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こどもとおとなをワクワクさせてくれるデザイン

こんにちは。Keinaです。
今週の週末読みたい本は、『こどもとデザイン』です。

このあいだ、駅のホームで電車待ちのときに見かけた、こどもとおばあちゃん。
こどもが、急に「あ!ゾウさんだ!」と大きな声をだし、嬉しそうにしていた。
「ゾウなんていたっけ?」と思って、すぐに探してみると、
線路の向かいの広告にゾウのイラストが描かれていた。
「あぁ、あれのことか!」と、隣のこどもの観察力に、1人ほっこりしました。
おばあちゃんもキョロキョロしたけれど、結局ゾウは見つけられず、
話は「?」のまま、孫の話はスルーされてしまった。
こどもに見えて、おとなに見えないモノ。
意外とたくさんありそうだなと思った瞬間でした。

そのとき、ふと疑問に思ったこと。
「わたしたちは、何歳からデザインされたものに触れるんだろう?」。
目で物事を認識できたころ?手でモノに触れるようになったころ?それとも自我が目覚めたころ?
考えてみると、家の中だけでも、誰かがデザインしたモノたちが無数に転がっていますね。
そして、こどもたちのために生まれたデザインもたくさんあります。

色とかたち、道具とアイデア、心地よさと使いやすさ、時に不可思議や衝撃。
デザインは、1枚の紙から空間まで、あらゆるものに宿ります。
本書は、こどもの生活と文化を良質にすべく機能している商品や施設、体験のデザインをまとめた1冊です。

この本をめくって、飛び込んできた言葉。

何を与えるか、どう育むかに正解はありません。
それでもテクノロジーが人と対象をつなぐ世界で、
「こども」が物事に触れ、反応、発見し、思考し、工夫し、
慣れながらも面白がって生きていくために、
「おとな」が物事をデザインしたり、デザインされた物事を与えたり、
物事をあたらしく捉えるデザイン的視点を一緒に探ったりしています。

こどもに発想と活躍を、さらにはかつてこどもだったおとなに楽しい選択を促すデザインが世界にあふれるならば、こどももおとなも巻き込んで、社会は少しずつあたらしく、面白くなるのではないでしょうか。
(『こどもとおとな』 002ページより引用)

こどもたちに何を与えるか、どう育むかに正解がないなら、
少しでもおもしろいほう、ワクワクするほうを選びたいな!と純粋に思いました。
そんな、おもしろい可能性が詰まった1冊をご紹介します。
※以下一部、本文よりテキスト抜粋

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サントリー美術館 鑑賞支援ツール「おもしろびじゅつ帖」

サントリー美術館の子ども向け鑑賞支援ツール「おもしろびじゅつ帖」のデザイン。 中学生以下の来館者に無料配布されるもので、展覧会の見どころや作品解説を楽しみながら学べるよう、冊子型、カード型、巻物型など、展覧会ごとに仕様も内容も変えて制作されている。 また、作品の模写ができるようトレーシングペーパーが綴じ込まれたもの、絵画に塗り絵ができるもの、飛び出す絵本のようなペーパークラフトができるものなど、家に帰ってからも子どもたちが遊んだり、工作できるような仕掛けを積極的に取り入れている。子どもだけでなく大人も欲しくなるような長く楽しめる内容で、美術館に続けて通いたくなるきっかけ作りを目指している。

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▲モノづくり体感スタジアム 2015

「モノづくり」や理科学の楽しさを伝えることを目的に、企業のワークショップブースなどを一堂に集めた体験型イベントの広告。広告テーマは「いのちはいちばん最初のテクノロジー」。会場用ポスターはターゲットである子どもの興味を刺激すること、新聞広告は大人の読書も楽しめる飲み物とすることを目標に、媒体によってアプローチを変化させた。ポスターは、身の回りの自然界からヒントを得たモノづくりのトピックをQ&A形式で展開。「Q(問い)」と「A(答え)」のポスターを会場入り口からメイン展示場を結ぶ導線作りに活用し、会場を回りながら答え合わせができる仕組み。各々2色のカラーを設定し、QとAで色を反転させて遠くからでも答えのポスターがどこにあるか分かるようにした。

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▲学研 つなげてたのしい ひらがなカード、
カタカナカード、ABCカード、かずカード

