クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:《合間に》2010)

こんにちは、シオリです。
今年開催される展覧会のなかでも私が心待ちにしていたものの一つが、先日ついに開幕となりました!国立新美術館で2019年6月12日(水)から9月2日(月)まで開催される展覧会「クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime」です。

日本では過去最大規模!現代アーティスト クリスチャン・ボルタンスキーのこれまでの活動を紹介する回顧展。

現代のフランスを代表するアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキー。1960年代後半から短編フィルムを発表、1970 年代には写真を積極的に用いて、自己や他者の記憶にまつわる作品を制作し、注目されます。1980年代に入ると、光を用いたインスタレーションで宗教的なテーマに取り組み、国際的な評価を獲得。その後も歴史や記憶、人間の存在の痕跡といったものをテーマに据え、世界中で作品を発表しています。

クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会場に訪れたクリスチャン・ボルタンスキー氏。)

日本との縁が深く、「瀬戸内国際芸術祭」では『心臓音のアーカイブ』、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」では『最後の教室』などの作品を発表しています。そのユニークな作品を見たことがあるという方も多いのではないでしょうか?

そんなボルタンスキーの1960年代後半から始まった作家活動の全貌を紹介する、日本では過去最大規模の回顧展となる本展。今日は、気になる展覧会の様子を少しだけみなさんにお届けしたいと思います!

作品を見て、感じて、考える。キャプションの無い展示会場。

クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:《出発》2015)

展覧会は、こちらの《出発》という作品からスタート。光を用いて観るものの心を掴むボルタンスキーらしく、今回の会場内も暗い空間を進んでいきます。

クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:上は《コート》2000, 下は《青春時代の記憶》2001)

会場に入った瞬間から、作品たちが作り出す空気に引き込まれていきます。この作品は何を表現しているんだろう?と気になりますが、会場内には作品キャプションは見当たりません。

それは、ボルタンスキーが「展覧会は一つの作品だ」と考え、「作品を見て、感じて欲しい。そして、そこから出てくる哲学的考察に身を任せて欲しい」という想いを持っているから。

クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:《合間に》2010)

こちらは、ボルタンスキー自身の7歳から65歳までのイメージが投影される紐状のカーテンを、観客がくぐり抜けていくという作品。こうした日常にはない体験の連続に、どんどん不思議な感覚に包み込まれていきます。

代表作《モニュメント》の展示も必見!

クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:《モニュメント》1986)

各世代の代表作で構成されている本展。1980年代の作品である《モニュメント》を中心とする展示も必見です。モニュメントは、額に入れられた子供たちのモノクロ写真が電球に囲まれ、祭壇のようにも見える作品。そのぼんやりとした光は神聖さを感じさせます。

クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:左から《シャス高校の祭壇》1987, 《聖遺物箱(プリーム祭)》1990, 《小さなモニュメント》1986の一部)
クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:左から《小さなモニュメント》1986の一部, 《死んだスイス人の資料》1990, 《聖遺物箱(プリーム祭)》1990)

ここまで多くの作品が一箇所に集まった展示は、圧巻としか言いようがありません!ぜひ、皆さんにもこの感覚を味わっていただきたいです。

会場の特徴を踏まえた迫力ある展示

クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:天井から《スピリット》2013, 下は《ぼた山》2015)

大阪の国立国際美術館を皮切りにスタートした本展。「空間のアーティスト」と自負するボルタンスキー曰く、大阪会場との違いは天井が高いことだそうで、今回はそれを生かした展示がなされているそう。この後は長崎県美術館へも巡回しますが、会場ごとに異なる魅力を感じてみたくなりますね。

クリスチャン・ボルタンスキー
《発言する》に自ら耳を傾けるボルタンスキー氏。あの世の門番とされる人形からは、何が聞こえてくるのでしょうか?

私たちに自分自身の死について、そして死後の世界へはどうやってたどりつくのかということを問いかける、こちらの作品。ぜひ、唯一無二のこの空間の中で、じっくりと体験してみてください。

全47作品!貴重な機会をお見逃しなく。

日本では過去最大とも言われる本展に集められたのは、全47作品。この記事でご紹介している作品以外にも、一つ一つがインパクトあるものばかりでついつい長居してしまうこと間違いなしです!

クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:《アニミタス(白)》2017)
クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:《ミステリオス》2017)
クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:《白いモニュメント、来世》2018)
クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime
(展覧会風景:《黄昏》2015)

「クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime」展は、国立新美術館にて2019年6月12日(水)から9月2日(月)までの開催です。会期中は、以前ご紹介している「吉岡徳仁 ガラスの茶室 – 光庵」も観られますよ。貴重な機会を、どうぞお見逃しなく〜!

※写真は全て「クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime」展 2019年 国立新美術館展示風景


    クリスチャン・ボルタンスキー ― Lifetime

    会期:2019年6月12日~9月2日
    休館日:火曜日
    開館時間:10:00~18:00(6月の金土〜20:00、7・8月の金土〜21:00) ※入場は閉館の30分前まで
    会場:国立新美術館 企画展示室2E
    住所:東京都港区六本木7-22-2
    TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    観覧料:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円 / 中学生以下無料
    https://boltanski2019.exhibit.jp