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過去最大のクリムト展が上野・東京都美術館で開幕!「クリムト展 ウィーンと日本 1900」レポート。
初来日作品を含む、過去最多となる25点以上の油彩画が揃う!
こんにちは、箱庭編集部 moです。
また注目の展示が始まりました!上野・東京都美術館で4月23日(火)から開幕した、「クリムト展 ウィーンと日本 1900」です。
華やかな装飾性と世紀末的な官能性を併せ持つ作品を手がけた画家、グスタフ・クリムト。
本展は、そんなクリムト作品の世界的殿堂ともいえるウィーンのベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館の所蔵作品を中心に、代表作の《ユディトⅠ》や初来日の《女の三世代》などを出品。日本では過去最多となる25点以上のクリムトの油彩画を紹介する、東京では約30年ぶりの大規模展です。先日内覧会に足を運んできたので、早速展示の様子をレポートしたいと思います!
8つの章で構成されている本展。初期の自然主義的な作品から、金箔を多用した時代の代表作、女性像や風景画など、クリムトの絵画作品を余すところなく楽しめる展示となっています。
若き日の作品から、日本美術に影響を受けた作品まで
様々なクリムト作品を楽しめる
本展はクリムトの家族や出自に関係する展示から始まります。B1階の展示室では、若き日のクリムトや兄弟、またクリムトと同じウィーンの美術工芸学校で金属彫刻を学んだ弟ゲオルグ・クリムトが手掛けたレリーフなどが展示されており、今まであまり知らなかったクリムトの若き日の作品を楽しむことが出来ます。
クリムトが弟、友人と共に結成した「芸術家カンパニー」の仕事では、ブルク劇場天井画のための下絵や、ウィーン美術史美術館の壁画のための下絵などが展示されています。豪華な装飾の額縁は当時の劇場や美術館を想像させ、思わずまじまじと見入ってしまう美しさです。
また、展覧会タイトルにもなっている「ウィーンと日本 1900」の章の、日本美術からの影響を受けたクリムト作品にも注目です。
左の作品《女ともだちI(姉妹たち)》(1907)は、浮世絵の美人画を思わせる縦長の油彩画です。このように、ウィーンの人々が日本美術に触れた特筆すべき機会であった1873年の「ウィーン万国博覧会」を発端とした、クリムトと日本美術のつながりを検証する作品を楽しむことができます。私たち日本人にもなじみ深い日本風の花や色彩を使った作品が多く、興味深い内容となっていました。
「黄金様式」のクリムト作品に魅了される
本展の最大の見どころとも言えるのは、クリムトの代表作とも言える「黄金様式」の時代の作品を間近で堪能できることです。
1階の展示室に移動すると、まず出迎えてくれるのはクリムトが金を使った初の作品でもある代表作《ユディトⅠ》(1901)。華やかな衣装から裸身をのぞかせる女性像のエロス、生身の身体を彩る装飾品、様式化された構図など、「クリムトを有名な画家にしている全ての要素が入っている」とベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館の学芸員が語るほど、この作品はクリムトを知る上で欠かせない作品です。
「黄金様式」という言葉の通り、黄金で施された装飾は本当に細部まで美しく、目を奪われ魅了されてしまいます。肉眼でこんなにも間近に見られることに感激です…!
《ユディトI》の隣の壁面に展示されている、《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》(1899)もお見逃しなく。女性の裸体を正面から描いた縦長の作品ですが、こちらの黄金の装飾も素晴らしいので、是非実際に間近で見て楽しんでみてください。
ウィーン分離派会館の地下にある壁画を再現した圧巻の展示!
本展のもう1つの見どころは、クリムトが手掛けた全長34メートルにおよぶ壁画《ベートーヴェン・フリーズ(原寸大複製)》(1984)です。こちらもクリムトの「黄金様式」の時代を代表する作品のひとつ。クリムトが40歳の時に『第14回ウィーン分離派展』の壁画として制作し、現在も分離派会館の地下に展示されているものです。
複製といえども、とても精巧に作られており、展示室の3つの面に渡る巨大な壁画は圧巻です!
苦しむ人間、幸福を求める人々、精霊、天使など、ベートーヴェンの交響曲第9番に着想を得たとされるこの壁画は、絵巻物のように物語が展開しています。
これぞクリムト!な「黄金様式」の作品を、このスケールで感じられるのは滅多にない機会です。会場で是非じっくりと見ていただきたい作品です。
初来日の大型絵画にも注目!
展覧会を締めくくる最終章「生命の円環」では、ローマ国立近代美術館所蔵の大作《女の三世代》(1905)を見ることが出来ます。初来日ということもあり、展覧会開始前から大きな話題となっていた作品です。
縦横約1.7メートルの本作。壁画などを別にすればクリムト最大の絵画のひとつです。
《女の三世代》(1905)というタイトル通り、安らかに眠る赤ん坊、若い裸の女性、そしてうなだれている老女という三世代の女性を描いた本作。生命や老い、死といった主題を取り上げた「生命の円環」の章を象徴する作品となっています。
見どころをピックアップしてレポートしましたが、このほかにも風景画、肖像画など、様々なクリムトの作風を存分に堪能できる展示となっています。
また、本展の音声ガイドにはゲストナレーターとして稲垣吾郎氏が参加。ベートーヴェンやドビュッシーなどの音楽をBGMにしながら、稲垣氏の作品解説を楽しむことができるので、訪れた際は音声ガイドも是非試してみてくださいね。
会場限定のオリジナルグッズも気になる!
会場最後のミュージアムショップには、ここでしか買えない展覧会オリジナルグッズが充実していましたよ。
ほかの展覧会のグッズではあまり見ない、金箔入りのスパークリングワインや、黄金缶に入った金平糖など、クリムトの「黄金様式」にちなんだ煌びやかなグッズがずらりと並びます。
クリムトの色彩豊かな絵柄をあしらったハンカチやデミタスカップ&ソーサーも素敵でした!
中には、クリムト自身をモチーフにしたミニタオルやフィギュアもあって可愛かったです!
どれも魅力的なアイテムばかりだったので、ミュージアムショップもじっくり見てみてくださいね。
また会場を出た最後には、フォトスポットもありました!クリムト展を訪れた記念に、ぜひ写真を撮ってみては?
いかがでしたか?見ごたえたっぷりのクリムト作品に、どれも欲しくなるオリジナルグッズ、大満足間違いなしの展示となっています。東京・上野の東京都美術館で7月10日(水)まで開催されていますので、気になった方は是非足を運んでみてくださいね〜!
クリムト展 ウィーンと日本 1900
会期:2019年4月23日(火)~7月10日(水)
会場:東京都 上野 東京都美術館 企画展示室
時間:9:30~17:30(金曜は20:00まで、入室は閉室の30分前まで)
休室日:5月20日、5月27日、6月3日、6月17日、7月1日