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和田誠の83年の生涯で制作した多彩な作品に迫る。東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の「和田誠展」をレポート。

和田誠の83年の生涯で制作した多彩な作品に迫る。東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の「和田誠展」をレポート。

こんにちは。haconiwa編集部 モリサワです。
イラストレーター、グラフィックデザイナーとして広く知られている和田誠さん。2019年に亡くなられるまで、映画監督、エッセイスト、アニメーション作家、作詞・作曲家、編集者など、さまざまなジャンルで活躍されました。

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東京オペラシティ アートギャラリーでは12/19(日)まで和田さんのお仕事を一挙公開した「和田誠展」が開催中です。代表的な作品から、こんな作品も手がけていたの?と知っているようで知らなかった和田誠さんの作品を知ることができる本展の様子をレポートします。

和田誠の仕事の全貌に迫る、約2800点もの作品や資料を展示。

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本展では、和田誠さんの仕事を「似顔絵」「児童書のイラストレーション」「ポスター」「LPジャケット」など30のトピックスを中心に、ビジュアル年表に沿って約2800点もの作品や資料を紹介しています。

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展示室に入ってまず目にするのは、天井まで続く「似顔絵」。国内外のいろいろなジャンルの著名人を描いた作品が壁一面に並べられています。

和田さんといえば「似顔絵」というほど独特のタッチで多くの方を描かれていますが、最初に似顔絵を描くことを意識したのは小学生の頃なのだそう。

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「和田誠になるまで」のコーナーでは、4歳のころに描いた絵物語をはじめ、和田さんのルーツともいうべき、幼少期や学生時代に描いた作品や詩集、スケッチが展示されていました。

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のちにイラストレーター・グラフィックデザイナーの道を歩んだ、和田さんの原点を改めて知ることができるのも、この展示会の魅力のひとつです。

多摩美術大学在籍中に制作したLPジャケットやポスター、オリジナル作品なども多数展示されていましたよ~。

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こちらは、和田さんを代表するたばこ「ハイライト」のお仕事。版下がありました。

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1960年代に制作されたものですが、温かみのあるレトロなパッケージは、今見てもまったく色あせることのないデザイン。手書きの資料まで見られるのはすごいですよね~。

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こちらは、残念ながら採用はされませんでしたが、たばこ「ハイライト」の試し刷り。
“闇の中でピカリと光るもの”をイメージし実際に光を撮影した写真を使ってデザインされたのだそう。

ビジュアル年表のエリアには他にも、ライトパブリシティ勤務時代にアイデアを凝縮させて描いていた「ひとコマ漫画」や、「児童書のイラストレーション」、和田さんのユーモアを感じる作品を紹介した「パロディ」など、貴重な手書きの資料や作品が数多く集められています。

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特に「絵本」のコーナーでは、詩人の谷川俊太郎さんや高橋睦郎さんなどに詩や文章を依頼して、自ら出版した「私家版絵本」など、多くの絵本の展示もあるので、じっくりと楽しんでみてくださいね~。

圧倒される質と量!たっぷりと鑑賞できるロングランの仕事や制作。

展示の後半エリアには、「週刊文春」をはじめとする、長年続けてこられたポスターや本の装丁などが一堂に集められ、思わず圧倒される展示になっています。

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こちらは、和田さんが印刷所で声をかけられ、9年間無償で製作された「新宿日活名画座のポスター」。

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さらに奥へ進もうとすると、壁一面に展示された「草月アートセンターのポスター」が展示されていました。この量!思わず圧倒されますね。

草月アートセンターとは1958年に勅使河原宏氏をデレクターとして発足した、ジャンルにとらわれずにアーティスト同士が交流を深められる場所。そこで和田さんはアーティストや現代音楽家と交流を深めていきながら、ポスターを制作していたのだそう。ひとつひとつ見ていくと、和田さんの幅広い好奇心が垣間見えます。

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ポスターを端までじっくり鑑賞しながら歩いて行くと、反対の面には、40年以上に渡り、2000号分を制作した「週刊文春」の表紙が!

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一見、ランダムに並べられているように感じるのですが、スタッフの方に聞いてみたところ、この展示のために、表紙を絵のモチーフごとにグルーピングをされたのだそう。会場ではぜひ、その並びにも注目してみてくださいね~。

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「週刊文春」の表紙のモチーフになった原画も展示されているので、こちらもお見逃しなく。

映画監督やレコードジャケット、装丁。多彩なジャンルのお仕事。

映画ファンとして手がけられたポスター、「怪盗ルビィ」などの映画監督を務められた時の絵コンテ、劇場のポスター、レコードジャケット、アニメーション、装丁など、多彩なジャンルのお仕事も展示されています。さまざまな顔を持ち、さらに広がりをみせていく和田さんの世界に触れることができます。

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和田さんが手掛けられたレコードジャケット

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1960年代のライトパブリシティ時代の思い出を綴った『銀座界隈ドキドキの日々』(1991年)
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装丁に見る和田誠

書籍をよく見てみると和田さんの装丁の特徴として、「和田文字」があります。映画のタイトルやポスター、レコードジャケットに使われたロゴタイプを参考に、独自のスタイルを生み出しています。
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こちらの「装丁にみる和田文字」コーナーでは、温かみのある文字をより近くに感じることができますよ。

手書きならではの揺らぎを活かした描線や袋文字、既存の活字をデフォルメさせたものも集められています。

好きなことを追求しながら、細やかで丁寧な和田さんのお仕事のひとつひとつに触れていく度に、「すごいなあ~」と、思わずため息がもれてしまいます。

個性豊かな「家族との仕事」。

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和田さんといえば、個性豊かなご家族。その家族とともに作った「ひ も ほうちょうも つかわない 平野レミのおにぎりブック」。レシピはレミさんが担当し、絵は和田唱さん、和田率さんが子供のころに描いた絵を使った料理ブックなのだそう。

和田さんは「子どもというものは誰だって絵がうまい。純粋に物を見て素直に描くからだよ」と語られています。本当にすごく上手に描かれていますよね~。

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レミさんのためにデザインした、オリジナル眼鏡も展示されていました。レミさんがとても似合いそうな楽しいデザイン。家族との仕事でも和田さんのユニークさは変わらず、楽しさであふれているように感じました。

ミュージアムショップでは、オリジナルグッズも多数!

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ミュージアムショップでは、東京会場限定、「和田誠 復刻ラベル ワインワイングラス」など、和田誠展のオリジナルグッズもありました。ラベルがかわいい~!

他にもTシャツ、マグネット、タオルや、和田さんが使っていた原稿用紙の復刻盤なども販売がされているので、忘れずにチェックしてみてくださいね。

和田さんの膨大な仕事量や質、種類の多さに触れる「和田誠展」。
ユニークで好奇心あふれる人柄を感じながら巡ることができますよ。今回紹介しきれなかった作品が本展にはまだまだあります。ぜひ、会場で83年の生涯で製作した多彩な作品の数々を、じっくり体感してみてはいかがでしょうか。

「和田誠展」は、2022年から2023年にかけて熊本、新潟(調整中)、北九州、愛知の巡回展も予定されているので、お近くの会場へぜひ足を運んでみてくださいね~。

和田誠展

会期:2021年10 月9 日(土)~12 月19 日 (日)
時間:11:00-19:00 ※入場は18:30 まで
休館日:月曜日
入場料:一般1,200円/大・高生800円/中学生以下無料
URL:http://wadamakototen.jp/

会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2

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