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いつの時代も変わらない“日々を生きること”を教えてくれる映画『この世界の片隅に』
大切なものを失っても前を向き生活を続けるということ
こんにちは、あいぽんです。
今年は邦画が熱いですね〜。
「シン・ゴジラ」、「怒り」、「永い言い訳」などなど名作ぞろい!そして、「君の名は。」を筆頭にアニメも熱いですよね。
でも、今年のマイ・ベスト・ムービ2016どれにしよう〜と考えるのはまだ早いです。これを観ずして、2016年の映画は語ることはできない!という映画がもうすぐ公開されます。11月12日より公開されるアニメーション映画「この世界の片隅に」!
第二次世界大戦の時代を生きたひとりの女性とその生活を描いたアニメーション映画です。
主人公のすずさんを演じるのは女優ののんさん!
実は私、DVDボックスを買うくらい朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の熱狂的ファンでして…。のんさんの復帰作!ということで観に行ったのですが、マイ・ベスト・ムービ2016のランキングが激動したくらいすごくすごくいい映画でした。
そもそも私はこれまでちょっと戦争映画を敬遠しているところがありました。というのも、興味がないとか、直視したくないとか、怖いとかそういう理由ではなく、ただただ共感ができなかったんです。
映画や本ではたくさん戦時中のことが描かれているけど、どんな恐怖があったのか、どんな悲しみがあったのか。おそらく想像を絶する恐怖と悲しみがあったはず…というところでいつも思考が進まなくなってしまったんですね。
でも、今回の「この世界の片隅に」を観て、いろいろな価値観が変わったのです。
のんさんが声を担当するすずさんは絵を描くのが好きな18歳の女の子。あれよあれと縁談し、呉という港町に嫁ぎます。家事に追われたり、お義姉さんに冷たくされたり、旦那さんとデートをしたり、少ない食材をアレンジして食卓を彩ったりしながら日々を暮らしています。
少しずつ戦争はすずさんの生活にも影響を及ぼしてくるけど、そこでもすずさんは家族と一緒になって、いろいろとアイデアと工夫を凝らしながら毎日を一生懸命暮らしている。
個人的に特に好きなシーンは、旦那さんとのシーン。もうキュンとするエピソードが炸裂なんです!すずさんのかわいさったら。ちょっと不器用だけど、見ていて本当に癒やされるかわいさ!いつの時代も恋をする女の子はかわいいんですね。
なんとなく、戦争というと圧倒的な恐怖や悲しみをイメージしてしまうけれど、その前に私たちと同じような女性のごく普通の生活があるのだということを見せてくれます。
そして、映画の中でも1945年のあの夏の日のことは描かれます。
そこまでのストーリーがすごく共感できる日常だったことで、より深く悲しく、残酷なものだと思い知らされました。今まで、ちょっと遠くの世界の話だと思っていたことが、同じ世界に地続きであったのだと。
このときのアニメーション表現もすごく秀逸!すべてが破壊されるそのシーンは、ぜひスクリーンで観ていただきたいシーン。こんな風に表現できるんだ!と、驚きました。(同時に涙も止まらないシーンなので、もう感情ぐちゃぐちゃ必至!)
そして、そんな悲しみのあとにも続く生活。
大切なものを失い、すべてが奪われても、前を向き「生活」をしなくてはならない。でも、その「生活」が人々を救い、未来につながっていったのだなと。
柔らかなタッチのアニメーションとコトリンゴさんの優しい音楽、くるくると変わるすずさんの表情にマッチしたのんさんの声が、映画の奥行きをさらに深めてくれます。
ちなみに、この映画、実は、クラウドファンディングで3000人以上、4000万円近くの支援を集めて作られたのだそう。日本全国の「この映画が見たい!」という思いによって作られた映画なのです。
戦争映画でありながら、ごく普通の日常を描いたお話というのはちょっと珍しいのではないでしょうか?戦争についてだけでなく、今生きている日常生活を考えるきっかけにもなるはず。
戦争映画はちょっと苦手…という方もぜひ観ていただきたい作品です。
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「この世界の片隅に」
- のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ 岩井七世 牛山茂 新谷真弓/澁谷天外(特別出演)
- 原作:こうの史代『この世界の片隅に』(双葉社刊)
- 企画:丸山正雄
- 音楽:コトリンゴ
- 監督・脚本:片渕須直
- 製作:「この世界の片隅に」製作委員会
- 公式サイト:konosekai.jp
- 1944(昭和19)年2月。18歳のすずは、突然の縁談で軍港の街・呉へとお嫁に行くことになる。
- 新しい家族には、夫・周作、そして周作の両親や義姉・径子、姪・晴美。配給物資がだんだん減っていく中でも、すずは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。
- 1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの艦載機による空襲にさらされ、すずが大切にしていたものが失われていく。
- それでも毎日は続く。そして昭和20年の夏がやってくる―。