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Goðan Daginn!

箱庭キュレーターのTomokoです。今回もアイスランドの新鮮なトピックをお届けしていきます♪

アイスランドでは、ここ数年のグルメブームにのって、おしゃれなレストランが続々とオープンし、スターシェフたちによる料理番組が大人気。レイキャビクで日本の観光客の方々に会うと、皆さん口を揃えて「料理が美味しい!」とおっしゃっています。そんな魅力いっぱいのレイキャビクのフードシーンは別の機会にご紹介するとして、今回はアイスランド人が毎年決まった時期に食するB級グルメ(?)ヴァイキングの伝統料理をご紹介したいと思います!

伝統的なヴァイキング料理を食べる真冬の宴 『ソーラブロート』

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1月中旬から2月下旬は、アイスランドの旧暦の上でソーリ(Þorri)と呼ばれる期間。この期間中、アイスランドのあちらこちらで『ソーラブロート』と呼ばれる真冬の宴が催されます。この期間に食されるのは、発酵させたサメの肉、羊の陰嚢、真っ二つに切った羊の頭部…。といった伝統的なヴァイキング料理『ソーラマートゥル(Þorramatur)』。この時期、スーパーの店頭にもソーラマートゥルがずらりと並び、真冬の風物詩となっています。

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写真は左から時計周りに、クジラの脂身の酢漬け(一口サイズ)、羊の頭部のテリーヌ、お得なソーラマートゥル4種セット。お世辞にも美味しそう!とは言えない面々。毎年毎年、これらが並んでいるスーパーの一角を横目に見つつも足早に通り過ぎてきましたが、夫の会社がソーラブロートを開催する、というので、コラムのためにも、えいっ!と覚悟を決め、アイスランド生活9年目にして初挑戦することになったのでした。

期間限定で発売されるクジラビール2のお味は?

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最近のクラフトビール人気で、ソーラマートゥルに合うビールも期間限定で発売されるように。バーのカウンターにはちょっと変わったビールが並べられ、ビールテイスティングで宴の幕開けです。その中でも、ダントツで不評&不気味だったのが、こちらのクジラビール2。

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燻製したナガスクジラ(絶滅危惧種)の睾丸を使っており、ソーリの時期にのみリカーストアで購入することができます。私は飲んだことがありませんが、周囲の意見をまとめると、「まずい!」の一言。もの珍しさから飲むビール、といったようです。

クジラビール1は、と言うと粉末状にしたクジラの骨(プロテインが豊富らしい)を原材料に使い、動物愛護団体から非難ごうごう、フタを開けてみると保健当局の基準をクリアしていないことが発覚したため、生産から1週間も経たないうちに強制終了してしまった幻のビール。

さて、ビールテイスティングが終わり、いよいよソーラマートゥルを食べることに!

羊の頭や発酵させたサメ肉、見た目は少し怖い!?アイスランドの伝統料理

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サランラップで幾重にも巻かれている大皿たち。ドキドキ。ずっと避けてきたのに、不思議と胸が高鳴ります!

ジャーン!!!
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左上から時計回りに、発酵させたサメ肉や燻製した羊の肉(ハンギキョート)、耳を落とした羊の頭(スヴィーズ)、一式とった私のお皿、スヴィーズのテリーヌや羊の内臓から作られたブラッドソーセージなど。

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ご覧の通りビュッフェ式だったのですが、一通りとった後で周りを見渡してみると、いろいろと偏りなくとっているのは私だけ!他の人は、クリスマスのご馳走としてもお馴染みのハンギキョートとサラダ、ポテトをてんこ盛りにしていました。やっぱり今の世代の人たちからは圧倒的に不人気のよう。ちなみに、私の義父はスヴィーズが好物のようで、「スヴィーズはね、目ん玉がすっごく美味しいんだよ〜!」と舌なめずりしながら(かのように見えた)教えてくれた時、いつもはオットリな義父が一瞬別人に見えたのでした笑。

さて!気になるお味ですが、私は告白しなくてはいけません…
最後の最後に怖気付いてしまい、それぞれ口にしたものの、小さじ1杯ずつほど、ほんのちょーっぴり。クジラの脂身の酢漬けは味自体があまりなく、口に触れた途端脂っこくて食感はグニュグニュ。スヴィーズはぶにょんとした皮をめくって頬肉を食べたところ、あっさり上品なお味と柔らかな口当たりで結構美味しかった!でもほぼ骨で食べるところが少ない(タンと目玉は珍味のようですが、今回はそこまで行けず…)。サメ肉は強烈なアンモニア臭の割にあっさりして意外と普通に飲み込むことができました。今ちゃんと思い出せるのはこれだけ。あとは、食感と匂いで、味覚神経が信号を送ることを自主的にストップしてしまったかのような、何を食べても脳みそが味を理解できていないような感覚でした。せっかくの機会だったのに私にはヴァイキング魂がまだ十分に備わっていませんでした涙。あ、ハンギキョートは私も大好物なのでもりもり食べて、無事お腹はふくれました。

もし、この時期にアイスランドにいらっしゃることがあれば、武勇伝?ネタ?作りに試してみてもいいかもしれませんね〜♪

さて、最後はお口直しにシュークリームの写真でお別れです。

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イースターの6週間前の月曜は、Bolludagur=ボッルダーグル(シュークリームの日)!今年は2/8でした。19世紀半ばにデンマークから伝わった習慣で、この日子供たちは朝起きると「ボッラ!ボッラ!ボッラ!」と言いながらお父さんお母さんにシュークリームをおねだりします。普段は見かけないシュークリームも、この日が近づくとパン屋やスーパーなどあちらこちらで売られるように。

私は、レイキャビクのメインストリートにある大好きなパティスリー&ベーカリーのサンドホルトで2個、カフェで1個、近所のパン屋で1個の合計4個を買って結局全部自分で食べてしまいました…。甘いものがあまり好きでない夫に強要するのもアレなので。笑

どれも美味しかったけど、やっぱりサンドホルトはパティスリーだけあって見ているだけでもキュンキュンしてきます。写真はあっさりした生クリームとマジパンがたっぷり入ったシュークリーム。マジパンもアーモンドの風味がしっかり付いていて美味しかった。生地はシューではなく、パン生地なのが特長です。

今回は目を覆いたくなるような写真を幾つか載せてしまいましたが、読んでくださってありがとうございます!それでは次回まで… Takk og bless!(ありがとう そして さようなら!)