少女が見つけた生きるための歌。映画「ブランカとギター弾き」

少女は盲目のギター弾きと共に、お母さんを買う旅に出た

こんにちは。あいぽんです。今日は、映画『ブランカとギター弾き』という映画を紹介したいと思います。

ヴェネツィア国際映画祭で2冠の他、多くの映画祭でグランプリを獲得したことでも注目を集めている作品なのですが、実は日本人が監督なんです。

本作の監督を務めた長谷井宏紀さんは、ヨーロッパやフィリピンを拠点に活動している映画監督ということで、日本ではまだあまり知られていないかもしれませんが、今世界が注目している映画監督のひとりと言っても過言ではない方。というのも、今回の『ブランカとギター弾き』はヴェネツィア・ビエンナーレとヴェネツィア国際映画祭による全額出資によって制作されたもの。その資格を得るために数々のワークショップを勝ち抜く必要があるのだそう。この資格を得ることができたのは日本人で、長谷井さんがはじめてなのです！

あらすじ

さっそく、映画のストーリーを紹介したいと思います。映画『ブランカとギター弾き』窃盗や物乞いをしながら路上で暮らしている孤児の少女ブランカ。有名な女優が自分と同じ境遇の子供を養子に迎えたというニュースを知り、「お母さんをお金で買う」というアイディアを思いつきます。同時期、仲間の少年たちと仲違いをし、暮らしていたダンボールの家は壊され、全てを失ってしまったブランカ。途方に暮れたブランカは出会ったばかりの盲目のギター弾きピーターに頼み込み（半ば無理やり！？）、彼と一緒に「お母さんをお金で買う」ために街を目指すのでした。映画『ブランカとギター弾き』辿り着いた街でもブランカはお母さんを買うための資金を稼ぐため、窃盗を繰り返します。

しかし、やがてブランカはピーターのギターに合わせて歌をうたうことで、自分でお金を稼ぐ方法を知っていきます。映画『ブランカとギター弾き』ある時、路上でうたう様子を見たライブ・レストランのオーナーに誘われ、幸運なことにステージの上で演奏する仕事と食事、そして屋根のある部屋での暮らしを手に入れたふたり。

映画『ブランカとギター弾き』お母さんを買うための資金も着々と集まっていったが…思いもよらぬ事件が起きてしまうのです。ブランカはお母さんを買うことができるのか？ブランカとピーターの旅の行方は！？

77分という短い時間の中にギュッと詰まった物語です。

ブランカののびのびとした歌声

お母さんがいれば幸せになれる、お母さんを買おう、そんな11歳の少女の計画。突拍子もなく思えてしまいますが、それが彼女たちの現実なんだなと思い知らされます。しかし、ストリートチルドレンの現実を描いている映画ですが、決して「かわいそう」だけでは終わらないのがこの映画の魅力だと思います。

映画『ブランカとギター弾き』歌っているときのブランカの表情が生き生きとしていて、素敵すぎる！ちなみにブランカを演じたサイデルはYou Tubeの動画がきっかけで見つけたのだそう。

「その動画は、ブランカそのものだった。気の強さとルックス。直感でこの子しかいないと思った」とは監督の言葉。

ブランカののびのびとした歌声が観終わったあとも、いつまでも心地よく残りました。

現地でキャスティングした子どもたち

映画『ブランカとギター弾き』ブランカの周りの子供たちも注目してほしいポイントです。実は彼らはフィリピンの路上でキャスティングされたのだとか！

「やっぱり手の動き一つとっても、違うんだよね。生活が表れる。爪の先、垢、シワにしても、その人の生活が出るから、この脚本がこの脚本である以上、その生活をしている人と一緒にやらないとリアリティを失ってしまう懸念があった」という監督の言葉通り、表情や動きに生命力がみなぎっているように感じました。そのあたりも注目して観てみてください。

オレンジ色のようにあたたかな映画

映画『ブランカとギター弾き』「家族が欲しい」というブランカの願いはどうなるの？と、ラストまで目が離せない展開となっています。ブランカの見つけた答えに思わず胸が熱くなり、そしてなんだかパワーをもらったような気分に。映画『ブランカとギター弾き』ストリートチルドレンを描いているということで重い展開になりそうなところですが、ブランカの衣装やインテリアなどのポップな色使いだったり、楽しげな音楽だったり、テンポ感のある演出だったり、そしてなによりも生命力溢れる登場の表情で、エネルギーに満ちた映画になっています。映画『ブランカとギター弾き』映画の中に「オレンジはあたたかい心の色」というセリフがあるのですが、まさにそんなオレンジ色のようにあたたかい映画です。ぜひ、観てみてくださいー！