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©Wim Wenders

建物の声、聞いてみませんか?

こんにちは。Keinaです。
作品のタイトルに惹かれ、ついつい気になってしまう映画ってありますよね。
先日、行ってきた試写会の作品もそのひとつ。
タイトルは、『もしも建物が話せたら』。

いままで建物の声について、想像することは一度もなかったけれど、
もしも建物の心の声が聞けたなら、なんだかおもしろそうですよね。
どんなことを話すのか、どんなことを想うのか、とても興味深いところ。

建築というと、なんだか難しそうなものをイメージしがちですが、
本作品は、世界の名監督6人が、それぞれ思い出の詰まった「建物」のストーリーを描き出しているせいか、
映画を観終わったあと、実際にその建物を訪れて、本当に話していたかのような気持ちになりました。

登場するのは、一度は訪れたい、音楽ホール、図書館、オペラハウス、芸術文化センターから、
訪れる機会がないと思われる、医学研究所、刑務所まで、個性豊かな顔ぶれ。

主役が建物というユニークなスタイルは、
いつもと違う角度から、わたしたちを楽しませてくれます。

映画『もしも建物が話せたら

ヴィム・ヴェンダース製作総指揮!
ヴェンダース、レッドフォードを含む6人の監督が、
思い入れのある建築物の心の声を描き出す、
オムニバス・ドキュメンタリー。

もし建物が話せたら、私たちにどのような言葉を語り掛けるのだろうか。建物は文化を反映しており、社会を映し出す鏡でもある。一昔前、欧米ではその街を代表する建物は教会であり、教会を見ることによってその街の文化も人々の暮らしも垣間見えた。現代におけるその街を象徴する建物とは?世界の名監督 6 人がそれぞれの街で人々と思い出を共有する、思い出の詰まった文化的建物のストーリーを描き出す。

STORY
ロバート・レッドフォードは、自身が11 歳の時にかかったポリオの予防接種を開発したソーク研究所。ヴィム・ヴェンダースはもちろん地元からベルリン・フィルハーモニーを、『100,000 年後の安全』のマイケル・マドセンは世界で最も人道的だと言われ、再犯率がヨーロッパで最も低いノルウェーのハルデン刑務所を。マルグレット・オリンは同じくノルウェーの建物の屋根まで歩いて登る事が出来るオスロ・オペラハウスを、カリム・アイノズは個人的に関係性のある建物を選ぼうと17 歳の時に移り住んだパリからポンピドゥー・センターを選択。ロシア国立図書館はドキュメンタリーに魂をささげたミハエル・グラウガー監督の遺作となった。名監督6 人が、それぞれの街で思い出を共有する、思い出の詰まった文化的建物の声に耳を傾け描きだす。それらの建物には命が吹き込まれ、一人称で我々に語りかけてくる。6 人の監督の個性が一つに集結したこれまでになかった新感覚ドキュメンタリー。
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©Wim Wenders

建物:ベルリン・フィルハーモニー(ドイツ・ベルリン)

監督:ヴィム・ヴェンダース
建築家:ハンス・シャロウン
1963年竣工。ハンス・シャロウン設計による。ホールは五角形の施設でヴィンヤード型の大ホールの収容人数は2440席、室内ホールは1180人であるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会だけでなくジルベスターコンサートなどの特別演奏会も開催される。

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©Wolfgang Thaler

建物:ロシア国立図書館(ロシア・サンクトペテルブルク)

監督:ミハエル・グラウガー
建築家:エゴール・ソコローフ(本館)
ロシア最古の公共図書館であり、1975年時の皇帝エカチェリーナ2世によって建てられた。1811年、ロシア帝国内で出版された著書は一冊ずつここに寄贈しなければならなくなったため、図書館の蔵書は飛躍的に増加。図書館が公式に開館したのは1814年になってのことだが、この時には女性や農民に対しても分け隔てなく誰に対しても開かれていた。

