ポーラ・シェア

こんにちは、箱庭キュレーターのKIMIです。
ニューヨーク中に旋風を巻き起こしたグラフィックデザイナーのポーラ・シェアさんの展覧会「ポーラ・シェア:Serious Play」がギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)でスタートしました。

ポーラ・シェアさんは、1970年代デビュー当初から音楽業界でその頭角を現し、アイデンティティならびにブランディング・システム、環境グラフィックス、パッケージ、そして刊行物のデザインを多くのクライアントのために手がけてきました。

ポーラ・シェア

たとえば、この写真にあるロゴマーク。実は、シェアさんが手掛けられたロゴデザインの一部なんです。え?これも?あれも?それも?ってビックリしますよね。きっとみなさんもどこかでシェアさんのデザインには触れているはずです。それほどビッグな方なんです。

タイポグラフィで表現された地図アート作品

ポーラ・シェア

ポーラ・シェア

1階の展示室には、シェアさんが20年ほど前から精力的に取り組んでいる地図のアート作品が16作品並んでいます。世界各地の地図をやりたい放題、思いのまま描いている作品です。カラフルな色合いでとても目を引きます。

ポーラ・シェア

よく見て見ると、地名や駅名などが記載されています。
とってもとっても細かいんですよ。

ポーラ・シェア

ポーラ・シェア

今回の作品は、シルクスクリーンでできているのですが、実際のサイズは、これの3〜4倍の大きさなのだそう。

ポーラ・シェア

こちらはパリの地図。色使いがパリっぽいですよね。

その他、東京の地図やヨーロッパ全体の地図、アフリカ大陸の地図もあります。知ってる街があればあるほど、観ていて楽しい作品です。

ポーラ・シェアのエポック的な仕事にフォーカス

ポーラ・シェア

地下1階では、ポスター作品をはじめ、ロゴデザイン、空間デザイン、ブックデザイン他、充実したキャリアのなかでもエポック的な仕事に焦点をあて展示されています。

ポーラ・シェア

ニューヨーク中に旋風を巻き起こしたザ・パブリック・シアターのポスターがズラリと並びます。

ポーラ・シェア

シェアさんが、ザ・パブリック・シアターのグラフィックを初めてやったのは1994年、今年で25年を迎えるそう。すごい・・・!シェアさんのデザインの影響を受けて、ニューヨークの街中が同じようなデザインで埋め尽くされた時代があったのだとか、とても歴史を感じますね。

ちなみに、今回の展覧会のタイトル「Serious Play(シリアス・プレイ)」=「[本気]の[遊び]」とは、シェアさん自身のデザイナーとしての目標のような言葉なのだそう。
「本気⇒まじめ⇒ありきたり⇒死ぬほど退屈⇒再発見」が彼女の仕事のサイクルなんだとか。「まじめになるのは簡単で、本気になることは困難だから。」つまり、本気[Serious]がまじめに移行した時点で遊び[Play]が消えてしまうからと。なんとも深い話ですよね…。

タイポグラフィーのデザインが面白い!

ポーラ・シェア

そして、たくさんある作品の中で私が一番目を奪われたのは、この数字のデザインたち。

ポーラ・シェア

その中のこちら、数字の”1“のデザインなのですが、よく見ると、

ポーラ・シェア

いろんなタイプの“1”のデザインが並んでいました。どれ一つ同じデザインがないですよね!?とても見応えがあるので、じっくり観て欲しい作品です。

ポーラ・シェア

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シェアさんのタイポグラフィーを使ったデザインの数々は、本当にどれもこれも素晴らしいのですが、その昔シェアさんはタイポグラフィーがわからないと悩んでいたことがあったんだそうです。その時に、恩師かけられた言葉が「じゃあ、タイポを使ってイラストをやりなさい。」だったそう。タイポを使ったイラストの作品も展示されているので、ぜひチェックしてほしいです。見慣れたアルファベットが何通りものデザインになっていて、ワクワクします。

ポーラ・シェア

タイポグラフィーを使った、こんなお茶目な作品もありましたよ。タイポのいろんな可能性が発見できて、視野が広がりました。

デザインの歴史や可能性の面白さだけでなく、シェアさんの作品を通して、自分にとっての”本気”と“遊び”は何なのかを考えさせられた今回の展示。ぜひ、皆さんも足を運んで、シェアさんの世界を体感してみてくださいね。