LIFE 暮らしを楽しむグッドな情報
週末読みたい本『「小商い」で自由にくらす』
好きな「ものづくり」を仕事にする!身の丈の小さな経済圏が叶える、理想の生き方
こんにちは、ミユです。
「なにか新しいことを始めてみたいけどなかなか踏み出せないな…」
「地方で暮らすってどんな感じなんだろう?」
そう感じて、もぞもぞしている方って多いんじゃないでしょうか?
今日はそんな方にオススメの一冊、『「小商い」で自由に暮らす』をご紹介します!
ちなみにこの本でいう「小商い」とは・・・
”小”がお金を指すと、気軽な小遣い稼ぎ。
”小”が時間を指すと、隙間時間に行う片手間の商い。
”小”が個人を指すと、自分ひとりの趣味的な楽しみ。しかし、この本で取り上げる「小商い」は、このどれでもなく、「思いを優先させたものづくりを身の丈サイズで行い、顔の見えるお客さんに商品を直接手渡し、地域の小さな経済圏を活発にしていく」商いのことです。
つまり、とことん「DIY」で「Face to Face」で、「Local」であること。
千葉県・房総いすみ地域の魅力的な小商いプレイヤーたち!
この本には、房総いすみ地域で「小商い」を行い、生計を立てているプレイヤーのインタビューがたくさん掲載されています。
読んでまず思ったのが、房総いすみ地域(房総半島南東部にある、いすみ市とその周辺の市町村を指す本書の造語)には、「なんて楽しそうな人たちが、なんて楽しそうなことをしているんだろう!」いうこと。
例えば、本書の著者である磯木淳寛さんの奥様である磯木知子さんは、「Another Belly Cakes」というケーキ屋さんをされています。ケーキ屋さんといっても、店舗は持たずマーケットへの出店が主な営業スタイル。
作っているのは、「自分の身の回まわりで採れたものを食べる」というマクロビオティックの考え方をベースに、植物性の原料だけで作ったケーキです。地域で採れたかぼちゃやさつまいも、フルーツを使っているって、昔なら当然かもしれませんが今となっては貴重な存在。食べながら、より地域愛が強くなりそうです。
なにより、このケーキの可愛らしさ!
「Another Belly Cakes」さんのことは雑誌で拝見して気になっていたのですが、この本を読んで「食べに行きたい!」という気持ちが強くなりました。
そしてこちらは、移動式自転車屋台のコーヒー屋さんの「Spaice coffee」
23歳の紺野雄平さんが、内定の出ていた就職先を辞退してまで始めたコーヒー屋さんです。
房総いすみ地域の中でもとくに過疎化の進んでいる勝浦市で、少しのアルバイトをしているものの、ほぼこのコーヒー屋さんだけで生活をしているんだそう。
写真から溢れ出る紺野さんの笑顔を見ていたら、その歩みの力強さの源に触れるため、このコーヒーを飲みに行きたくなってしまいました。
こちらは、毎月1日だけ営業する「チーズ工房【千】sen」
牧場の近くに工房を持ち、自分の理想とするチーズ作りをするため、妥協のない仕事で上質なチーズを作っているんだそう。ぜひ味わってみたいですね!
