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箱庭メンバーのおしごと紹介|“食と恋”の妄想エッセイ集「口説き文句は決めている」
「恋が終わるのなら、せめて夏がいい」
というのは尾形真理子さんの有名なLUMINEの広告コピーだけど、恋の季節は昔から夏と決まっている。浴衣で花火大会デート、恋人と手をつないで歩く夏の夜道。海やフェスで突発的に生まれる恋なんてのも夏ならアリだ。あぁ甘い恋のシチュエーションは、やっぱり夏以外に考えられない。恋の終わりだって夏がいい。イベント盛りだくさんの夏に落ち込んでる暇なんてきっとない。毎日暑いし、空はカラッと晴れてるし、ビールはおいしいし。冬より心のリセットは早いだろう。
甘い恋も、切ない恋も。はじまりも終わりも。
ごちゃごちゃした理由づけなんて野暮だ。
「夏だから」
もう、理由なんてそれだけでいいじゃないーー
あ、待って待って。戻るボタン押さないで。そうだよね、びっくりしたよね。大丈夫ですよ、ここ箱庭です間違ってないよー。ちゃんと今から説明するからちょっと待ってね。枕が長くなっちゃったけど、ブルゾンちえみで脳内再生したら結構いい感じに聞こえると思うよ。こんにちは、なかじです。
というわけで、さっそく本題でーす!
今回は箱庭メンバーのお仕事紹介、第3弾。箱庭編集部のすー・あいぱん・なかじが、先日8月9日(水)に発売した夏生さえりさんの新書『口説き文句は決めている』の制作をお手伝いさせていただきました!本のテーマはずばり「食と恋」。まさに“恋の季節”の夏まっ只中の今にぴったりの1冊です。ここでは制作の裏話や出版記念イベントの様子をお見せしちゃいます。最後まで見てね。
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食と恋のエッセイ集『口説き文句は決めている』
今回私たちが関わったお仕事は、WEBマガジン「アマノ食堂」の、ティファニーで朝食を食べられなかった私たちで連載中の人気コラムに、書き下ろしを加えた夏生さえりさんのエッセイ集『口説き文句は決めている』(出版社:kraken)。
日常的に密接につながっている恋×食のさまざまなシーンを、妄想全開(たまに実話も)で綴った1冊。ちなみに本のタイトルは、twitterで反響を呼んだ第2回のコラムタイトルに由来しています。
著者の夏生さえりさんは、妄想ツイートが話題を呼んでいる今注目の女性ライターさん。私は1年ほど前に当時会社員だった彼女の記事を読んで、秒で恋に落ちました。
ディテール描写がとても丁寧。そしてキレイすぎない言葉選びも絶妙でいい!(真っ白じゃなくてオフホワイト、はこういうケースならプラスです)。文章だけで、登場人物の服装や髪型、話し方のトーン、そこに漂う匂いまでをもはっきりとイメージできてしまう。まるで目の前で見ているように鮮明にシーンが浮かぶのは、彼女の観察力+想像力+表現力がなせる技でしょう。「言葉で伝える」っていうのは言葉の意味をただ理解させるだけじゃない。さえりさんが書く文章を読むたびにそう思うのです。
言葉からイメージがどんどん膨らんで、それが頭の中で映像化されて、まるで体験しているような感覚になったり感情を刺激される。言葉に奥行きがあるっていうか、言葉の向こう側?…うん、読めばわかる。とにかく読んで!
で、少し話は戻って。
この本に私たちがどう関わったかというと。基になっているWEB連載の担当編集をあいぱん、書籍の装幀&デザインをすーちゃん、企画をなかじが担当させていただきました。そして、表紙のイラストは箱庭でもお馴染みのイラストレーター・ニシクボサユリさん! 素敵なイラストに仕上げていただいて、本当にありがとうございました。
このイラストは、著者のさえりさんをイメージして描いていただきました。
(実際の表紙はプリーツスカートですが、最初のラフは長袖+パンツスタイルだったんですよ。服で印象が変わりますよね〜)
表紙のデザインもたくさんの案の中から決めました。案出しの段階では写真バージョンもあったり、カラー違いで色んなパターンがあったり。最終的にイラストに決まりましたが、これがね、手前味噌ながらすごく評判いいのです。帯のブルー&イラストはもちろん最高にかわいいのですが、個人的に、紙の質感と本を開いてすぐの“見返しの色”がすごくツボ。大満足の仕上がりです。ラブ!
