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総勢72名の作家が未来について問う。「2121年 Futures In-Sight」展が六本木・21_21 DESIGN SIGHTで開催中!

こんにちは。haconiwa編集部です。
本日は、東京ミッドタウン内にある21_21 DESIGN SIGHTで開催されている企画展「2121年 Futures In-Sight」展をレポート。日本版『WIRED』の編集長・松島倫明氏をディレクターに迎え、物理学、ファッション、民俗学、哲学、デザインなど、様々な切り口から100年後の未来について思考する展覧会の模様をご案内していきます!
宇宙の歴史138億年のスケールを歩いて体感!
未来のことを考える前に、私たちのこれまでの歩みを振り返ろう、ということでメイン会場までの道には「宇宙138億年の歴史を歩く」と題し、ビッグバンから始まる宇宙の138億年の歴史を地球時間1年(365日)で表現したインスタレーションが展示されています。
壁の電飾は宇宙の歴史上とくに重要な出来事を表していて、電飾のその距離感を確かめながら歩くことで、138億年というスケールの大きさを身体で感じることができます。例えば、銀河系が形成されたのは地球時間の1年でいうと3月16日にあたるそう。ヒト科の生物が現れたのは、なんと12月31日の14時ごろ。
宇宙の歴史を考えると、人間の歴史は本当にごく最近の出来事なのだなあと驚きました!
「Future Compass」から導き出した“問い”を起点につくりだした、総勢72名の作家による作品
メイン会場へ入ると、巨大な「Future Compass」(未来の羅針盤)が出迎えてくれます。
これは疑問詞、時間、動詞の3つの層で構成されていて、それぞれのキーワードを自由に組み合わせることで未来に向けた「問い」を導き出すものです。
本展ではデザイナー、アーティスト、思想家、エンジニア、研究者など総勢72名の参加者たちとともに、「Future Compass」をもとに問いを立て、言葉やモノを用いて未来を想像したり「未来を考えるという行為」について考える展示になっています。
例えば、こちらは物理学博士・舩橋真俊氏の作品です。「What」「Futures」「Create?」というキーワードから「100年後の未来に、全ての命と生きていくための想像力の共通基盤とは?」という問いを導き出しています。
都市と建築の新陳代謝を進めるための方向を示す「メタ・メタボリズム宣言」を提唱する舩橋氏は、本作品で人間と自然がバランスを取りながら互いの能力を活かし合うような新しい都市の風景を提示しています。
モノで表現した作品だけでなく、文章を中心とした展示も多数。まるで立体的な雑誌のような、とても見応えのある展示になっています!
展覧会に足を運んだらぜひ体験していただきたいのが、クリエイティブ集団・PARTYによるこちらの作品『バック(キャスト)します』。「人は過去の経験やデータをもとに近い未来を予測するけれど、もし遠い未来を先に想像して現在に戻ってくる場合は近い未来をどのように予測できるのか?」という問いから始まる思考の旅を映像で体験することができます。
車のフロントガラス、リアガラスに当たる部分にはモニターがあり、音も前後から聞こえたりと臨場感抜群。どんな旅になるのかは、実際に乗って体感してみてくださいね。
こちらは東京藝術大学Sputniko! Lab(M2 岩藤愛実)による『幸せになるウイルス』。「ウイルスのデザインが身近になったら」という問いから発案された、精神安定や幸福感をもたらすと言われるセロトニンの受容体を発現するウイルスの研究の様子が紹介されています。
もしこのウイルスが広まったら、現在起こっているコロナウイルスの流行とは反対の「幸せなパンデミック」が起こるのでしょうか?
深澤直人さんの作品『REAL FOOD』は、未来にありうる食品のパッケージを展示しています。流通や保存を合理的にするため食物は加工されて売られることが当たり前になると、本来の形を知らない人が増えるため、元型を模った食品のパッケージを制作しています。
「SF小説が予言した未来」と題したコーナーでは、当時は実現されていなかった技術をSF小説でどのように描いていたのかを知ることができます。私たちが当たり前のように使っている技術が「未来に存在しうる想像上のもの」として描かれているのは新鮮で面白い!
過去の人々がどんな風に未来を想像していたのかを知ることは、私たちが「“未来を考える”とは何か」を考えるための助けにもなってくれるそうですよ。
出口付近にある音楽家/サウンドアーティストのevala氏の作品紹介は、疑問詞、時を表すキーワードや問いが消され、「Feel?」のみ。「ここまでたくさんの作品を見て・考えて、パンパンになった頭を森羅万象に身を置くような体験をすることで一度リセットできるように」という意味が込められているそうです。
真っ暗な部屋へ入ると、鳥のさえずりや水が流れる音など、様々な自然の音が流れてきます。ずっと聴いていると、だんだん電子音のような記号的な音に聞こえてくるのが不思議でした。
言葉の展示から体験型の作品まで、見て・体験して・考えて楽しめる「2121年 Futures In-Sight」展。ただ単に「未来の〇〇」を想像するのではなく、「Future Compass」をもとに導いた問いが起点になっていることで、鑑賞者自身が未来について、そして“未来を考えること”について考えるきっかけになっていることがとても素敵だなと思いました!
「Future Compass」はオンライン上でも体験することができるので、展覧会に足を運べないという方もぜひ試してみてくださいね〜。
2121年 Futures In-Sight展
会期:2021年12月21日〜2022年5月22日
開館時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
*最新の開館時間に関しましては、公式HPをご確認ください。
休館日:火曜(5月3日を除く)
入館料:一般1,200円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
URL:http://www.2121designsight.jp/program/2121/
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