こちらは、趣味の養蜂で取れたはちみつをマーケットで売るようになったという「Honey pott」
今では、いすみ市のふるさと納税の辺礼品にも選ばれているんだとか。
その他にも、地元産の素材をたっぷり入れた無添加おにぎり「おにぎり工房 かっつぁん」など、魅力的で気になるお店がいっぱいです。
遊びに行ってみたくなりますね。
「人生と仕事と暮らしをDIYしていく!」
そして、好きな「ものづくり」を仕事にしたいと思っている人にとっては、たくさんのヒントが詰まった本でもあります。房総いすみ地域の「小商い」プレイヤーたちがどんな風に仕事を始めて、どんな売り方をしているのか、さらには商品単価や売り上げ、1ヶ月の生活費といったデータまで掲載されているんです。
また、今では全国区の知名度を誇る有名人気店が、商売をスタートさせた無名時代のお話も掲載されています。
例えば、自然の中から採取した野生の菌と酵母を使ってパンやビールを作る「タルマーリー」。
『田舎のパン屋が見つけた「腐る」経済』の著者でもあります。
どんどん山奥へ場所を移してゆき、現在は鳥取県智頭町で営業していますが、原点はいすみ市でした。
今や海外からもファンが訪れるお店となったふたりのインタビューの中に、「まず、最初の一歩を踏み出すのが怖いという気持ちがありました。」と書かれていて、とっても驚きました。信念を曲げずやりたいことを形にする強さを持っているように思える人にも、踏み出すのが怖いと感じた時があったんですね。
そしてこちらは、マクロビオティックに関する料理本や料理教室で知られる、マクロビオティック料理家の中島デコさんのインタビュー。いすみ市内で営む「ブラウンズフィールド」をつくった経緯や料理家としてのお仕事を始めた当初について触れられています。ここでも、無名時代どんな風に仕事を始めて行ったのかということが語られていて、「いきなり大きなことをしようと思わなくてもいい。小さなできる範囲のことから始めればいいんだ!」と勇気をもらえるインタビューです。
この本で一貫して語られているのは、欲しいものがなければ作ってしまおうという「DIY」精神。
自分がやらずにはいられないことに本気で取り組み、暮らしを成り立たせていこうとすることは、いい大人が正面からとり組む価値のある、人生ごと楽しむ遊びである
「遊ぶように、自由に暮らそう」というデコさんのインタビューを読みながら、数年前に「ブラウンズフィールド」を訪れた際、デコさんがおっしゃっていた「生活するために働いてたのに、生活する時間がないってみんな言うでしょ。早く気付いたもん勝ちよ。」という言葉を思い出しました。
元々は写真撮影をお手伝いさせていただいたことから知ったこの本。「地域」や「小商い」は気になるキーワードだったので、とても楽しみにしていましたが、読んでみてぐんぐんと引き込まれていきました。それは、特別な人が特別なことをして特別な立ち位置にいるという自分から縁遠い話ではなく、もっと身近に感じられる「私にもなにかできるかも」と思わせてくれるものばかりだったから。
「自由にくらす」ことって、自分にとっての「ちょうどいい」暮らしをつくること。そのためには一歩踏み出して、トライ&エラーを繰り返し、修正しながら歩み続けることが大切だなと再確認させてくれた本でした。みなさんも、「本気で取り組む、人生ごと楽しむ遊び」見つける一歩を踏み出してみませんか。
『「小商い」で自由にくらす 』(房総いすみのDIYな働き方)
磯木 淳寛 著
イカロス出版 (2017/1/20)
A5判 186ページ
定価:1512円(税込)
ISBN:978-4802203005
多くの人が、ものづくりを行い、店を持たず、ネット販売も行わず、小商いでの収入を中心に据えて暮らしている。それはこれまでの小商いの概念とは大きく異なるものだ。数年前から注目されているローカル「房総いすみ地域」で、なぜ小商いで暮らすことが可能なのか?小商いが地方を豊かにするのはなぜか?小商いを支えるマーケット文化が地域に果たす意味合いとは?いすみ市在住で、全国の地方を数多く見てきた著者が、当事者へのインタビューを通じて様々な視点から考察する。今、地方はのんびり暮らすところではなく、夢が叶う場所になった。仕事がネックとなって地方移住に二の足を踏んでいた人にも勇気が湧いてくる一冊! 「小商い論・田舎論」として、いすみ市在住の中島デコ(マクロビオティック料理家)、鈴木菜央(greenz.jp)、ソーヤー海(TUP)の三氏と青野利光氏(Spectator)にインタビュー。巻末では佐久間裕美子氏(「ヒップな生活革命」)と、アメリカのスモールビジネスとの対比について論を交わす。
◆関連リンク
『「小商い」で自由にくらす 』(房総いすみのDIYな働き方)|イカロス出版
『「小商い」で自由にくらす 』(房総いすみのDIYな働き方) |facebook
SLOW MODERN FOOD (磯木 淳寛)