荒川区の町屋二丁目にある、カフェと雑貨のお店「n.r store」

夫婦2人の職を活かした、下町と異国情緒を同時体感できるお店

こんにちは。どんどん地元に新しいお店が増えてきて嬉しい戸田江美です。

私が住んでいる街・荒川区は、のんびりしていて昭和のにおいが残る下町。
元気で個性的な個人商店が集まっていて、箱庭では以前、焼き菓子屋「nécoya BAKESTAND」さんや現代版喫茶店「こひきや」さんをご紹介しました。

ベトナム雑貨が飾られた店内

さて今回取材させていただいたのは、ベトナム料理、焼き菓子やパン、手作りの木工雑貨が販売されているお店「n.r store」さん。
ずっと料理を生業にされてきた奥様と、家具製作に携わる旦那様がご夫婦で作ったお店です。

引き戸に書かれたロゴ

なんとお店の塗装や引き戸、机や椅子もご自身で手がけられたのだそう。その様子は記事の後半でご紹介しますね。

地元の人に愛されるバインミーやベトナムコーヒー

旅やキャンプが大好きな美濃さんご夫婦。
「色んな場所に行ったけど、特にタイ、ベトナムの景色が忘れられないくらい大好き!」という奥様がバインミーやベトナムドリンク、スイーツを作っています。

メニューはバインミーを中心にベトナム料理を展開中

バインミーとは、ベトナムのサンドイッチのこと。
月替わりメニューも含めて4種類、提供されています。テイクアウトもできますよ。

定番のパテとハムのバインミー

今回は定番の「レバーパテとベトナムハム」をいただきました。
特製ピリ辛ソースを塗ったフランスパンに、パクチーなどの香草とシャキシャキの野菜、ジューシーなパテとハムが挟まれています。

オリジナルスタンプが可愛い

甘味と辛味が交互に味わえるし、色んな食感が楽しめるし、ボリューミーだけど全然飽きずに気がついたら完食していました。大満足!
店内で食べている方からも「おいしいね」「また来ようね」という会話が聞こえてきました。
開店した途端、次々と地元の人が来店しているのも納得の味です。

ランチセットはバインミーとドリンク、デザート。

ドリンクとデザートが一緒のランチセットもありますよ。

ベトナムコーヒー

「n.r store」に来たら絶対に頼んで欲しいのが、バターとバニラの香りがふわっと立ち昇るベトナムコーヒー。
コップの上のドリッパーを外して、下に沈殿しているコンデンスミルクをお好みで混ぜながら飲む、楽しいコーヒーです。

コンデンスミルクと混ぜるとすごく甘くなる

そのまま飲むと濃いコーヒーの旨味が味わえ、混ぜてみるとガラッと色味が変わり甘ーいコーヒースイーツのような味になります。

駄菓子屋のボックスを使ったレトロなディスプレイ

駄菓子屋さんのようなボックスに入っているのは、ベトナムビール。

季節のものを使ったマフィン

スイーツもたくさん揃っています。

焼き菓子やケーキも豊富

マフィンやクッキー、天然酵母で焼いたスコーン、フィナンシェ、ケーキなどなど…

どっしり甘いベトナムバナナケーキ

私が一番好きなのは、「ベトナムバナナケーキ」です。
濃厚なバナナの甘みとずっしりとした重厚感があるのに、油分は使っていないという嬉しい一品。大人気商品です。
日替わりで少量ですが、カンパーニュやロデヴなどのパンも焼いているそう。

奥様は以前の仕事のつながりで、タイ、ベトナム料理や天然酵母のパンを教える料理教室もされています。
近々お店でも開催するそうなので、要チェックですよ。

世界にひとつだけ。丁寧な仕事が伝わって来る木工雑貨

「n.r store」に来る度、手に取るのが楽しみなのが、旦那様が作られた木工雑貨たち。

旦那さんが作った木工雑貨たち

バターナイフやカッティングボード、箸置きなど、日常で末長く使える相棒になってくれるものばかり。

トレイやカッティングボードなど盛りだくさん

手触りがよく、ひとつひとつ木目や色味が異なっていて、お気に入りを探す時間も楽しいです。

なべ敷きが便利

キャンプをよくする美濃さんならではの商品が、なべ敷き。
組み立て式なのでコンパクトに持ち運べたり収納したりできるんです。

カレンダーはインテリアになる

木のぬくもりが感じられるカレンダーは、インテリアとしてお部屋のアクセントになってくれそう。

椅子も机も手作り

店内の椅子、テーブルも旦那様が作ったものです。
座面が木材でできたミシン椅子は見た目もおしゃれだし、座り心地も良いです。

低いテーブルはキャンプで使うために作られたそう。

どれも丁寧に、優しい気持ちで作られたのだなと感じられる商品です。
こうした美濃さんご夫婦が手間ひまかけて作ったものたちが、お店にいると感じる居心地の良さを生み出しているのかなと思いました。

「今後はオーダーで椅子やテーブルも販売していきたい!」ということで、とても楽しみです。
お店で奥様の料理を食べながら「どんな椅子をオーダーしようかな〜」なんて想像する時間、良いですよね。

塗装をしてランプも組み立てて…自分たちで手作りしたお店

さて、そもそも何故ご夫婦でこの場所に、しかも自分たちでお店を作ることにしたのか聞いてみました。

美濃さんご夫婦は約10年前に、仕事の都合で荒川区に引っ越してきたそう。

「このエリアは昔ながらの畳屋さんや魚屋さんが並んでいる情緒があって、のんびりしていて、治安が良くて、良いですよね。
それに焼き鳥とかラーメンの屋台が出てる時の雰囲気なんかは、大好きなアジアの国を彷彿させる雰囲気があって。ほっとする街です。」

そんなお気に入りの街にお店を出したのが、2016年の秋のこと。
「いつか2人で、2人が作っているものを売るお店をやりたいね」と思っていたところに、ちょうどよく物件を見つけ、開店を決めました。

初期費用を抑えるためにも、外・内装のできる部分は自分たちでやると決めたお二人。
知人の職人さんの手も借りながら、店内の塗装や引き戸の建て付けをおこなったそうです。

ランプも手作り。自分たちで塗った壁の塗装も綺麗

「塗装はもう二度とやりたくないです(笑)」と言うほどに大変だったとか。
落ちついた色味の壁は、鮮やかなベトナム柄の机や雑貨にマッチしています。

一部のペンダントランプはパーツを組み合わせて作ったお手製のもの。
そこかしこから手作りのぬくもりが感じられます。

引き戸とすりガラスのレトロな外観

「新旧が程よくまざったものが大好きで。だから引き戸とすりガラスみたいなレトロな建具を使いたかったんです。
すりガラスが一枚だけ種類違うのは、塗装をしていたときに割っちゃったから(笑)」
なんて、苦労が垣間見えるエピソードを持つ引き戸。

八百屋や畳屋が並ぶレトロな荒川区にハマっていながらも、どことなく新しい風を感じる外観です。

旦那様の屋号「nice time」と奥様の屋号「rice time」の頭文字を取って付けられた「n.r store」。
「store」には、ベトナム料理や木工雑貨に限らず色々なものに取り組んでいくという、お二人の豊富な経験と好奇心が込められています。

ご夫婦の「好き!」が詰まってできた、異国情緒と下町を同時体感できるお店。一度行けば通いたくなること間違いなしです。