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©Heikki Färm

建物:ハルデン刑務所(ノルウェー・ハルデン)

監督:マイケル・マドセン
建築家:ハンス・ヘンリック・ホイルン
世界でもっとも社会福祉や人権が進んでいる固の一つであるノルウェーは「世界一豊かで住みやすい国」1位に国連によって選ばれている。そして受刑者に世界一人道的であり、甘やかしているとも言われるこのハルデン刑務所は2010年に竣工。収容人数252名、総工費20億。刑務所の施設はかなり充実した設備であり、懲罰よりも更生・社会復帰を目的としている。

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©Alex Falk

建物:ソーク研究所(アメリカ・サンディエゴ)

監督:ロバート・レッドフォード
建築家:ルイス・カーン/アンシェンアラレン(新館)
1963年竣工。ジョナス・ソークによって創設された生物医学系の研究所。カリフォルニア州サンディエゴ郊外のラホーヤに位置する。私立の非営利法人である。研究者の数が1000人にも満たない小規模の研究所であるが、常に研究論文の引用度は世界でも1、2を争う。教授陣は各研究分野の先端を走っているといわれる。

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©Øystein Mamen

建物:オスロ・オペラハウス(ノルウェー・オスロ)

監督:マルグレート・オリン
建築家:スノヘッタ
2008年、オスロ市の中心にある臨海地域、ビョルヴィーカ地区に建てられたノルウェーの最大の文化施設。オペラやバレエの舞台であり、フィヨルドから離れた場所に位置し、どこまでも続くかのように見える大理石の天井や、イン亭らを見るためにたくさんの人々が訪れる。建物の驚くようなデザインは、内部と外部の空間的な仕切りがないようである。

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©Ali Olcay Gozkaya

建物:ポンピドゥー・センター(フランス・パリ)

監督:カリム・アイノズ
建築家:レンゾ・ピアノ/リチャード・ロジャース
レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースによって設計され、1977年開館。大衆の期待や陽気なユートピアが表現されており、幅の広いカルチャーを提供し、多くの人が訪れる。これから旅に出る旅行者の興奮したエネルギーで満ちた空港のように、訪れる人々に、期待通りのスリルを与え鼓動を高鳴らせる。

わたしは、この6つの建物のうち、一番好きな建物は、ベルリン・フィルハーモニーでした。
外観からは想像できない内部の構造に心奪われました。
建物の中で演奏がはじまると、まるで建物自体が楽器のように見えました。
元吹奏楽部としては、いつか訪れてみたい、魅力的な建物です。

また、ポンピドゥー・センターは、実際に訪れたことがあり、
スクリーンに登場しただけで、懐かしい気持ちになりました。
行ったことはあるけれど、知らなかった一面が色々と知れて、再び遊びに行きたくなりました。

6つの建物の心の声を聞き、
自分にとって思い入れのある文化的建物ってなんだろう?と考えさせられる映画です。
わたしたちの身近な場所にも、きっとあるはずです。

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そうそう、リーフレットが6つの建物にあわせ6種類ありました。
どれもステキで、つい集めたくなりますね。

今週末の2月20日(土)から渋谷アップリンク他全国順次公開。
ぜひ、この機会に建物のことばを聞いてみてください。
建物を見る目が変わりますよ。

予告編


映画『もしも建物が話せたら』予告編

    もしも建物が話せたら

    公開日:2016年2月20日(土)渋谷アップリンク他全国順次公開
    製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース
    監督:ヴィム・ヴェンダース、ミハエル・グラウガー、マイケル・マドセン、ロバート・レッドフォード、マルグレート・オリン、カリム・アイノズ
    ■製作・提供:WOWOW
    ■配給・宣伝:アップリンク
    (2014 年/ドイツ、デンマーク、ノルウェー、オーストリア、フランス、アメリカ、日本/165 分/英語/Color/16:9/DCP)

◆参照元
映画『もしも建物が話せたら』公式サイト