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”まったく新しい、けれどなつかしい”荻窪にオープンした「本屋 Title」をレポート
1/10オープン!荻窪にあたらしい街の本屋さん「本屋 Title」誕生!
こんにちは!森ふみです。
今日は、私の住む西荻窪の隣町・荻窪に1/10オープンしたばかりの「本屋 Title」をレポートします。(西荻窪からも歩けますよ!)
自分の街に本屋さんができるって、とっても嬉しいもの!
そんな街の期待もあってか、昨年末から”あたらしい本屋さんができるらしい!”という噂を耳にしていました。
ただこのあたらしい本屋さんの噂は、この街に住む人だけにとどまらなかったんです。
私も一応Web編集部の端くれものなので、編集関連や出版関連の方のTwitterをフォローしているのですが、色んな方がこの本屋さんのことをツイートしていたんです。
よくよく見ていくと、長年リブロに勤めていた辻山さん(しかも、昨年惜しまれつつ閉店した池袋本店の統括マネージャーをしていた方)が個人店を出すということで、いろんな方が注目・応援しているようでした。
リブロの公式アカウントからも。
夜中にこっそりと同業他社の紹介を。東京・荻窪に、元(池袋本店T)が独立して新しい書店を立ち上げます。リブロのど真ん中にいた人が独立して新刊書店を開くのは(意外と)珍しいので、どんなお店になるのか楽しみです。(営業本部N) https://t.co/TJDoWJdVlj
— リブロ (@libro_jp) 2016, 1月 8
なんだか、このツイートにすでにほっこりです。
開店前からこんなに愛されて、応援される本屋さん。これは絶対足を運ばねば!
そんなわけで、早速取材に行ってきました!
カッコいい銅板張りの建築に、かわいいTitleのロゴが目印!
「本屋 Title」は、荻窪から青梅街道沿いを10分歩いた場所にあります。
昔の商店建築らしい銅板張りの外壁がカッコいい建物です。
青梅街道というと、車のイメージですが、このあたりは人通りや自転車も多くたくさんの住民が行き交う道。
近くには神社があったり、スーパーや郵便局、公園など、便利で住みやすい印象はあるものの、本屋さんは確かになかったんですよね。
この場所を選んだ理由を、店主の辻山さんに伺いました。
「作家や編集者の方で、このあたりに住んでいる人が多いということがまずありました。
そして、このあたりの土くさくて、生活のにおいがする空気がいいなと。あとはこの物件と出会えたことですね。」
”土くさい”この言葉がいい意味で本当にぴったりの街です。(住んでいる人が言うんだから間違いなし!)
目指したのは、多くの人が思い描く街の本屋さん
個人店と聞くと、いわゆる”本のセレクトショップ”を思い浮かべる人も多いと思いますが、「本屋 Title」が取り扱うのは新刊本。
雑誌や文庫本など、約1万冊の書籍が並ぶ見慣れた本屋の風景です。
いつもの本屋さん!という印象と、この古民家の木のぬくもりに、ホッと落ち着くお店です。
辻山さんは、こう話します。
「ここは住宅街の近くにあるお店なので、誰でも気軽に入りやすい本屋さんにしたいと思いました。
新刊書店はそういった意味で敷居が低いと思いますし、本の並べ方もこれまでの本屋さんのイメージをこわさないように、今までと一緒ということを考えています。」
なるほど!だから入ってすぐに昔来たことあるような、そんな印象を受けたんですね。
”人がその人らしく生きる”ための手がかりとなる「生活」の本
新刊書店としてジャンルは満遍なく取り揃えていますが、「本屋 Title」が特に力を入れているのが「生活」の本。
「『生活』といっても、衣・住・食ということではなく、日常の様々な場面において”人がその人らしく生きる”その手がかりとなる本を取り揃えています。」と辻山さん。
アートやビジネス、哲学から旅まで、なんだか妙に気になる本が多くて、ついつい色んなところで足を止めてしまうんですよね。
大型書店だったら普段は足を運ばないジャンルの本も、目に飛び込んできたりして。普段出逢えない本とも「本屋 Title」でなら出逢えそうです。
絵本やリトルプレス、少しですが雑貨も取り揃えられています。
本の棚には、「open」の文字。
看板もこの「open」の文字も画家のnakabanさんが制作されているそうです。青の色合いが素敵です。
奥には小さなカフェも併設
「本屋 Title」の奥には、8席ほどの小さなカフェ。
カフェの壁の色は、アクアブルーのようなきれいな青で、本屋さんのスペースとはまた違った落ち着きがあります。
カフェではコーヒーはもちろんのこと、ワインなどお酒も取り扱っているとのこと。
仕事帰りにここで一杯飲みながら、本を読むというのもいいですね。
(※会計がお済みでない本の持ち込みは出来ません。)
「ここから眺めるお店がいいんですよ~!」と、カフェのキッチンの中から写真を撮らせてくれました。
確かにこの眺め!本が並ぶ向こうから日が差し込んできて、本を選ぶ皆の顔が見える。最高の眺めです。(ちなみにとってもいいコーヒーの香りもまた乙でした!)
