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空の世界はいつだって神秘的で感動的!空旅に必ず出たくなる一冊

こんにちは、箱庭のです。

今回おすすめしたいのは、2月24日に刊行となった「グッド・フライト、グッド・ナイト -パイロットが誘う最高の空旅」です。
旅好きな人が多い箱庭読者のみなさんは、タイトルと装丁を見ただけで気になってしまいますよね。
私もそのひとりで、乗り物の中で一番好きなものは飛行機だし、空から見る景色は毎回心躍るので、この書籍を知った時にこれは読まねば!と思ったんです。

この本は、ブリティッシュ・エアウェイズの現役パイロットであり、ライターでもあるマーク・ヴァンホーナッカー氏が手がけるノンフィクション書籍。
無類の飛行機好きである著者が、パイロットの日常や飛行技法、上空で体感した自然の神秘など、飛行機や空に関するエピソードやトリビアを紹介してくれる一冊です。
「パイロットが最も心動かされる上空からの眺め」
「見事なグラデーションの空を目撃する方法」
「見逃したくない着陸直前の光景」など、
空旅がより一層楽しくなる内容がギュッとつまっています。

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コンテンツは9つの章に分かれていて、旅のアウトラインに沿って進みます。
飛行機や飛行に関する技術的な描写もあるので、すんなり頭で理解できない技術もあるかもしれませんが、
ヴァンホーナッカー氏が綴る文章はノンフィクションなのにまるで物語のようにドラマチックで、私達をその世界へ誘ってくれます。

例えば、「雲のなかを突っきること」を「空の湖に飛び込むような感じ」と表現したり、霧を「スローモーションで動く水」と表現する。
ついつい睡眠時間にあててしまう夜間飛行の神秘さも教えてくれるし(次回の飛行機は絶対に夜の空を眺めると決意!)、
着陸するかしないかを決断する決心高度での”ディサイド・コール”を人生の場面にも当てはめて使っている様子なんかは、なんだか微笑ましくもあります。

そして実は先日、来日したヴァンホーナッカー氏にインタビューできる機会をいただいたんです。
どういう想いでつくられた書籍なのか、伺ってきました。

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写真:マーク・ヴァンホーナッカー

箱庭(以下、箱):この本を執筆することになった経緯を教えてください。

ヴァンホーナッカー氏(以下、ヴ):素晴らしい体験でも、驚くべき体験でも、何度も繰り返すうちに普通のことになっていってしまいます。パイロットとして働いている自分のためにも、なぜ飛ぶことが好きなのか、なぜこの仕事が好きなのかを思い起こすために書きました。そして、自分のためだけではなく一緒に飛ぶお客様のためにも、飛ぶということを新しい目で見てもらえるのではないかと思ったんです。また、飛ぶということは人類にとっても昔からの夢であるということを思い起こすためにも書きました。

箱:こういう人に読んでほしいというのはありますか?

ヴ:この本は、飛ぶことが好きじゃない人にも読んでほしいと思っていて、例えば仕事で仕方なく乗る人、新しい場所に行きたいんだけれども仕方なく手段として飛行機に乗らなくてはいけない人、そういった人達にも飛ぶことをもっと好きになってもらいたいと思っています。

箱:今回、写真を載せずに文章だけで構成した理由を教えてください。

ヴ:当初、写真を載せるかどうかということの議論があって、話し合って結局写真を載せるのはやめました。多くの人はすでに飛行機によく乗っていて、この本を読む前も読んだ後も飛行機に乗ります。この本では、具体的な絵を見せるのではなく、彼らの体験自体に訴えかけたかったんです。

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日の入りの写真。濃い青の線は、空に映し出された地球の影。見てのとおり地球の影は斜めになっており、地球が丸いということを示している。 ※ヴァンホーナッカー氏が乗客席の窓から撮影。

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グリーンランドは、多くのパイロットが最もオススメする上空からの眺め。これはグリーンランドのフィヨルドの写真で、氷や水が山を流れ落ちているのが見える。 ※ヴァンホーナッカー氏が乗客席の窓から撮影。

ヴ:自分のWebサイトでは、飛行機の窓側からとった写真を投稿してくださいというギャラリーを設けているのですが、写真を送ってくれる時に物語を教えてくれたりします。なぜその時、そのフライトに乗っていたのかということについて、写真と共にエピソードを送ってくれたりするんです。それはとても楽しいですね。ぜひ皆さんにもエピソードと一緒に送ってほしいです!

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この本には日本も度々登場するのですが、ヴァンホーナッカー氏は高校生の時には金沢にホームステイを、大学の時は東京でインターンとして3カ月働いていたくらい日本を好きでいてくれます。
最後に日本の質問を!

箱:日本から出発するおすすめの飛行コースを教えてください。

ヴ:日本からのロンドン便はおすすめですね。北極圏を通ることが出来ます。地上では実際に北極圏を訪れる人は少ないと思いますが、上空からは北極圏を眺めることが出来るんです!これはとてもいい体験です。そして、ロンドンのヒースロー空港は、アプローチしながら街を見ることが出来る数少ない空港です。たいてい西から風が吹いているのですが、その場合右側に座っていると、着陸する前から観光が出来ます。
あと、ヨーロッパ内ではロンドンからブダペストに飛ぶのがとても好きですね。道のりの大半はドナウ川を辿るルートになるんですが、昔ながらのルートを上空から辿るというところが好きです。

ヴ:みなさん、ロンドン便で会いましょう~!

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空旅が好きな人も、フライトを何度も経験している人も、あまり好きではないという人も、フライトの魅力を再認識できる本です。
本を読んで、空旅にでかけてみては!?いつもとまた違った感動が得られるはず!

ちなみに、英語版の装丁も素敵でした。(写真左)
ニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー、エコノミスト誌の2015年間ベスト・ブックになっているんだとか。

それでは!Have a good flight!

    グッド・フライト、グッド・ナイト──パイロットが誘う最高の空旅


    マーク・ヴァンホーナッカー、岡本由香子(訳)
    原題:Skyfaring: A Journey with a Pilot
    刊行日:2016/2/24/本体価格1,800円+税/判型:46判並製
    ISBN:9784152096036 ※原書は2015年4月刊

    マーク・ヴァンホーナッカー
    ブリティッシュ・エアウェイズのパイロット。元経営コンサルタント。飛行機への愛、パイロットになる夢を忘れられず、2001年に飛行訓練を開始。現在、ボーイング 747を操縦して世界の空を飛び回る。「ニューヨーク・タイムズ」やオンラインメディア「スレート」などに定期的に寄稿している。高校時代、夏休みのあいだ日本の金沢でホームステイし、地元の大学で日本語を勉強した。
    Web site:http://www.skyfaring.com/

    飛行機の窓から撮影した投稿写真ギャラリー:http://www.skyfaring.com/gallery/
    ギャラリーに投稿したいという方は、CONTACTページから。