MATERIAL IN TIME
こんにちは、シオリです。
香港のクリエイティブ施設・PMQ にて昨年9 月に開催され、2,000 名を越える来場者を迎えたデザイン展「MATERIAL IN TIME-PAPER-」の国内初となる凱旋展が、4月26 日(金)から東京・表参道のTIERS galleryにてスタート。内覧会に足を運んできたのですが、とっても素敵な展示だったので、今日は会場の様子をレポートしたいと思います。

“素材”を切り口に日本のクリエイティビティを世界へ発信

MATERIAL IN TIME」は、日本の伝統工芸を支える豊かな素材から、先進的な研究や開発から生み出された新たな素材まで、デザインとの融合により昇華された素材を世界へ発信していくプラットフォーム。

色や素材の魅力を引き出すデザインで様々なクリエイションを手掛けるSTUDIO BYCOLOR秋山かおり氏がプロデューサーを務め、国内からセレクトした企業・デザイナーによる作品を展示・販売するとともに、現地クリエイターとのトークセッションを行うことで交流を深める多角的なプロジェクトとなっています。

MATERIAL IN TIME
そんなMATERIAL IN TIMEの第一回は、「紙」をテーマに 6 組のデザイナー・企業の作品を展示し、12 組の企業の商品を販売。昨年9月に香港で行われたものが、今回日本へ凱旋しました。

香港でも好評を博した本展は、日本にいる私たちも知らないような紙素材とアイデア・デザインが融合した素晴らしい作品ばかりが並びます。自然光がたっぷり入る素敵な空間で、たっぷりと堪能することができますよ!

まだ私たちの知らない紙の魅力に出会える

MATERIAL IN TIME
こちらは、本展のプロデューサーを務めるSTUDIO BYCOLOR秋山かおり氏と、伊勢型紙職人 那須恵子氏とのコラボレーション作品です。型紙とは友禅染や小紋などの型染めに用いる伝統工芸品。本来伊勢型紙は染めの道具ですが、今回のコラボでは型紙そのものがインテリアオブジェという主役のアイテムとなり、新しい魅力が生まれています。オオルリという鳥の形がかわいいですよね。

MATERIAL IN TIME
一見、紙とは思えないこちらは、デザイナー 岡室健氏の作品「CARDBOARD BOX LIGHT」。なんとダンボールに「銀ナノインク」という今注目の導電性のあるインクで回路をプリントし、その上にたくさんのLEDを接着することでつくられた、LEDライトなんです!

「ダンボールなのに光っている!」という違和感がインパクトを与えるだけでなく、紙製から軽いのも魅力。いろんな使い道の可能性を感じます。

MATERIAL IN TIME
本物の葉っぱのようなこちらも、紙なんですよ。「HA KO」という葉っぱの形のお香で、このように空間にあるだけで柔らかい良い香りがします。日本の香の歴史発祥の地と言われる淡路島で1893年創業の老舗・薫寿堂とアートディレクター林俊美がコラボレーションし、長年培ってきた技術力を生かして作り上げました。もちろん火をつけて焚くこともできるのですが、あまりに素敵でずっと飾っておきたくなってしまいますね。

このように、どの作品も私たちが抱いている紙のイメージを飛び越えて、新たな発見をさせてくれるアイテムばかり。じっくり見ていると、あっという間に時間が経ってしまいます!

もっと暮らしの中に取り入れたくなる紙のアイテムたち

MATERIAL IN TIME
こちらは、井本拓夢と坂本諒介によるデザインスタジオbroomがMATERIAL IN TIMEをきっかけに企画し、デザインを手がけた紙でできたバスケット「Paper joint Basket」。「貼合(てんごう)」という加工技術を用いて4枚の紙を貼り合わせることで紙とは思えない強度と表情を実現しているんだとか。

MATERIAL IN TIME
このようにバラバラの状態でパッケージングされていて、ユーザーの手で組み上げるペーパークラフトの様な側面も併せ持っています。色味が絶妙で、インテリアに合わせやすそうなのも魅力ですね。

MATERIAL IN TIME
こちらピアス、ゴールドがまるで金属のような風合いですが、これも紙なんです…!