組み合わせて連結させることで、楽しく言葉や数字が学べるカードタイプの教材。パズルのようなカードの形状を際立たせるため、パッケージには窓を設け、外からでもカードがよく見えるデザインに。つなげて遊ぶことができる商品イメージを視覚的に伝えている。カードをダイレクトに見せる以外、要素を最小限に抑えたシンプルな構成で、子どものプロダクトを選ぶ保護者にもスマートにアピール。肝心のカードのイラストは、子どもが対象物の特徴や形状をつかみやすいように、なるべくわかりやすい角度や簡素なフォルムを発注した。ひらがなカード、カタカナカードは、文字面の色をア段、イ段、ウ段と段ごとに色分け。それぞれに対応した小さな記号をつけることで、色盲者にも配慮されている。

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▲中部日本プラスチック エコネット・プロジェクト
エコ育絵本『PETくん こーろんだ』、アートゴミ袋

プラスチックのリサイクルを行う中部日本プラスチックが、「エコ・ネットプロジェクト」の一環として制作した絵本とアートゴミ袋。100%ORANGE描き下ろしの絵本は、子どもたちのリサイクルの理解を深める「エコ育」を目的として発案。「だるまさんがころんだ」をモチーフにした物語仕立ての内容を、特色の赤と黄色を使った3色刷りで表現し、廃棄プラスチックが暮らしの中でどのように再生されているかをわかりやすく伝えている。リサイクルの大切さが身近に感じられ、捨てずにとっておきたくなる物感に。アートゴミ袋には、ゴミの分別を楽しめるよう絵本のキャラクターをデザイン。街の清掃活動を行うNPO法人green bird主催のクリーンアップ活動では、参加者に絵本とアートゴミ袋を無償配布した。地域の幼保育園や学校、図書館などへの寄贈も積極的に行っている。

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▲まめの木保育園

神奈川県の再開発ビル内に新設された保育園のロゴ、およびサインのデザイン。高層ビルの4階に位置することから、童話『ジャックとまめの木』に由来した園名には、まめの木のようにたくましく素直に育ってほしいという願いが込められている。立地上、外遊びが困難なことから、サイン計画では園内に架空の「まち」のイメージを取り込むことをコンセプトとした。園の入り口にはまちの地図を模した施設案内を設置し、図書コーナーには「まめの木図書館」、ランチルームは「まめの木食堂」と名付けてサインを作成した。0~5歳の各クラスには窓をモチーフにしたサインを掲げ、年齢が上がるにつれてまめの種が発芽し、花を咲かせ、実をつけるまでの成長のストーリーが織り込まれている。

本書を読んでみて、世の中には、こんなにこどもたちの創造力を育むしかけがあるのか!と嬉しくなりました。
「でかける」の章では美術館の展覧会やイベントなど、
「あそぶ|まなぶ」の章では教材や玩具など、
「たべる」の章では食品パッケージや食育のツールなど、
「みにつける」の章では衣服やランドセルなど、
「かよう」の章では保育園や幼稚園などを紹介しています。
随所にステキな事例が詰まっているので、頭の体操にもなります。
こどもに関わるモノやコトをつくる際のインスピレーションにもおすすめです。

わたしは、2歳から保育園に通っていたのですが、
保育園のころから記憶がわりとハッキリ残っています。
園内で、ねんど遊び、カンぽっくり遊び、相撲大会、プール、メロディオンで鉄腕アトムを吹いたこと、
昼寝の時間に内緒話をしたこと、散歩した道や公園の風景など、楽しかった記憶が今でも残っています。
また、わたしの家には「探検」という遊びがあり、近所を自転車で探検したり、
紙とクレヨンで水着をつくって庭で水遊びしたり、楽しかった思い出が盛りだくさん。
いま思うと、それはきっと、幸せで濃いこども時代を過ごした証拠ですね。

現代の日本のこどもたちも、実際に目で見て、触れて、感じたことが、
楽しかった思い出、記憶として、ひとつでも多く残りますように!

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    こどもとデザインDESIGNS FOR KIDS
    子どもの生活と文化を良質にすべく機能している商品や施設、体験のデザインをまとめた一冊。単に可愛いだけでなく、子どもと過ごす大人に楽しい選択を促し、創造力を育むデザインのしかけや、身近な物事をあたらしく捉えるデザイン的視点が盛り込まれた実例が、近年たくさん生まれています。本書ではグラフィックツールを中心に、こどもを対象とした商品のパッケージ、知育玩具などのプロダクト、ワークショップや展覧会、インタラクティブコンテンツ、幼稚園や病院といった施設のサイン計画などを紹介します。

    ISBN:978-4-86100-996-9
    定価:本体3,900円+税
    仕様:A4判変型/176ページ
    発売日:2015年11月19日
    編集:BNN編集部
    デザイン:市東 基

◆関連サイト
こどもとデザイン DESIGNS FOR KIDS