あいぱんと私はというと、さえりさんから原稿が届くたび「ぐはあああぁ今回も良すぎる」「やばい鼻血出そう」と悶絶しながら毎月楽しく読ませていただいておりました。連載開始からあっという間に1年が経ち、現在20話まで配信されています。
※書籍には掲載されていない最新記事はWEBで読んでね。
本に掲載されている全22篇でどのお話が一番好きかというと、一番はやっぱり、書籍タイトルにもなっている「口説き文句は決めている」(本書P12)かな。でも、本当にどれも良すぎてぶっちゃけ選べない…。
例えば、お気に入りを一部抜粋すると
風邪のときの活躍にはふたつのポイントがある。てきぱきと世話をすること、それともうひとつが「そばにいない」ということ。それは決して「放置」とは違う。心配をしながらも、そばにいないようにする。「風邪の時に1人になりたい女子」がいることを忘れないでほしいのだ。
ー本書P102 「風邪チャンス」より
これは「わかるーわかるわー!」って叫びながら読んだし
わたしはどうにも「店員に顔を覚えられる」というシチュエーションが苦手で、店員が「あ、この前も来てくれましたよね」なんて言おうものなら「もう行くのはやめよう」とすら思ってしまって、同じカフェに行き続けることができない。
ー本書P164 「秋に似合う恋」より
これも「もしかして、さえりさんって私かな?」って疑うレベルで激しく共感したし
久しぶりに甘くてゆるい空気を存分に味わってから訪れた六本木にあるお店は、料理名が複雑でひとつも覚えられなかった。(中略) 「ねえ、どうして急におしゃれなお店に行こうなんて思ったの?」と聞くと、彼はこう答える。「んー、ずっと好きでいてほしいじゃん」。その言葉を合図に、いつもより5センチ高い位置で彼にキスをする。
ー本書P26 「おしゃれなお店が嬉しい」より
これなんてもう、「5センチ」の意味を知ったあとに3回読み返したよね。
恋人の浴衣姿を見るのは昔からの夢だ。わたしは少し大人っぽい絵柄の浴衣を着て、彼は「お、そうきたか」とかコメントする。「え、なに、だめかな?」と答えると、ふいっと前を向いて視線を逸らしたまま「良すぎる」と返答があり、最高のデートがはじまる。
ー本書P147 「夏を待ちわびている」より
もうだめ、よだれが…。これとか電車の中でニヤニヤしながら読んでたから、相当気持ち悪い顔してたと思う。
甘い恋のエピソードが多めですが、なかには失恋エピソードや元恋人の思い出など、ちょっと切ないエピソードも。本の中にも書かれていますが、実るだけが恋じゃない。あと、読み進めていくと幸せな妄想のあとに、スッと現実に戻りダメージをくらう瞬間もたまに訪れますが(笑)、それが逆に「妄想」の素晴らしさを引き立ててくれます。
満員御礼!出版記念イベントも開催したよ
発売前日の8月8日(火)には、出版元であるkraken(クラーケン)の拠点、神保町で出版記念イベントを行いました。私なかじも聞き手として、さえりさんと本のことを色々お話させていただきました。
当日は、アマノ食堂を運営するアサヒグループ食品の皆さんから豪華なケータリング&ドリンク(お土産にフリーズドライセットも!)も振る舞われました。おもてなしに感動…!
イベント開始前に、あいぱんからそっと手渡されたスーパードライ500ml缶。これはもう「ガンガン飲んじゃってください」ってことかなと解釈してトーク中もずっとビール飲んでました。最高すぎてもう毎日イベントしたいです。料理もおいしかった〜。
1時間半のトーク終了後は、さえりさんの直筆サイン会。
当日来場いただいた皆さん1人1人とゆっくり話しながらサインを書き、本を手渡すさえりさん。さえりさんのかわいさと温かさに、その場にいるみんながほっこり顔に。「満足度が高かった!」「楽しかった〜」と嬉しい声をたくさんいただいた、充実感たっぷりのイベントでした。足を運んでくださった皆さま、さえりさん、kraken&アサヒグループ食品の皆様。楽しいひとときを本当にありがとうございました!
…といいつつ、出版記念イベントはこれだけじゃありません。まだまだやるよ!
続く第2弾は8月21日(月)に二子玉川の蔦屋家電でトーク&サイン会、第3弾は紀伊國屋書店新宿本店でカツセマサヒコさんとの対談トークイベント(※現在は抽選終了)を予定しています。蔦屋家電のほうは、あいぱんこと箱庭の花沢亜衣が聞き手を担当します。お近くにお住まいの人は蔦屋家電へぜひ遊びに来てください!
【2017年8月21日(月)開催】『口説き文句は決めている』出版記念トーク&サイン会/出演:夏生さえり、聞き手:花沢亜衣(箱庭)
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本書の「はじめに」に書かれている言葉をお借りすると、“太らない糖分補給”だと思って読んでいただきたい。読み終えたあとに元気になれる1冊です。女性はもちろん、男性が共感できる話も多いです(同僚の男子談)。本書に登場する“口説き文句”を使って、恋を成就させるカップルが現れることを願っています。
紀伊国屋書店やブックファースト、リブロなど取り扱い書店で絶賛発売中!見かけたらぜひ手にとってみてくださいね。それではまた〜。
『口説き文句は決めている』特設ページ
※取り扱い書店も掲載中!
WEB連載「ティファニーで朝食を食べられなかった私たち」 記事一覧
[information]
夏生さえりさんと、WEBメディア「灯台もと暮らし」編集長・伊佐知美さんとの対談記事もおもしろいよ!人気女性ライターの恋と仕事の作り方、そして旅のお話も。