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昭和の郵便局を改装。ゆったりとした空気が流れる新潟のカフェ「MACHITOKI」
郵便局をリノベーションした懐かしくも新しいカフェ
こんにちは、新潟在住ライターの渡辺真理子です。
わたしの住む地域ではここ数年、古民家を改装したお店が増えてきています。時を経てきた建物が醸す空間にいると、不思議と心が落ち着く……。この感覚が大好きで、足繁く通ってしまいます。
今回ご紹介する「MACHITOKI(マチトキ)」は昭和の郵便局をそのまま活かしたカフェ。丸みを帯びたマンサード屋根と、茶色の建物にキリリと映える白い破風が印象的で、まるで絵本に出てくるかのような外観がなんともメルヘンで可愛らしいんです。
それでは、さっそく中へ入ってみましょう。
1935年に建設された「旧七谷郵便局」は、市の指定有形文化財にもなっている貴重な建物です。この建物を引き継いだMACHITOKIがオープンするまでは、大家さんによって大切に保管されてきました。そのため、年月を経ていながらも古さは味わいとなり、現代の人をも惹きつける造形がほぼ当時のまま残っています。
扉を開けた先の玄関では、センス良く並べられた季節の植物たちがお出迎え。こちらで靴を脱いで、ガラス窓の向こう側へ進みます。
窓から広い庭と竹林を眺められる、郵便局をそのまま活かした空間が広がる店内。カフェテーブルは店長さん手作り、什器は廃校になった中学校からもらってきたそう。郵便局時代の局長さんの机も活用されています。
当時、郵便局内に置かれていた本も並べられています。レトロな表紙が素敵で、思わずノスタルジックな気分に浸ってしまいました。
温かなご夫婦が生み出す心地よい雰囲気
「どうぞゆっくりして行ってくださいね」と出迎えてくれたのは渡辺幸治さんとサヨさん夫妻。細かいところにまで気を配ってくださり、優しい声かけにとても癒されます。
以前おふたりは横浜で輸入陶器のネット販売をしていたそうですが、後に幸治さんの実家である新潟に移住。2015年にこの地でお店を始めました。
実は、幸治さんはデザイナーの仕事もしていて、店内では自身が手がけたプロダクトの販売もしています。こちらは理化学ガラスを日常で使えるようにデザインした「DEGREE(ディグリー)」。一切の色付けと表面加工のない、直線と角だけで構成された透明なガラスは、無機質でシンプル。驚くほど軽く、かつ丈夫で耐熱性もある機能的なガラスの魅力が伝わってきます。
ユーモアあふれる老夫婦の姿が描かれたお皿、その名も「ジョンソンさんのプレート」。「ずっと旅人・いくつになっても旅人」をテーマに生まれたカナダ人のジョンソンさん、そして国籍不明の奥さんは、人生を謳歌しているかのような底抜けに明るい表情が印象的です。
幸治さんの実家である白玉屋で作られた水挽石臼挽きの白玉粉を、可愛らしいパッケージに詰め込んだ「しらたまおやつ」。昔は各家庭で手作りされていた白玉の魅力を現代にも伝えたい、そして親子のコミュニケーションツールとして役立ててほしい、そんな願いが込められています。「カラーミーショップ大賞2016おやつ部門」受賞の、味も見た目もお墨付きスイーツです。
名物しらたまあんみつ!幸福感に包まれよう
カフェではホットサンドなどの軽食やコーヒーをいただくことができますが、MACHITOKIに来たのならばぜひ食べておきたいのがこちら。
しらたまあんみつ570円(ほうじ茶付き)。
お店でも販売している上質の白玉粉を使用した、大きな白玉入りのあんみつです。バニラアイスとサツマイモ餡の甘さが幸福感を誘い、甘酸っぱい苺が絶妙にマッチ。さくさくとした食感のコーンフレークで変化を付け、あんみつにはマストな存在のクリアな味わいの寒天で一休み。口の中が甘くなってきたなと感じる頃に、塩っ気のあるえんどう豆を口に運び、さらにアイスの上に鎮座する具材をパリッと齧ると薄焼き煎餅だったという嬉しいサプライズも!
器の中にこれだけ遊び心ある要素が詰まっている、あんみつワールドに感動です。あまじょっぱい味のバランス、食感の多様さ、そして彩り。緻密に考え尽くされた一椀だと思います。
この場所で日々の「時間」を見つめてほしい
「まちに流れている時間」というコンセプトから始まったMACHITOKI。日常をじっくりと観察して感じることを大切に、この場所で自身の「時間」を見つめてもらいたい……。そんな想いが込められたカフェは、昭和の面影はそのままに日々変化し続けています。
「近頃は、新しいモノ作りにいそしむ日々を送っています。同時進行で手がけているプロダクトがいくつもあるのですが、そのどれもが“こだわりがありつつ気軽なもの”。カフェのコンセプトにも合う、日常の暮らしの中で活躍するモノになる予定です」と幸治さん。やりたいことはまだまだ沢山あると話します。
「あと、この場所は元郵便局ということで、いずれは手紙を投函できる簡易郵便局カフェにしたいなと考えています。しらたまあんみつを食べながら誰かに手紙を書いて、この店で手紙を送る。そんなスローで実りある時間の使い方も素敵なのではないでしょうか」
日々を忙しくしすぎていると、大切なことまで見落としてしまっていることがよくあります。そんな時は、ゆったりと時間を過ごせるMACHITOKIで、自分を見つめ直してみてはいかがでしょうか?ノスタルジックな空間に包まれれば、きっと新たな気付きが見えてくるはずです。
MACHITOKI
住所:新潟県加茂市黒水856
営業時間:(平日)11:00~16:00、( 土日)11:00-18:00
TEL:0256-53-0026
定休日:月曜日・火曜日
HP:http://machitoki.com/