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まちの本屋さんのモデルに!京都の路地裏に誕生した「誠光社」

こんにちは、Kumiです。
今回は昨年11月末にオープンした「誠光社」をレポートします。

英紙ガーディアンが「世界で一番素晴らしい本屋」10店に挙げた「恵文社一乗寺店」の店長をされていた堀部篤史さんが独立し、新しい書店「誠光社」をオープンされました。
京都市左京区にある恵文社一乗寺店は、「本にまつわるあれこれのセレクトショップ」。新しい本を紹介するだけの本屋さんではなく、スタッフの方々が納得いく一冊を丁寧に紹介している本屋さんで、京都だけではなく全国でも有名なお店。そんな恵文社一乗寺店の店長さんが新しくオープンする本屋さんということもあり、どんな本屋さんをオープンしたのか気になっていた方も多いのではないでしょうか。

丸太町駅徒歩3分。路地裏にある古民家をリノベーションしたお店。

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「誠光社」は、京阪神宮丸太町駅から3分程歩いた場所にあります。近くには銭湯や雰囲気の良いカフェ、体に良い食材を販売しているスーパーなどがあります。大通りに面している河原町通りや丸太町通り沿いには、チェーン店が立ち並び、バスも通る便利な場所。一本路地裏に入ると静かな下町な雰囲気を持ち、京都御所や鴨川にも近く、京都散策にもおすすめのエリアです。

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この場所を選んだ理由を、店主の堀部さんに伺いました。「市外からのお客さんが来やすい場所をと思い、三条京阪を起点に考えましたね。店の規模も小さくし、本も恵文社の時よりもさらにセレクトしているので、お客さんも限定されてくると思うんです。だから、店のスタイルをご理解して頂ける方に来て欲しいという思いもあり、敷居を高くし大通り面する場所ではなく、路地裏を選びました。もちろん、周辺のエリアの良さも含めて大事です。隣にあるカフェ・アイタルガボンさんがあったから決めたというのもありますね。」

河原町丸太町エリアには、路地裏に素敵なお店が点在しています。
「誠光社」のWEBサイトにも、周辺エリアマップが掲載されているので、チェックしてみて下さい!

絵を見るような感覚で、自分好みの本をセレクトできる本棚

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木の本棚が左右両側に並んだシンプルな空間。そこに並んでいるのは、堀部さんがセレクトした本がずらり。色とりどりに配置された本は、絵を見ているかのような感覚になります。

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堀部さんは、こう話します。
「中だけが大事なら本のような情報ツールはいらないですよね。情報ツールは他にもありますし、本は情報を調べるツールではなくなってきているかな。本は編集している側でどういう人に買ってもらおうという、メタメッセージを持っています。なおさら装丁やデザイン等をセレクトしていますね。実用書はかなり排除していますよ。見え方がかわりますから。嗜好品のように集めた本を並べています。」

納得!嗜好品のように集めた本が並んでいるから、アートを見るような印象を受けたんですね。絵を見るような感覚で、自分好みの本をセレクトしてはいかがでしょうか。

レジ横には堀部さん企画のギャラリー展示も

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「誠光社」のレジ横には、小さなギャラリースペースもあります。レンタルスペースという形ではなく、堀部さんが親しくしている人の展示を行っています。この時は、戦前に発売された中島種二の3冊の原書をもとに、デザインユニットCOCHAEがアレンジした「カワイイヲリガミ細工」の出展記念展でした。毎回イベントも異なるので、今後の企画イベントも楽しみですね。

お店の空間設計をされたのは、猫町や李青を手がけられた安田勝美さん。ギャラリースペースの壁は、漆喰を使用するなど自然素材を活かした設計を得意とされているそう。木を剥き出しにした本棚とセレクトした本が映えるシンプルなデザイン空間です。

雑貨に頼らず、本だけで勝負したい

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堀部さんに恵文社を独立された理由を聞いてみました。

堀:恵文社では、同時に3人レジに立たないといけない。人件費や家賃もかかる。本だけでは利益があがらないので、本を買わない人にも来てもらうように、雑貨など複合店的な店のあり方になってきました。自分のコアな部分だけではないものになってきて。そうならないためにはどうするかを考えたら、今のお店のカタチになりましたね。規模を小さく、人件費も家賃も少なくし、出版社から直接本を買うことで、3割の利益を確保する。かつ本のセレクトもわがままがいえる。雑貨に頼らず、本だけで勝負したい。
お客さんを見たらすぐ分かるんですよ。本棚なんてみてないなと。恵文社の時のように雑貨をたくさん置いていないので、帰っていかれる方も多い。お客さんもかわってくると思うんです。路地裏にすることで、敷居を高くしコアな人に来て欲しいですね。

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お店を始められて、何か変化はありましたか?
堀:お客さんとの距離は近づきましたね。恵文社の時は、あえて自分を出していなかったんです。お客さんとお話をすることが多くなりました。また本を8割にして、買ってくれる人がいるか不安でしたが買ってくれる人はいますね。

このスタイルで持続することが何よりも大事

160303nagata_012※写真:店主堀部篤史さん

最後に、「誠光社」のこれからについてもお伺いしました。
「限られた空間でマイペースにやっていく。何か達成する目標があるとかではなく、ちょっとずつ手を加えていきながらこのスタイルで持続することが何よりも大事ですね。こういう本屋がやっていけるというモデルになりたい。うちだけが良ければいいというのではなく、流通の仕組みも含めこういったスタイルをマネしてもらって、本屋さんが増えていけばいいなと思っています。」これからの本屋さんのあり方を実際に自分自身で作り出そうとしている堀部さん。誠光社をパソコンで打つとはじめに出てくる文字は、「成功者」。これからのまちの本屋さん「誠光社」が楽しみです。

堀部さん、ありがとうございました!

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ちなみに「誠光社」のお隣は、パスタやカプチーノが美味しいカフェ「アイタルガボン」があります。「誠光社」で好きな本をセレクトした後は、「アイタルガボン」でご飯やお茶をして、「誠光社」で購入した本をゆっくり読む。そんな休日はいかがでしょうか。夜20時まで開いているので、仕事帰りにも◎鴨川や京都御所にも近いので、ピクニックとセットで楽しむのもいいかも。河原町丸太町、目が離せないエリアです。ゆったり過ごしたい方には、おすすめの場所ですよ。ぜひ、訪れてみてください。

    誠光社

    住所:京都市上京区中町通丸太町上ル俵屋町437
    TEL/FAX 075-708-8340
    営業時間:10:00 – 20:00 無休(12/31~1/3除く)
    URL: http://www.seikosha-books.com