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テキスタイルの産地・富士吉田で開催中!アートと織物が融合した「FUJI TEXTILE WEEK 2021」へ行ってきました
こんにちは、haconiwa編集部の山北です。
山梨県富士吉田市で開催中のアートイベント「FUJI TEXTILE WEEK 2021(フジ テキスタイル ウィーク)」。富士山の麓で楽しめる布を用いた体験型アートや、機屋(はたや)さんの技術が詰まった作品など見どころが盛りだくさんでしたので、さっそくレポートしていきます。
TOP画像 撮影:吉田周平
今年初開催!アート×織物産業の芸術祭「FUJI TEXTILE WEEK 2021」
富士山に1番近い町として豊かな自然に囲まれた富士吉田市。実は、1000年以上続く織物の産地として栄えてきました。そんな富士吉田の中心市街地周辺にある空き店舗や蔵、旧銀行などを舞台に、「織りと気配」をテーマとした「FUJI TEXTILE WEEK 2021」が現在開催されています。
この芸術祭は、機屋による「機屋展示」と、大巻伸嗣さんや郡裕美さん、西尾美也さんらをはじめとする10組のアーティストによる「アート展」の主に2つの企画展を実施。トークショーなどの交流プログラムも楽しむことができます。「機屋展示」は12月10日(金)〜12月12日(日)の開催のため終了しましたが、「アート展」は2022年1月9日(日)まで見ることができますよ。
大正〜昭和の最盛期には6000軒もの織物工場が街に点在していたという富士吉田市。近代化の流れとともに減少の一途を辿るなか、ここ10年で地方創生の取り組みや大学生とのコラボレーションプロジェクトなど、産業の再生を目指す取り組みをさかんに行ってきました。
さらなる発展や、多様な人々が産業と出会う場となることを目指して開催された本イベント。テキスタイルとクリエイティビティが混ざり合った作品が、街のいたるところに展示されています。
10組のクリエイターによるアート作品が街中に出現。
アート展ではテキスタイルからインスピレーションを得てつくられた作品や、富士吉田の機屋との共創によって生まれた作品を展示しています。
作品のほとんどが中心街から歩いて巡ることのできる場所に設置されているので、お散歩気分で各会場を巡ることができますよ。
今回は実際に行ってみて特に気になった作品をそれぞれご紹介していきます!

空き店舗として数十年が経った味のある風合いの旧スルガ銀行に展示されている「トキノカゲ」は、現代美術作家・大巻伸嗣さんによる巨大インスタレーション作品。
まるで浮遊しているように見える黒い布は、下から吹き上げる制御された気流によって耐え間なく揺らぎ、変化し続けます。
見る角度によって布の色や雰囲気がガラッと変わる表情に注目です。じっと静かに見続けることで、禅にも近い瞑想的な気分に包み込みまれます。

同じ旧スルガ銀行の屋上に設置されているのは、穴の空いた巨大な布を屋上一面に張った作品「裏地/裏富士」。服の裏地を多く生産する富士吉田にちなんで、裏地で使用する生地を縫い合わせた大きな布を制作しました。
鑑賞者は布を下からくぐり、所々空いた穴から頭を出すことで作品に参加します。暗い布の下からパッと頭を出した時、目の前に広がる大きな富士山はまさに絶景!風になびく布はまるで海の波に身を任せているような不思議な感覚もありました。

約70年近く続いた洋品店をギャラリー状に改修した「旧すみれ洋装店」では、アーティスト手塚愛子さんによるインスタレーション作品を展示。
手塚さんは、この場所で洋品店を営んでいた店主すみれおばあちゃんの人生に思いを巡らせながら、時間を巻き戻すように織物を解きほぐした作品と、残されていたミシンなどを組み合わせた空間を制作。部屋のあちこちにすみれさんにまつわる道具や写真を見ることができます。

