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週末読みたい本『日本のかわいい刺繍図鑑』
いつもの糸とステッチで刺繍ができる、おしゃれでかわいい和の図案。
こんにちは。Keinaです。
今週の週末読みたい本は、『日本のかわいい刺繍図鑑』です。ときどき刺繍小物をつくって遊んでいるんですが、小学生のときに家庭科の授業で教わった程度なので、もういちど基本のステッチを知りたいなと思っていたところに、好みの図案の書籍を見つけました。自由に刺繍するのもいいけれど、基本は押さえておきたいところです。
著者の千葉美波子さんは、子どもの頃から和名の色辞典を眺めること、家紋や着物の柄、妖怪図鑑を見ることが好きだったそう。大人になって日本古来の図案により深く触れるようになり、ますますその素晴らしさに胸打たれ、今っぽくて本当に使える「かわいい」和の刺繍図案をつくりました。
不憫な、かわいそうなが転じ、助けてあげたい、守りたいといった愛情を意味するようになった「かわいい」は、現代ではとてもありふれた言葉です。本書では図案のデザインを指すだけでなく、子どもの成長や夫の無事を祈って服に刺繍するいじらしさ、捨てずに活かす繕いの心、無機物へ向ける優しい眼差しまで、日本で培われてきた「かわいい」を伝えています。どんな内容なのか、さっそくチェックしてみましょう。
季節の愉しみ
春の紋様・夏の紋様・秋の紋様・冬の紋様
(写真提供:ビー・エヌ・エヌ新社)
春は心躍り、夏は浮き立ち、秋はしんみり、冬はじっくり。季節が変わるごとに、自分自身も新鮮に変わります。受け継がれる四季の図案を、暮らしの中で愉しんで。
夏の紋様
左上の「水に鴨」は、水と鴨の組み合わせに軽やかに泳ぐ動きを加えて、更なる涼を表現しています。右上の「踊り蟹」は、蟹は江戸時代以降に増えた図案。姿形の面白さを活かして大胆に用いられることが多いそう。
秋の紋様
左下の「春日山文」は、古今和歌集に材を取った風景文。着用することで教養もアピールできたそう。右下の「花兎」は、花と兎をセットにした図案の総称。これは萩を添えて秋の図案としています。
こんな風に、すべての意匠の名と意味を、由来や物語と一緒に紹介しているので、意味を知ってから刺繍すると、さらにつくるのが楽しくなりそうですね。日本は、四季があるので、四季折々の図案が豊富なことに改めて驚きました!
他にも「晴れやかな兆し」では、「吉祥紋」「十二支」「世界の十二支」 の図案も紹介されています。祝うこと、願うことの形は、ときに言葉よりも真っ直ぐ、込めた思いを伝えてくれるはずです。
用の美のこころ
刺し子・縞帳・背守り・繕い方
「刺し子」、「縞」、「背守り」、すべての時代背景に繕い文化がありました。一針一針、思いを馳せて。無駄を省いたデザインが、生き方と身ごなしを今に伝えてくれます。
日本の刺繍というと、素朴な刺し子や昔も今も人気の縞模様の刺繍も素敵ですね。江戸時代から明治にかけて全国の農村で盛んに縞や格子が織られ、オリジナルの柄がたくさん生まれたそうです。こちらの写真の「縞帳」は、女性たちが織った布の切れ端を紙に貼った覚書のようなコレクションなんですって。なんだか見ているだけでワクワクする図案ですね。
アニミズム
妖怪アルファベット・鳥獣戯画
人のような姿態の妖怪や動物たちが、可笑しくて可愛くて。すべてのものに魂があるって、なんて自由でおおらかなんでしょう。ポジティブなメッセージにぴったりです。
図案とつくり方
本の最後には、全ての図案が実物大で紹介されています。ラメ糸を除き、刺繍糸の色番号はすべて「DMC25番刺繍糸」を使用しています。著者の千葉さんは、図案を写すときは、水で消える転写紙「チャコペーパー」を使用していて、クロバ―の青と白、ルシアンの赤を布色と布質にあわせて使い分けているそうですよ。
刺繍初心者が知りたいような、刺繍の道具と材料、基本のステッチなどの紹介もあります。刺繍初心者から刺繍が大好きな方まで、たっぷり楽しめる1冊です。最初は小物に刺繍するところからはじめて、慣れてきたら服などにも挑戦してみたいですね。

『日本のかわいい刺繍図鑑』
いつもの糸とステッチで刺繍できる、おしゃれでかわいい和の図案。200点以上の図案と作り方に加え、すべての意匠の名と意味を、由来や物語から紹介します。不憫な、かわいそうなが転じ、助けてあげたい、守りたいといった愛情を意味するようになった「かわいい」は、現代ではとてもありふれた言葉です。本書では図案のデザインを指すだけでなく、子どもの成長や夫の無事を祈って服に刺繍をするいじらしさ、捨てずに活かす繕いの心、無機物へ向ける優しい眼差しまで、日本で培われてきた「かわいい」を伝えます。丁寧な暮らしの中で生み出された美しい形と、そこに込められた心が蘇り、あなたの手仕事に寄り添う、頼もしい一冊です。
ISBN:978-4-8025-1052-3
定価:本体1,400円+税
仕様:B5判変型/128ページ
発売日:2017年05月19日
著者:千葉美波子
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千葉美波子(ちば みなこ)
ABCクリエイター、刺繍家。
手刺繍による作品制作のほか、企業や有名キャラクターとコラボした刺繍商品の開発、広告等への作品提供を手掛ける。刺繍教室や映画上映とコラボしたワークショップなど、伝える活動もときどき。著書に『アルファベットの刺しゅう手帖』(ソシム)、『紙刺繍のたのしび』(ビー・エヌ・エヌ新社/共著)、『通園通学のためのワンポイント刺繍とアップリケ』(大泉書店/共著)『いちばんやさしい猫刺しゅう』(エクスナレッジ/共著)など。
http://kuroyagishiroyagi.com
Instagram @kuroyagishiroyagi
◆関連イベント
『日本のかわいい刺繍図鑑』出版記念展
日時:2017年6月27日(火)ー7月17日(月)
場所:サンイデー:西武渋谷A館7F
本書で掲載した刺繍の実物を展示します。
ワークショップ「日本のかわいいワンポイント刺繍」
日時:2017年7月2日(日)AM10:30-12:30
場所:サンイデー:西武渋谷A館7F
定員:10名
参加費:3,500円
本書に掲載した図案を用い、きんちゃくをつくるワークショップです。