藝」2015年3月号)
雑誌「民藝」を手にとってゆっくり読めるスペースもあります。こちらの表紙の民藝品、実物も実際に展示されていましたよ。ぜひ、本展で探してみてくださいね。
( 豊永盛人 作:左から時計回りに、猫、須弥山、ハト、ケンタウロス)
さらに、日本各地で民藝を受け継ぐ現代のつくり手による作品も多数紹介されています。
観ているだけで、ほっこりしますね。
1階のショップスペースでは、本展会期中、国内外の手仕事の品を紹介する3つのお店(みんげい おくむら、カゴアミドリ、objects)が、時期ごとにポップアップストアとして登場しています。
民藝好きにはたまらない商品の数々です。こちらもぜひチェックしてくださいね。
いかがでしたか?実は、普段から鉄瓶や江戸箒を愛用し、駒場にある日本民藝館にも幾度となく訪れたことのある民藝好きの私にとって、今回の展示は、「ヤバイ!ヤバイ!」の連続でした。ぜひ、21_21DESIGN SIGHTの展示と共に、日本民藝館にも訪れてみてください。きっと民藝の愛らしさの虜になるはずですよ。
「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」
会期:2018年11月2日(金)〜 2019年2月24日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
開催時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
休館日:火曜日(12月25日は開館)、年末年始(12月26日 – 1月3日)
料金:一般 1,100円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
*会期中、日本民藝館との相互割引を実施
URL:http://www.2121designsight.jp/program/mingei/