ファスナーの船

こんにちは、箱庭キュレーターのKIMIです。
2010年に瀬戸内国際芸術祭で海を“開いた”ことで話題になった鈴木康広さんの作品「ファスナーの船」が、今度は東京・隅田川に登場すると聞き、観に行ってきました。

日常にある光景や身近なものを、新たな視点で捉えた作品。

ファスナーの船(2004年に最初に作ったラジコンの模型のファスナーを持つアーティストの鈴木康広さん)

水面をカンバスとして航跡波を描きながら進む姿を、金具がスライドして布を開くファスナーに見立てた「ファスナーの船」。この作品が生まれたのは、2002年に鈴木康広さんご自身が初めて国内線の飛行機に乗った時に、東京湾を進む船が「ファスナー」に見えたことがきっかけだそう。

「ファスナーの船」以外にも、日常のふとした光景や身近なものを新しい視点で捉えた作品を多く生み出している鈴木さん。ご自身の活動については、このようにお話されていました。

鈴木康広さん「僕は、まんべんなく知識と一般常識や文化に対して興味を持てる人間ではなく、作品を作って初めて、空気ってすごいな、船ってすごいな、ファスナーってすごいなと興味を持つ。そういう順番で物事に出会っているのが僕の活動の1番のポイントです。皆さんにとっても同じように、僕の作品を通して『ファスナーってどういう形してたっけ?』と当たり前にあるものの魅力を改めて考えるきっかけになるといいなと思っています。」

ラジコン模型を持ちながら、少年のように語る様子が印象的でした。

全長約11mの「ファスナーの船」が、隅田川を“開く”!

ファスナーの船

これまで海を舞台にしていた「ファスナーの船」。都市の「川」を運行するのは今回が初めて!豊かな文化を育んできた東京・隅田川を現代アートで活性化させ、その歴史的価値を世界に向けて発信することを目的にした『ふねと水辺のアートプロジェクト』の一環で実現しました。

「ファスナーの船」はなんと、全長11.37m、幅4.65mの大きさなんですよ!ラジコンではなく、実際に船長さんが運転しています。目の前をコロンとした「ファスナーの船」が、川を開いてる姿がたまらなくカワイイんです。

ファスナーの船

しかもここ、東京の下町を流れる隅田川なんですよね。スカイツリーも目の前にあって、ファスナーの船が隅田川を開くこのシュールさ。
普段の生活で当たり前のように使っているファスナーと、「ファスナーの船」が日常感溢れる浅草の街や隅田川のある光景の中に走っているこの状態が妙にマッチしていて『アレ?これが日常かな』って錯覚させられる感覚が、とても面白い。

橋の真下から現れる瞬間がすごい!

ファスナーの船

川沿いからいろんなスポットで観ることができるのですが、「ファスナーの船」が橋の真下から現れる瞬間がオススメなんです。すごい近距離で足元から、ブワッと通り過ぎる瞬間、本当に川を開いたら、この下には何が出てくるかな?見えてくるのかな〜?なんて想像したり、子供心がくすぐられる気分になったりして、ウキウキしちゃいました。

ファスナーの船

「ファスナーの船」は、隅田川にかかる吾妻橋と桜橋を行き来するので、“開く姿”と“繋ぐ姿”も拝めますよ。

ファスナーの船

ビルが立ち並ぶ都会を開いていく姿を、遠くから眺めるのもオススメです。

もうきっと船を見るたびにファスナーに見えてしまって、頭の中でいつの間にやら、地球まで開く想像をしてしまいそうなこの作品。ぜひ、目の前で開く瞬間を楽しんでくださいね。

    ふねと水辺のアートプロジェクト 第3弾
    鈴木康広「ファスナーの船」

    日程:12月14日(金)~28日(金) ※天候や川の状況により中止の場合あり
    時間:12:00~14:00 ※時間は前後する可能性あり
    場所:隅田川・吾妻橋~桜橋の川岸付近(上記時間帯に往復)
    交通:吾妻橋=東武伊勢崎線・東京メトロ銀座線・都営地下鉄浅草線「浅草駅」から徒歩1分
    観覧費:無料
    URL:https://sumidagawa2018.com/