MATERIAL IN TIME
聖書などの書物を金の箔で縁取る「三方金」という伝統技術が使われたジュエリー「ikue」。原田元輝と横山徳によるTANT inc.のデザイン、生産は製本会社である有限会社篠原紙工とのコラボレーションだそうです。ゴールドの重厚感がありながらも、紙素材なので5g程度の重さしかなく、装着した時に負担を感じにくい設計なんだとか。伝統的な技術と素材が、こんなにも新しいプロダクトになっていることに感動さえ覚えました。

MATERIAL IN TIME
こちらは、1300年の歴史を持つ石川県の伝統工芸「二俣和紙」を用い、染めてから樹脂で加工して作られた「murmur」のアクセサリー。先ほどの金属を感じさせる紙とは対比的に、柔らかさや紙らしい折り目などを生かした形が目を引きます。

MATERIAL IN TIME
その他、「書かれる」だけでなく「読み返される」ものとしてノートを捉え、より美しく読むために開発された「神戸派計画」の罫線まで真っ白なノートや、

MATERIAL IN TIME
以前箱庭でご紹介したこともある「MEETS TAKEGAMI」も。
中越パルプ工業株式会社による日本の竹100%を原料にした「竹紙」とデザインチーム「minna」のコラボレーションによって生まれた商品で、竹をイメージして作られたデザインが素敵です。

MATERIAL IN TIME
活版印刷を中心としたアナログ印刷技術を使い、様々な実験印刷をまとめた「ALBATRO DESIGN」の作品は、もっともっと紙のこと、アナログ印刷のことを知りたくなる展示でした!

素材がテーマというと難しく考えてしまう方もいるかもしれませんが、このように普段の暮らしに取り入れたくなるアイテムもたくさんあったので、ぜひ気軽に足を運んでみてくださいね。

会場自体の魅力も楽しもう

MATERIAL IN TIME
今回、会場となっている表参道の「TIERS GALLERY by arakawagrip」は、ピクチャーレールや店舗のワイヤーディスプレイなどを手掛ける荒川技研工業さんが運営するクリエイター・デザイナーたちの発表・交流の場。

MATERIAL IN TIME
展示内容だけでなく、この会場自体もとっても素敵なのでぜひ注目してみてください。このワイヤーを使ったインテリアもすごく素敵でした!

MATERIAL IN TIME
そうそう、メインの展示室まで上がっていく階段の脇にも、今回展示に協力している法政大学デザイン工学部システムデザイン学科の有志学生の方々の取り組みや、今回出展されたプロダクトにまつわるインスタレーションなども展示されていますのでお見逃しなく。

最終日の5/25(土) 17時からは、出展者の岡室健さん(株式会社博報堂 アートディレクター)と武部健也さん(‘神戸派計画’運営 大和出版印刷株式会社 代表取締役)が登壇するトークイベントも。「Up until now and from now on – 人と紙の関わり合いについて」をテーマにお話されるそうなので、「紙」についてもっと知りたいという方は必見です!

今年12月には「金属」をテーマに香港PMQにて第二回を開催予定だそう。日本独自のクリエイティビティを世界の多くの方々に伝え、新しい繋がりや可能性を広げられる本展。ぜひみなさんも期間中に遊びに行ってみてくださいね!

    MATERIAL IN TIME -PAPER- 凱旋展

    日程:4/26-27, 5/3-4, 5/10-11, 5/17-18, 5/24-25 (4/26〜5/25の金・土曜のみ)
    開催時間: 12:00〜20:00
    会場:TIERS GALLERY by arakawagrip
    住所:東京都渋谷区神宮前5丁目7-12 ※表参道駅から徒歩3分
    出展者:岡室健, ikue, 神戸派計画, broom, 株式会社薫寿堂, STUDIO BYCOLOR ALBATRO DESIGN, murmur, MEETS TAKEGAMI
    主催: MATERIAL IN TIME実行委員会 秋山かおり、野村真知子、村上晴香、武田昌也
    特別協力:荒川技研工業株式会社
    協力:日本出版貿易株式会社、株式会社山越、株式会社薫寿堂、神戸派計画、株式会社システムクリエイツ、法政大学デザイン工学部システムデザイン学科 有志
    関連サイト:
    http://www.materialintime.com
    https://www.facebook.com/materialintime