2階は光が差し込む明るいギャラリー
ちょっとだけ急な階段をのぼって2階にあるギャラリーへ。
ちょうど南に向けた窓があり、そこから差し込んでくる光がとっても明るいギャラリーです。
ここでは月替わりで、本に関する展示をしていく予定とのこと。
はじめての展示となる今回は、「本をひらく展Ⅰ/『悲しみの秘義』をひらく」が開催中です。(~2/11まで)
批評家・若松英輔さんが日経新聞で連載したエッセイをまとめた『悲しみの秘義』という一冊の本をひとつの部屋にひらいたという今回の展示。
この本の装画を担当しているのは、日傘作家のひがしちかさん。なんとこの本!6種のカバーと9種の表紙があるんだそうです。
ギャラリーではひがしちかさんの原画と、『悲しみの秘義』から選りすぐった「悲しみ」を「生きる力」に変える知恵ある言葉たちが展示されています。
とっても優しい気持ちになれる展示です。
本を薦めることをちゃんとやりたい
ここまでご紹介してきましたが、「行きたい!でも東京はちょっと遠い!」そんな方におすすめしたいのが、Webサイト上で毎日更新される「毎日のほん」。
毎朝8時に店主の辻山さんが気軽に読める量で本をお薦めしてくれます。
「本屋さんなので、本を薦めることが仕事。そこをちゃんとやっていきたい。」と話す辻山さん。きっと自分の生きる手がかりになる本に出逢えるはず。
ちなみに、このWebサイトの左上にある「まったく新しい、けれどなつかしい」という言葉。
なんだかこの言葉が気になって、そのことについても辻山さんに聞いてきました。
「作家のいしいしんじさんがメールで送ってくれた言葉で、”まったく新しい、けれどなつかしい。そういう場所になるでしょう。”というのが、心に残りました。
古い場所に新しいものをつくったり、昔はあった小さいお店を今やろうとしていたり。この言葉がしっくりきたんです。」
辻山さんの想いを、作家のいしいさんが受けとめ、エールも込めて送ってくれたそんな言葉だったのかなと思いました。
来てくれるみんながつくってくれる本屋さん
※写真:店主辻山さん
最後に、これからのお店についてもお伺いしました。
「あんまりこうしたいというのはないんです。お客さんが来て、変わっていく。そういう流れを見ながら合わせていきたい。」
あくまでも自分からではなく、来てくれるみんながお店をつくるという辻山さん。
それこそが、愛される街の本屋さんなのかもしれません。
取材ではありましたが、私も一冊本を購入。
シンプルな中にTitleの文字が入ったカバー。このささやかな主張が心地よく感じるそんな本屋さんでした。
これからも楽しみな本屋さんでした~!
本屋 Title
住所:〒167-0034 東京都杉並区桃井1-5-2
TEL:03‐6884‐2894
営業時間:11:00 – 21:00
定休日:毎週水曜・第三火曜
Web site:http://www.title-books.com/