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様々な“翻訳”の可能性を考える。「トランスレーションズ展 -『わかりあえなさ』をわかりあおう」をレポート!

トランスレーションズ展
トランスレーションズ展
2012トランスレーションズ展_03
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こんにちは、haconiwa編集部の山北です。
言語が異なる者同士でも様々な翻訳ツールで簡単にコミュニケーションを取ることができる現在。そんな「翻訳」にフォーカスした新しい企画展「トランスレーションズ展 -『わかりあえなさ』をわかりあおう」が、六本木・東京ミッドタウン内にある21_21 DESIGN SIGHTで10月16日から新たに始まりました。
展示タイトルの“「わかりあえなさ」をわかりあおう”とは一体何なのか?展示会の様子について詳しくレポートしていきます!

わかりあえない他者同士が意思疎通を図るプロセスとしての「翻訳」

トランスレーションズ展

21_21 DESIGN SIGHTにて、10月16日よりスタートした企画展「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」。
展覧会ディレクターには、国籍を超えてさまざまな表現媒体に携わる情報学研究者のドミニク・チェンさんを迎え、さまざまな「翻訳」のあり方を提示する作品が並びます。

「翻訳」の意味を広く捉え、ときには言語以外の身体表現などの翻訳も試みた、コミュニケーションについて改めて考える展示になっていましたよ。

コミュニケーションの可能性を拓く、様々な作品が集結。

本展の作品は、大きく分けて7つのテーマに分かれており、「ことばの海をおよぐ」や「伝え方をさぐる」、「体でつたえる」、「モノとのあいだ」などそれぞれ違ったアプローチで「翻訳」のあり方を試行しています。

トランスレーションズ展
「トランス・ポート」

会場に入ってまず初めに出会うのは、「ことばの海をおよぐ」の「トランスポート」。国際空港の入り口のように、様々な声が飛び交う「PORT(港)」をイメージしたイントロダクションです。

2012トランスレーションズ展_03

本展は、作品ごとに持ち帰ることのできるキャプションがそれぞれ用意されています。裏表に日本語版と英語版が記載されていて、キャプションを道標に作品を巡ることができます。

ちなみに、こちらのキャプションや全体のグラフィックデザインを手がけるのは、デザイン事務所cozfishの祖父江 慎さんと藤井 瑶さん。境界があいまいな「翻訳」という概念をとらえた展示会のビジュアライズにも注目です。

トランスレーションズ展
Google Creative Lab+Studio TheGreenEyl+ドミニク・チェン「ファウンド・イン・トランスレーション」

AIによる自動翻訳を用いた作品「ファウンド・イン・トランスレーション」は、壁面にずらっと並んだモニターが印象的な体験型の展示。モニターごとに異なる言語が表示されていて、複数の言語を一度に体験できる部屋になっています。

トランスレーションズ展
Google Creative Lab+Studio TheGreenEyl+ドミニク・チェン「ファウンド・イン・トランスレーション」

中央のマイクに近づくと、目の前にこんな表示が!
鑑賞者がマイクに話しかけると、多言語機械翻訳によって言葉が変換され、「翻訳」の過程が可視化されます。自分が発した言葉が、ほとんど知らない言葉で壁一面に表示される不思議な体験を、ぜひ楽しんでみてください。

トランスレーションズ展
エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界のことば」

次の部屋へ進むと、三角柱の柱がランダムに並ぶ展示空間が広がっていました。
こちらの作品は、イラストレーターのエラ・フランシス・サンダースさんが、世界中の翻訳できない表現を集め、イラストと共に紹介した本「翻訳できない世界のことば」。今回は、作家本人が厳選した言葉とイラストを展示しています。

トランスレーションズ展
エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界のことば」

どれも「世界にはこんな言い回しがあるのか!」と驚くものばかりなのですが、私が気になったのはこちら。
インド南西部の言葉「KARELU」は、肌についた、締めつけるもののあとという意味だそう。一言で表現できる言葉があるということは、それだけ「KARELU」が日本より身近な存在なのかな〜と、この言葉を使う現地の人々へ想像が膨らみました。

文字や言語にとどまらない、「翻訳」のあり方。

トランスレーションズ展
本多達也「Ontenna(オンテナ)」

本展が捉える「翻訳」は、文字を介した言語のみではありません。
こちらの作品は、音の聞こえない聴覚障がい者の方でも音を感じられるデバイス「オンテナ」。

トランスレーションズ展
本多達也「Ontenna(オンテナ)」

映像に現れる動きに連動して、野菜を切る音や花火など、らしさを感じる振動が手元のデバイスに伝わってきます。
実際にオンテナをつけて真夏の公園へ出かけてみた聴覚障がい者が、生まれて初めてセミの鳴き声を“体感”したそう。

