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「さあ、まちに泊まろう。」

こんにちは!シオリです。
私の大好きな街、東京・谷中。
東京の昔ながらの街並みが残っていたり、小さな路地を入っていくとかわいいお店があったり、人懐っこい猫が近寄ってきたり…。
大都会東京でありながら、急ぎ過ぎないほっこりした雰囲気が好きで、時々カメラ散歩に出かけるのが好きな街です。

なかでも、お気に入りの場所のひとつがHAGISOというところ。
以前益永梢子さんの食パンのアート展示をレポートしましたが、そのような展示が行われるギャラリースペースがあったり、美味しいフードやドリンクが楽しめるHAGI CAFE(個人的にはサバサンドがおすすめ!)があったりする複合的なスペースを持つ建物です。

ここは、「萩荘」という築60年の古いアパートが取り壊しになりそうだった時に、アートの力でたくさんの人が集まったことで計画が見直されて現在の形に生まれ変わったという、面白い成り立ちの場所。
そんな想いの詰まった場所だから、「ここから何か面白いことが発信されるのでは?」とかねてから思っていました。

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2015年11月に宿泊施設「hanare」がオープンしました!

「hanare」は、HAGISOの2階にレセプションのあるホテル。
でも、実際に泊まるお部屋は、ちょこっと歩いたところにあるまた別の建物にあります。

それだけではありません!
お風呂はというと、谷中のまちに昔からある銭湯。そしてレストランは周りの美味しい飲食店。
お土産はまちで見つけるかわいい雑貨屋さんだし、レンタサイクルだってまちの中にあります。
そう、この「hanare」は、まち全体をホテルに見立てた、新しい形のホテルなんです!

これは面白そう…!ということで、さっそくお話を聞きにおじゃまして来ました!

まずは、hanareの宿泊棟の中を見せて頂けるということで、こだわりのお部屋をご案内頂きましたよ。

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元の建物の味わいを残しつつ、こだわりのあるシンプルで居心地の良い空間。

落ち着いたグレーの壁の建物が見えてくると、そこがhanareの宿泊棟です。
HAGISOと同様に、古い建物をリノベーションして作られました。
木の質感があたたかい扉、白い暖簾がお出迎えしてくれます。

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中へ入ると、何年もの月日を経てきた味わいのある柱や階段に、まだ新しい木や白い壁が組み合わされた内装が広がっていました。
ここから見ると、全貌はつかめず。奥にどんな部屋があるんだろう!?とわくわくしますね。

hanareには5つのお部屋があり、それらの名前はそれぞれの窓ガラスの模様からつけられたそう。
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(写真左上:霞の間 左下:八手の間 右上:木葉の間 右下:雲の間)

そういったネーミングにも元々の建物が経てきた時間を感じさせつつ、リノベーションされた室内はシンプルでいて温もりのある空間でした。

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こちらは光の間。
扉を入って一段高くなる畳が、お部屋に区切りをつけていて広々見せてくれているような気がします。

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アメニティも、こんなお重のような木箱に入ってました。二段目、三段目と空ける楽しみがあり、おしゃれですね。

和室というと、いわゆる和テイストなインテリアになりがちですが、こちらはただシンプルですっきとした印象。
まっさらな気持ちになって、旅の思い出をぐんぐん吸収できるお部屋と言っても良いかもしれませんね。

一通りお部屋を拝見したあとは、レセプションのあるHAGISOに戻り、代表の宮崎さんにいろいろとお話を伺ってきました。

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谷中の“まち”の魅力=HAGISOの魅力。「hanare」は、まちを丸ごと盛り上げるプロジェクトでした。

―まずは、hanareが出来たきっかけを教えて下さい。
宮崎さん(以下、宮):HAGISOが出来て3年ほど経つんですが、これまで、HAGISOの敷地内の可能性を“実験する”というか、建物をどう使いきるか?ということを考えてきました。
コンサートや上映会、展示など、いろいろやりましたが、すべて建物の中で完結することでした。

それでも面白いんですが、HAGISOの価値を担保してくれているのは、谷中というの“まち”の価値なんです。「谷中の魅力=HAGISOの魅力」と言っても過言ではありません。谷中のまちの魅力がなくなれば、HAGISOの魅力も無くなってしまう。そうなると、もっとまちに働きかけていくことが出来ないか?と常々思っていたんです。

何かないかな?と思っていたときに、4年前にローマに行ったときにことを思い出しました。
安い宿を探して見つけたのが、ローマの駅の近くにある宿。マンションの3階くらいの一室にレセプションがあって、受付は移民系の人でしたね。なんと、そこでチェックイン。
部屋はどこ?と聞くと、別のアパートに連れていかれて、見た目は全然ホテルには見えない普通のアパートなのに、扉を開くとホテルになっていたんです。それには驚いて、大丈夫かなぁ…という感じだったんですが、実際に過ごしてみると楽しくて、同じ建物に住んでいる人と挨拶しなければならないし、もちろんレストランがあるわけじゃないから近くのカフェで食事をしました。
それが、面白いなぁと、なんとなく思っていて。

