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読まなくなった本、どうしてますか?

こんにちは。yumieです。
捨てるに捨てられず本棚にたまっていく本。泣く泣く古本屋でお別れするなんてことも…。
できることなら、この本を好きって言ってくれる人に譲りたい、そう思った事はありませんか?

今回は、愛媛県の松山市で見つけた気軽に本をシェアできる本棚「POP UP LIBRARY」をご紹介します。

本棚の本はTake Free!!

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「POP UP LIBRARY」は、「本を通じたコミュニケーション」をテーマに、無料の本棚を設置してゆくプロジェクト。その第一弾の本棚が2016年の1月に松山市中心部にある公共広場「みんなの広場」に設置されました。写真奥の三角形と手前の家型の大きなポストのような棚に本が入っていて、誰でも利用が可能です。

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棚の壁面に利用方法が書かれているので、まずはチェック。

1.この本棚の本は”take free”です。ご自由にお持ち帰りください。
2.あなたの本を誰かに届ける”本棚”です。いらなくなった本などを入れてください。
3.本以外は置かないで下さいね。

なるほど!利用方法は簡単!!
いらなくなった本を棚にいれるだけ。しかも、棚に好きな本があれば、持って帰ってもOK!
広場のベンチでのんびり読書もできちゃいます。

本屋さんはできないけど、本棚は作れる

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本を整理しているのは「POP UP LIBRARY」運営の松波さん。現在は地元のメンバー数名でプロジェクトの運営を行っているそうです。

松波さんにプロジェクトを始めたきっかけを伺いました。「博物館や俳句ポストなど松山は文学のまちということもあって歴史的なものはたくさんあるんですが、それだけじゃなくて、本が好きな人を本がつなぐコミュニケーションがあってもいいのになぁと考えたのがきっかけです。本を読む時って自分の世界に入りたい事が多いので、モノとして存在する間接的なツールがいいと思っていました。」そこで、ヒントにしたのはアメリカのリトルフリーライブラリー運動や、イギリスのサマセットにある電話ボックス図書館。「本屋さんはできないけど、本棚なら作れるよねってことになったんです。」

アーティストのコラボで誕生した可愛い本棚


こちらは、プロジェクトスタート時に開催したワークショップから本棚設置までの一連のプロセスがまとめられたPVで、大阪の映像クリエイター「SHIBUYA TAKESHI」さんによって映像化されました。

なんといってもまず興味を惹かれるのが、本棚の高いデザイン性。
広場にたたずむ本棚は、アート作品に近い雰囲気。これなんだろう?と歩いてても目を奪われます。

「素材だけでなく、形やデザインにはこだわりました。第一位印象で”かわいい”とか”いいな”とか思ってもらえるものを作りたかったんです。機能よりも存在感を主張できることを優先しました。」という本棚は、松波さんの声かけのもと、香川県丸亀市にある材木会社が運営している「KITOKURASU」さんと、東京を拠点にチョークグラフィックを手がける黒板描きアーティスト「CHALKBOY」さんによって制作されました。

本を譲るときは、メッセージを添えてみても…。

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松山が舞台になっている小説「坂の上の雲」を発見!その土地に住んでいる人の好みを感じられるのも魅力ですね。現在はプロジェクトメンバーが不定期に本を入れ替え、ラインナップにも変化をもたせているそうです。

今後はメッセージが書けるしおりも用意される予定で、本を介してコミュニケーションが生まれるなんてことも…。「メッセージを添える事は強制ではないんです。メッセージが届く事に意味があるというよりは、メッセージがある事に意味があると思っているので。」と松波さん。

子供の頃、図書館から借りてきた本に描かれたいたずら描きをみて「どんな子が描いたのかな?」とドキッとしたのを思い出します。どこかにいる誰かにメッセージやイラストを入れて本を譲る。ちょっとワクワクしますね!

「街のまんなか」へのこだわり

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最初の本棚は興味関心を持ってもらえるようたくさん人の目にふれる所に設置したいと思っていた松波さん。お店も含め市内各所で設置場所を考えた結果、地元の人だけでなく、観光客などたくさんの人が行き交う「みんなの広場」に決めたそうです。

「”街のまんなかにTake freeの本棚があるなんて、松山ってやっぱり文学の街だね”と言われたいという想いもありました。」

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「みんなの広場」は空洞化する商店街の再生を目的に2014年にオープン。松山市のターミナル駅である松山市駅から徒歩8分で、駅前からL字型にのびる「銀天街」と呼ばれるアーケード街の裏路地にあります。
残念ながら取材当日は養生中だったんですが、夏には広場全体が芝生で青々とし、裸足で遊ぶ子供の姿もみられる素敵な広場です。大きな土管がシンボリック!

見つけるのも楽しい!巣箱のような可愛い本棚

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広場の前には可愛いカフェも。
ん??入り口になにか小さい巣箱のようなものを発見!本も入っています。

「これも”POP UP LIBRARY”の一つです。こういった鳥の巣箱のような本棚もいくつか作っていて、まだ数軒ですが市内のお店に置いてもらっています。あと、キャスター付きの大きな棚がもう一つあって、これも設置場所を今探している所です。」

設置してくれる所は随時募集しているそうです。小さな本の巣箱はペイントしたり、デコレーションしたり自由にカスタマイズするのも楽しそう!

本を日常の景色に溶け込ませたい

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「愛媛の人は、文学性のあるものが大好きだって思ってるんです。みんな本を読んだり、言葉遊びが好きだけど、おおっぴらに好きを公言するのはなんだか恥ずかしいみたいなところがあるように思うので、そういう(恥ずかしがり屋な)人のツールになるといいいなと。あと、本ってどこにでもいけるので、松山に限らずどんどんいろんなところにTake Freeのライブラリーができるといいですね。日常の中で本を目にする景色が増えれば、このプロジェクトにも意義が出てくるかなと思っています。」

松波さん、ありがとうございました。

古本は、県外からも郵送で受け付けているそうです。良書だけど本のカバーがないもの、子供の頃から読んでいて痛みがある絵本など「二束三文で売るよりは好きな人に譲りたい!」という本があれば、松山の広場にある本棚に置いてみてはいかがでしょうか?

そして、みなさんもお住まいの街のフリーライブラリーをぜひ探してみてくださいね。
大切な本を手放せないときは、「本をシェアする」という新しい方法もオススメです!

    POP UP LIBRARY

    <設置場所>
    愛媛県松山市湊町3丁目7番地12

    <お問い合わせ & 古本郵送先>
    MATSUYAMAまちサーベイ事務局:http://mmsurvey.jp
    愛媛県松山市千舟町4-6-2-3F 
    株式会社サードフロア内 
    担当:松波