このように、視覚、聴覚といった感覚や身体表現などを用いて、送り手と受け手をつなぐ架け橋としての機能も「翻訳」と捉え、異なるもの同士が意思疎通を取るプロセスを様々な作品で紹介しています。

トランスレーションズ展
伊藤亜紗(東京工業大学)+林 阿希子(NTTサービスエボリューション研究所)+渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)「見えないスポーツ図鑑」

当初、目の見えない人とともにスポーツを観戦する方法を探る研究から始まったこちらの「見えないスポーツ図鑑」。その後、研究者たちは、アスリートの感覚や競技のエッセンスを誰でも追体験できるよう、異なるふたつの「かんせん」方法を編み出しました。
ひとつは、試合の流れや駆け引きをリズムや身体感覚を通して翻訳する「感戦」。もうひとつは、選手の主観的感覚を身近な日用品を使って翻訳する「汗戦」です。
目で見る「観戦」とは違った、新しいスポーツの姿が、このように翻訳を通すことで現れてきますよ。

トランスレーションズ展
清水淳子+鈴木悠平「moyamoya room」

言語の「わかりあえなさ」や、視覚・聴覚など身体感覚の「わかりあえなさ」だけでなく、誰もが抱える、こんな「わかりあえなさ」の翻訳も。

こちらは、言葉を尽くしても伝えることが難しい「こころの内側」を翻訳するために、複雑な思考や対話のプロセスをかたちや色で描いていく「グラフィックレコーディング」の手法を用いたワークショップの実施の記録です。

トランスレーションズ展
清水淳子+鈴木悠平「moyamoya room」

ワークショップでは、①こころのモヤモヤを語る→②モヤモヤを可視化する→③可視化されたモヤモヤを囲んで、みんなで対話する というプロセスを経て、「こころの内側」の翻訳をチャレンジしています。

仕事のコミュニケーションや家族間での会話など、実生活にも役に立ちそうな内容で、モヤモヤを共有することの難しさや必要性を感じました。

時代や生物の「翻訳」を試みる作品も。

トランスレーションズ展
長岡造形大学「縄文のある暮らし」

火焔土器や土偶の女神像「ミス馬高」を、長岡造形大学の学生や教員たちが様々な現代の生活プロダクトへと翻訳した作品「縄文のある暮らし」。

トランスレーションズ展
長岡造形大学「縄文のある暮らし」

現代の暮らしと縄文時代のらしさを組み合わせた作品は、すぐにでも縄文スタイルを生活に取り入れることができそうなプロダクトばかりです。

生活プロダクトというモノを通して時代を「翻訳」する新しさに、本展が捉える「翻訳」の幅広さを感じます。

トランスレーションズ展
シュペラ・ピートリッチ「密やかな言語の研究所:読唇術」

さらに、植物の声なき声を聴く、こんな展示も。
植物の葉にある気孔と呼ばれる無数の小さな穴が、まるで動物の唇のように見えることから、気孔の開閉を読唇術や人工知能を用いて「読み取り」、植物たちが何を言っているのか解釈する「密やかな言語の研究所:読唇術」。
本来、空気を取り入れるためにしている気孔の動きを、読唇術で大真面目に解読する姿に思わずクスッと笑ってしまいました。植物たちの気孔からどんな言葉が出てくるのか、ぜひ会場で確かめてみてください。

トランスレーションズ展
やんツー「観賞から逃れる」

最後に、3つの作品からなる展示「観賞から逃れる」をご紹介。
絵画、映像、彫刻の3つの作品が、タイヤやローラーなど動く既製品と組み合わされたこの作品。
なんと、作品に近づくと、作品自ら鑑賞者との距離を測り、それぞれの方法で距離をとろうとするんです。

トランスレーションズ展
やんツー「観賞から逃れる」

彫刻(仏具)の作品に近づいて眺めると、私の方を向きながら「ソーシャルディスタンス」を説いて観賞から逃れようとしてきました(笑)
見た目の面白さだけでなく、鑑賞するという行為そのものについて改めて考えるきっかけになる作品です。

「翻訳」というコミュニケーションを通して、他者の考えや異文化の魅力を感じさせる、「トランスレーションズ展 -『わかりあえなさ』をわかりあおう」。
今回ご紹介しきれなかった作品が、本展には他にもまだまだありますよ。この機会にぜひ会場で、様々な「翻訳」について、見て、体験して、考えてみてくださいね〜。

企画展「トランスレーションズ展 -『わかりあえなさ』をわかりあおう」

会期:2020年10月16日〜2021年3月7日
開館時間:平日 11:00 – 18:30(入場は18:00まで)
土日祝 10:00 – 18:30(入場は18:00まで)
休館日:火曜(2月23日を除く)、年末年始(12月26日 – 1月3日)
入館料:一般1,200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
URL:http://www.2121designsight.jp/program/translations/

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