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まるでアート作品のよう!最先端のトルコ料理レポ。

こんにちは!料理研究家・フォトエッセイストの口尾麻美です。
トルコ旅行記の最後は、「イスタンブール・ガストロノミー・フェスティバル」に行ってたお話。このお祭りは2003年から開催され、ハイスクール部門からプロフェッショナル部門まで79のカテゴリー、それぞれの料理技術を競う大会です。

フェスティバルというタイトル通り、会場はショーのような演出とたくさんの参加者と観客でライブ会場のような盛り上がりでした。

160621kuchio_01(審査員のシェフたち)

大きな会場はキッチンスタジアムになっていて、参加者はそれぞれ部門ごとにテーマに合わせたオリジナルレシピの料理を調理し、できあがった料理は審査員のシェフたちによって審査されます。緊張感漂う会場ですが、その中でひと際、輝いていたのが初々しい16~17歳のティーンエイジャーたち。

160621kuchio_02(調理している女の子たち)

フェスティバルを主催するTASTEDが若いプロのシェフの育成に力を注いでいるため、たくさんのティーンエイジャーたちが参加しているのだそう。

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また、トルコでは最近、女性のシェフが増えており、アメリカなどに渡り活躍の場を広げているのだそうです。

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こういった若い世代の料理人は、これからのトルコ料理の担い手としてトルコ国内外で活躍しするのを期待されています。

160621kuchio_05(エプロン姿もなんだかとてもおしゃれ!)

別の会場ではチョコレートや砂糖を細工した作品が展示されていました。

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ここでも女性シェフが目立っていました。

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鮮やかな色合いが目を引く、ゼリーのようなケーキはまるでアート作品のよう!

世界三大料理って?

さて、トルコ料理といえば、フランス、中国と並ぶ、世界三大料理で知られています。しかし、日本でトルコ料理といえば、ケバブくらいしか認識されていないのも事実。なぜトルコ料理が三大料理なのか?というと…
トルコ料理はもともと、中央アジアに住んでいた遊牧民の料理がルーツといわれています。またいろいろな気候風土を持つトルコは食材の宝庫。さらにアジアとヨーロッパ両者の食文化が絡み合い多くの料理が生まれたといわれています。そんな歴史的背景が世界三大料理といいわれる所以なのです。

160621kuchio_08(アーティチョークオリーブオイル煮)

もうひとつ、トルコ料理を語る上で欠かせないのが、オスマントルコ帝国時代にイスタンブールで発展した宮廷料理。たくさんの宮廷料理人たちが皇族のために腕を競い、その結果、多種多様な料理が生みだされました。
その数は、何万にも及ぶのだとか!アジアやヨーロッパの周辺国に与えた影響も多く、実はさまざまな料理のルーツがトルコにあるんです。

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宮廷料理はユニークで手の込んだ料理がたくさんあります。

宮廷料理の継承

160621kuchio_10(当時、何百人という料理人たちが、働いていたトプカプ宮殿のミニチュア)

今回、宮廷料理を作ってくださったシェフ聞くと、昔、皇族は妻子を持たず(継承するものがいない)、宮廷の厨房のレシピも門外不出であったそう。それなのにどのようにして今日まで継承できたのかというと、多くの料理人が古い文献から研究を重ね、それらをさらに進化させていったからなのだそう。
多くの料理人による研究によって、常に進化する料理。これがトルコの宮廷料理なんだそうです。なんともユニークでトルコらしいですが、時代が変わり、現在は今まで培ってきた技術やレシピを若い世代のシェフや海外から勉強しにくるシェフに教えていて、宮廷料理を継承していくのが自分たちの仕事と話してくれました。どんどん進化するトルコ宮廷料理これからも注目していきたいです。

◆イスタンブール・ガストロノミー・フェスティバル
Web site:http://www.istanbulgastronomyfestival.com/en/

◆箱庭ゲストキュレーター 口尾 麻美(くちお あさみ)
料理研究家、フォトエッセイスト。アパレル会社勤務後、イタリア料理店を経て現在に至る。ジャンルにとらわれない料理は書籍や雑誌、イベントやケータリングを通して発信。