紙工視点
こんにちは、シオリです。
先日、紙の加工技術によって素敵な紙のパッケージや製品を次々生み出している、東京都立川市の印刷加工会社・福永紙工さんから、新しいプロジェクトが発表されたのをご存知でしょうか?

「紙に対する人の視点」をかたちに。
新しい紙の可能性を見出すプロジェクト「紙工視点」

紙工視点
誰にでも身近な存在である“紙”ですが、「紙工視点」ではクリエイターの世界の“視点”に注目。それを、紙を通して伝えるというプロジェクトです。ルールもテーマも設けることなく、一人一人のクリエイターが、それぞれの方法で紙に向き合い、見出した視点をかたちにする。そんなこれまでにない新しいプロジェクトということで、注目を集めています。

何か新しいプロダクトを生み出すことがゴールではなく、人と紙の関係がうまれたり、実験が行われたりする場になっているようにも感じられるこちらのプロジェクト。どんな展開になるのか、ワクワクしますよね!

紙を媒介にすることで、「視点」そのものをいろんな人同士で楽しめる

プロジェクトのディレクターを務めるのは、グラフィックデザイナーであり、コマ撮りの映像作家でもある岡崎智弘さん。NHK教育テレビジョンで放送中の『デザインあ』の中の「解散!」シリーズでも知られています。

岡崎さんが、福永紙工さんから新しいプロジェクトの立ち上げのお話があったときにまず考えたのは、紙がこれまで長い歴史持つ素材だということを考えると、単純に紙を使ってプロダクトを作るプロジェクトはもう十分じゃないかな?ということだったんだとか。そして、紙は可能性があるということがある種“当たり前化”している今だからこそ、「紙に対する人の視点」が大切になるのでは?と思いたったそうです。

福永紙工さんのWEBサイトに公開されているインタビューの中で、岡崎さんはこう話していました。

「みんな、デザインには専門性が必要だと思っているけれど、視点には何もいりません。だから、他の人とも共有できます。『そういう紙の見方があったのか』って。」

私たちもまだ知らない紙の捉え方が生まれる、そんなプロジェクトになりそうな紙工視点。プロジェクト立ち上げにあたり発表された、3名のクリエイターによる新製品も見逃せません!

「ポヨンペロン」荒牧 悠

紙工視点
まずこちらは、「ポヨンペロン」という名前の作品。構造や仕組み、人の認知に注目した作品を制作し、「単位展」や「デザインの解剖展」などにも参加したアーティスト・荒牧悠さんが手がけました。

丸いパーツと帯状のパーツを組み合わせることで、不思議な形や動きをつくり出せるプロダクトになっており、自分次第でいろいろと楽しむことができます。

丸いパーツには、+型、Y型、=型の3種の溝が入っており、帯状のパーツを差し込める仕組みになっています。組み合わせを考えながら、手を動かすことで紙の新しい形やふるまいの発見ができるアイテムです!

「CRACKED PAPER」小玉 文

紙工視点
「CRACKED PAPER」は、本来、紙には存在しえないひび割れを、精巧な加工技術で表現した箱。こちらは、食品・飲料のブランディング・パッケージデザインをはじめ、幅広い分野のデザインを手がけるアートディレクター / グラフィックデザイナー小玉文さんが手がけたプロダクトです。

小玉さんは、コンクリートやタイルなどに入るさまざまなひびを観察し、この一筋のひびをデザインしたそう。 紙を超えた異素材に見立てた「四角い物体に宿る、割り切れない美学」が感じられる作品です。

「948」辰野しずか

紙工視点

紙工視点

紙工視点
Photo © Gottingham

こちらは、その名も「948(クシャ)」。家具、生活用品、ファッション小物などのプロダクトデザインを手がけるクリエイティブディレクター/プロダクトデザイナー・辰野しずかさんが手がけたプロダクトです。

948は、透け感が美しいレースのような繊細な紙。そのままお部屋に飾ることもできますが、くしゃっと丸めると、また違った楽しみ方ができるアイテム。インテリアにしたり、ラッピングのクッション材としてデコレーションしたり、自由なかたちで使える不思議なプロダクトです。

    948
    バリエーション:Sakura/Ice/Momi
    販売価格:2,300円(税抜)

どれも、クリエイターによる唯一無二の視点に福永紙工さんの技術が組み合わさった、素敵なものばかりですよね!これらのアイテムを、実際に手にしてみたいと思いませんか?!

国立新美術館のSFT GALLERYにて展示が12/24(月・祝)まで開催中!

紙工視点
現在、六本木・国立新美術館内、地下1階のSFT GALLERYにて、「紙工視点」の展示会が開催中。ひとつの製品にたどり着くまでの制作プロセスを通して、3名のクリエイターの紙に対する「視点」を紹介する展示となっています。

紙工視点
素敵な作品を見ることは多いけど、クリエイターの方の視点を感じることができる機会は貴重ではないでしょうか。会場では、新製品の先行発売も行われています!会期は、12月24日(月・祝)まで。あと少しになってしまいましたが、どうぞみなさんお見逃しなく!

    SFT GALLERY「紙工視点」

    会期:2018年10月17日(水)―12月24日(月・祝)
    営業時間:10:00―18:00(金曜、土曜のみ20:00まで営業) ※美術館営業時間に準ずる
    定休日:毎週火曜日(祝日または休日にあたる場合は営業し、翌日休み)
    Designers:
    荒牧 悠 アーティスト
    小玉 文 アートディレクター/グラフィックデザイナー
    辰野しずか クリエイティブディレクター/プロダクトデザイナー

    Director:岡崎智弘
    Writer:角尾 舞
    Photographer: Gottingham
    Management:福永紙工

    場所:国立新美術館B1 スーベニアフロムトーキョー内 SFT GALLERY
    〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 国立新美術館B1F
    TEL 03-6812-9933 FAX 03-5775-4670
    https://www.souvenirfromtokyo.jp/gallery