LIFE 暮らしを楽しむグッドな情報
週末読みたい本『本棚の本』
本棚は人生!読み終えた時、自分の本棚を見返したくなる一冊。
こんにちは!箱庭編集部みのりです。
今回は、本好きのみなさんはもちろん、特に読書好きではないけど、時々本を読むという人にも手に取ってもらいたい一冊をご紹介したいと思います。
その名も、『本棚の本』。表紙のタイトルの横には、デザイナー、カメラマン、雑誌編集長、酒屋店主、料理家・・とさまざまな職業の名前が並んでいて、どんな本なんだろう?と興味をそそられます。
本書は、暮らしにまつわる本づくりに長年携わり、さまざまな分野の仕事人とのつながりの深い、編集者の赤澤かおりさんが敬愛する19組の本棚を訪ねた、本棚探訪記なんです!
子供の頃、友人の家に上がり込むと、まず本棚の中身が気になったという赤澤さん。編集者となり、とある会話がきっかけでアノニマ・スタジオのWeb連載「仕事人の本棚」の取材がスタートしました。
本書は、「仕事人の本棚」をもとに加筆修正し、書籍版特別編として料理家の高山なおみさん、エディトリアルデザイナーの若山嘉代子さんを含めた19組の本棚と人生のストーリーを収録。おすすめ本は300冊以上もあり、ブックガイドとしても楽しめる一冊になっています。
ありのままの本棚を覗く中で、見えてきたこととは?
(若山嘉代子さんの本棚。縦に積んでいく本棚は、インテリアとしても存在感があって素敵です!)
赤澤さんが取材前に必ずお願いしていたのは、「好きな本を10冊程度準備してもらうこと」と「本棚の整理をしないでおいてもらうこと」、それから「本を読むときのおともとなる、おやつや飲み物を教えてもらうこと」。
ありのままの本棚は、本のジャンルはもちろん、本棚の形から本の並べ方までまさに十人十色。写真を眺めているだけで、ご自宅にお邪魔して本棚を覗いているような気持ちになってしまいます!
(箱庭の5周年記念イベント『アナログとデジタル祭』では「縄文の世界」のトークをしていただいた、帽子作家・スソアキコさん。古事記から天才バカボンまで、幅広いジャンルの本が並んでいるのが面白い!)
取材をはじめてから2年が経ち、赤澤さんが気付いたのは、「本棚は人生」だということ。日々が積み重なった自分自身の証のようなもので、ずっと本棚に残っている本は、その人にとっての何かが詰まっているものだといいます。
話を訊くうちに、知っていたはずの人たちの知らなかった顔が見えたり、あぁやっぱり!と思うことが幾度もあったのだとか。
こちらは、鎌倉の小町通りにあるイタリア料理店「オステリア・コマチーナ」のオーナーシェフ、亀井良真さんのお店の本棚。カフェに本棚があるのはよく見かけるけれど、レストランに本棚があるのは珍しいですよね。赤澤さんが亀井さんに話を訊くきっかけになったのも、そんな思いからだそうです。
「ラーメン屋さんに漫画とかが置いてあるような、そんな気楽な雰囲気を出したかったから」という亀井さん。確かに、本棚があることで、なんだか自宅をお邪魔しているようなくつろいだ気持ちになれたり、ゆっくりしてもいいんだなと思えたりしますよね。本棚って、場の雰囲気を変える力を持っているのかもしれません。
そんな亀井さんの本棚に並ぶ「フィレンツェ料理の技術」という本のエピソードを読んでいると、以前本屋に勤めていた奥様に無理言って探してもらった本だということが発覚!なかなか見つからなかったこの一冊が、二人の縁を繋いでくれたという素敵なお話でした。結婚という人生最大の縁を結んだのが本だなんて、まさに「本棚は人生」だなぁと思わされました。「オステリア・コマチーナ」を訪れた時には、手に取ってみたいと思います!
最後には、この本に関わったスタッフの皆さんと赤澤さんご自身の本棚が紹介されています。赤澤さんの本棚は、壁面にこしらえた本棚から、トイレに立てかけた雑誌や新聞類、仕事のデスクの上、ソファーやベッド脇など、家中いたるところに。いつでもどこでも手が届く場所に本が重ね置かれている写真から、いかに本が赤澤さんにとって日常の一部であるかが伝わってきました。
今のままの本棚も素敵ですが、いつか、部屋の壁面あちこちに本棚を作って本を収納し、持っている本をちゃんと確認する日を作ることが、今後の計画のひとつだそうです。
(本のカバーを外すと、カメラマン・長嶺輝明さん(左)と、赤澤さん(右)の本棚が現れました!)
それぞれのお人柄と仕事ぶりを知る赤澤さんだからこそ引き出せる、19組の本と人生の物語はどれもとても素敵なので、みなさんの本棚のお気に入りの一冊に加えてもらえたら嬉しいです。
また、19のストーリーを読み進める中で、改めて自分の本棚を見返してみたくなったり、好きな本を10冊選ぶとしたら、どの本だろう?と考えさせられたりしました。きっと、みなさんの本棚もこれまでの人生を映してくれていたり、ずっと取ってある一冊には何かが詰まっているはず。『本棚の本』を読み終えた後、改めて自分の本棚を見つめてみてはいかが?
本棚の本
著者:赤澤かおり
仕様:A5変型判・並製 216ページ
価格:1,800円+税
ISBN:978-4-87758-766-6
出版社:アノニマ・スタジオ