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(HAGISO2階のレセプションに行く途中で会える鳥たち。ほっこりします。)

HAGISOが拠点性を持ってきた今、そのローマで出会った形を谷中でやったら面白いのでは?と思い立ったんです。
パッケージされている箱ものではなくて、町全体がホテルという形です。
大浴場が銭湯で、自慢のレストランは町のなかの数々のお店、レンタサイクルはtokyobikeがある。
文化体験も出来るし、谷中というまちには一通り揃っています。
そういう意味では、宿泊施設も街に点在しているべきだし、ネットワークで“面”的な広がりをもったホテルがあってのいいのでは?と思い、このhanareが生まれました。

―どのような方に泊まりに来て欲しいですか?
宮:特にどんな方と限定することなく、多種多様な方に泊まりに来て欲しいですね。
海外の方にも来て頂けるようスタッフは全員英語が出来ます。そういった意味では、実は谷中は、スカイライナーで成田空港に一本というとてもアクセスが良い場所なんです。海外からのお客さんなら、東京滞在の最終日なんかに過ごしてもらえば、帰るのに楽だと思います。

―hanareの楽しみ方を教えて下さい。
宮:hanareに泊まってもらったら、どこか外へ観光しに行くよりは、はやり谷中のまちを楽しんでもらいたいですね。谷中に住んでいる人の日常を感じてもらうというか。
入り組んだ路地の面白さとか、あの場所から見る夕焼けの美しさとか。みんな当たり前のことに思っているけど素晴らしいところがたくさんある。
外から来た人にその素晴らしさを体験してもらうということによって、谷中の人も自分たちが住んでいる場所の魅力に気づく、そのためにも、hanareに宿泊する方には存分に谷中の魅力を味わって頂きたいですね。

―確かに、現地で暮らしている友人を訪ねた旅って、ガイドブックには載っていない面白い発見がたくさんあるし、何より思い出に残る旅になっている気がします。
宮:そうですよね。現地をよく知る人に教えてもらう旅はいいですよね。hanareのコンシェルジュもいろいろ情報収集をしてもらうようにしていますが、お客さんからの情報も新たに入ってくることで、どんどん循環していくような気がします。

―hanareに泊まりに来る方への、谷中のおすすめスポットは?
宮:最近出来たところだと、「上野桜木あたり」は面白い場所ですね。
あと箱庭読者の方が気に入りそうなのは、「へび道」ですかね。へびのようにくねくねした路地で、ここを歩くと素敵な花屋さんがあったり、雑貨屋さんがあったりでカメラ散歩も楽しいと思います。

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(取材後に訪れてみた、へび道。確かにくねくね。いたるところがフォトジェニック!)

谷中という一つのエリアで活動していると、予期せぬ面白いことが起きてそれが連鎖していく。


―最後に、今後やっていきたいことがあれば教えて下さい。

宮:これから2軒目を増やすと思いますが、その他のことは、何か起こるのか予想出来ないというのが本当のところかもしれません。
限られたエリアで活動していると、いろんな動きにシナジーが起こり、予期せぬ展開があるんですよ。
HAGISOも、今のような姿は想像していませんでした。「ハギエンナーレ」という「萩荘」のお葬式としてのアートイベントをやってみたら、オーナーのマインドが変わって、今があります。
そんなかたちで、連鎖的に動いていくことが楽しいんじゃないでしょうか。
出来ることを繋いでいくと、いろんなことに広がっていく、それが楽しいですね。


宮崎さん、ありがとうございました!

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そうそう、hanareに宿泊すると、レセプションで谷中のいろんなスポットが書かれたMAPがもらえるんです。
手のひらサイズに畳まれた作りだから、持ち歩きもしやすいですよ。
これを持って、街中を、もといホテル中を堪能して下さいね!

いろいろとお話を聞いていたら、東京に住んでいる私も一度宿泊してみたくなってきました。
谷中の日常にある魅力は、谷中でしか味わえない、ということですね!
もともと好きなエリアでしたが、もっともっと知りたくなりました。

みなさんも、“まち”へ泊まるという体験、してみませんか?

    hanare

    URL: http://hanare.hagiso.jp/
    住所:〒110-0001 東京都台東区谷中3-10-25 HAGISO
    電話:03-5834-7301
    Check in 15 : 00 ~ Check out ~11 : 00
    予約方法:WEBサイトにて
    問い合わせ:info@hanare.hagiso.jp