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約200点のセラミックやテキスタイルなどの作品が一挙に見られる!

こんにちは、箱庭編集部 moです。
今日ご紹介するのは、東京ステーションギャラリーで2019年4月27日(土)から開催中の展覧会「ルート・ブリュック 蝶の軌跡」です。先日内覧会に足を運んできたのでレポートしたいと思います。

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本展は、名窯アラビア専属で約50年にわたって活躍したフィンランドを代表するアーティスト、ルート・ブリュックの作品を紹介する展覧会。
ブリュックによる、1点もののレリーフを中心に、セラミックやテキスタイルなど約200点を通じて、その多彩な仕事を網羅する日本初の展覧会です。前期から後期へとドラマティックに変化するブリュックの作風に触れることで、「明るく、かわいい」印象で語られがちな「北欧・フィンランド」のイメージを刷新する内容になっています。

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3階の入口を入るとまず目に飛び込んでくる作品《心のモザイク—— ルート・ブリュック、旅のかけら》。こちらの作品はルート・ブリュックの長女であるマーリア・ヴィルカラ(現代アーティスト)によるインスタレーションです。
ルート・ブリュックが制作したタイルをマーリア・ヴィルカラが組み替え、ブリュックの人生と仕事の変遷を時系列で繋げた、いわば言葉のない年譜であり、本展の縮図のような作品なんです。この作品のように豊かに変遷する多彩なブリュックの仕事を、ぜひ本展で楽しんでください。

ブリュックが作り出すロマンティックでスピリチュアルな世界観

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初期の作品では、愛らしい陶板から膨大なピースを組み合わせた晩年の迫力あるモザイク壁画まで幅広い作品を楽しむことができます。物語を感じるロマンティックな図柄や、どこかスピリチュアルな印象のレリーフなど、初期作品の中でも様々な表現を楽しめます。

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今も多くの人びとを魅了する、重厚でエレガントな釉薬の輝きと独自の自然観に基づく繊細な図や形態。思わず近くまで寄ってまじまじと見入ってしまうほど美しかったです!

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メインビジュアルになっている作品《ライオンに化けたロバ》(1957)も3階の展示室で見ることが出来ます。ライオンのたてがみの1つ1つがどれも違う輝きで、まるで宝石みたいな美しさでした…!是非実物を見てみてくださいね。

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またブリュックの父が蝶の研究者だったことから、蝶のモチーフの作品も多く手掛けています。色鮮やかなタイルに描かれた蝶たちはどれも美しく、まるで標本のようでした。

ダイナミックなタイル壁画の迫力に魅了される

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2階の展示室からはブリュックの50年代後半以降の作品を楽しむことができます。具象から抽象表現へと流れるように変化していく作風がみどころとなっています。

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いかがですか?先ほどまでご紹介していた作風と全然違いますよね!同じ人の作品なの?と疑問に思ってしまうほど、モチーフは抽象化され、タイルも繊細なものになっています。

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1970年代後半から教会や市庁舎など公共建築のための大型壁画を制作していたというブリュック。もともと「建築家になりたい」という希望をもっていたというブリュックだからこその表現ではないでしょうか。

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数千数万という膨大な数のタイルを手作業で組み合わせたダイナミックな壁画は間近で見ると圧巻ですよ!
繊細さと力強さと共存するモザイク壁画は、高度な技術と類まれな造形・色彩感覚が融合したブリュックの芸術の真骨頂といえる作品です。

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最後に紹介されていたのは、1970年代以降の作品、シンプルな幾何学模様のタイル壁画です。陶のピースによって、平面上に光と影を立体的に表現しようとしたという作品。モノクロのタイルと陰影が美しいです。

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豊かな色彩表現から始まり、最後はシンプルで自然な表現に行き着く。本当にドラマティックな作風の移ろいで、ブリュックの人生そのものをこの展覧会を通して感じられた気がしました。

いかがでしたか?一言では言い表せないほど多彩で、みどころのある展示でした!ここでご紹介したのは約200点ある作品のうちのほんの一部です。気になった方は是非実際に足を運んでみてくださいね〜!

    ルート・ブリュック 蝶の軌跡

    会期:2019年4月27日~6月16日
    会場:東京ステーションギャラリー
    住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
    TEL:03-3212-2485
    時間:10:00~18:00(金~20:00)
    休館日:月(6月10日を除く)
    観覧料:一般 1100円 / 高校・大学生 900円 / 中学生以下無料
    アクセス:JR東京駅丸の内北口改札前
    URL http://www.ejrcf.or.jp/gallery https://rutbryk.jp