FUJI TEXTILE WEEKの会場内でひときわ異彩を放っていたのが、こちらの「INTER-WORLD/SPHERE」。空き地にゆらゆらと揺れる巨大なバルーンはホログラム加工をしたポリフィルムでできており、なんと中に入ることができるんです!
バルーン内は、風で揺れるパステルのグラデーションを眺めているだけで飽きない魅惑的な空間。寝転がって天井を見つめていると、なんともいえない心地よさがあり癒されます。
日照条件によって色や空間の雰囲気が変化するそうなので、色々な時間帯で体験してみてくださいね。

約40年前に営業していたレトロな趣きのある「旧ニコル喫茶店」では、高須賀活良さんによる2体の彫刻作品「Species」を展示しています。
作品を構成する素材は、なんと植物の種子である「くっつき虫」と赤い糸。これらを合体させることで、支持体を持たない大きなひとつの塊を作り上げています。近くで見たり、離れてみたりして、ぜひ今までにない質感を鑑賞してみてください。

サステナブルデザインを探究しプロダクト開発からアートワークなど幅広く活動するユニットmaison 2,3が制作したのは、破棄されたTシャツを素材として「地球」を作り出した作品「EYE」。要らなくなったもので出来た「地球」を見た時に、この惑星を覆うものが資源に見えるのか、それともゴミに見えるのか?
無意識のうちに目を逸らしがちな地球環境について鑑賞者に問いかけています。

立体作品が多い中、絵画でテキスタイルとの関係を探る作品もありました。
こちらは、鮮やかな色彩のストライプや曲線でテキスタイルを彷彿とさせる絵画作品「untitled」。平面的な表現の中に奥行きや立体感を感じるのが不思議で引き込まれます。
今回ご紹介した以外にも街のあちこちに作品が展示されているので、ぜひ公式パンフレットのマップを見ながら巡ってみてくださいね。
アート鑑賞を堪能した後は、富士吉田のグルメスポットやお買い物を楽しむのもおすすめです!
話題の喫茶店やテキスタイル小物が買えるお土産スポットも充実!
歩き回った後は、ゆったりできる喫茶店はいかがでしょうか?
アート作品が多く並ぶメインエリアの商店街にある「喫茶檸檬」は、渋谷のデザイン会社「れもんらいふ」が空き店舗を改装し、今年9月にオープンした新しいお店です。おじやや檸檬拉麺などのオリジナルメニューに加え、富士吉田市の産品であるブランド魚を使用した西京焼き、手作りスイーツを味わえます。
私は、富士山のカタチを模した「富士ガトーショコラ」と猿田彦珈琲とコラボした瓶入りの珈琲牛乳をいただきました。
富士山と麓の街並みが壁に描かれたおしゃれな店内は、旅の疲れを癒すのにぴったり◎
また、富士吉田の様々な機屋さんの布製品が並ぶショップ「ヤマナシハタオリトラベル mill shop」はお土産探しにおすすめ。
バッグや靴下、傘、ネクタイ、ポーチなど、機屋さんの技術が詰まった現代的なデザインのアイテムが多数揃っています。富士山駅の商業施設Q-STA内にあるので、お帰りの際にぜひ立ち寄ってみてください!
産業として発展した織物が新たにアートと融合するとこで、さらなる可能性を見せている「FUJI TEXTILE WEEK 2021」。
あらゆる角度からテキスタイルへアプローチした作品は、どれも新鮮な刺激を与えてくれるものばかりでした。観覧料は無料なので、ぜひ家族やお友達と一緒に富士吉田へ足を運んでみてください〜!
FUJI TEXTILE WEEK 2021
会期:2021年12月10日(金)〜2022年1月9日(日)
時間:10:00 〜16:00
休場日:12月13日〜15日、12月20日〜22日、12月27日〜1月5日
観覧料:無料
会場:山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺および地域の機織工場
メインエリア:山梨県富士吉田市下吉田2丁目1
アクセス:http://fujitextileweek.com/access/
富士山駅から徒歩20分
下吉田駅から徒歩5分
HP:http://fujitextileweek.com/
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