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子育ての参考にしたいアイディアがたくさん

こんにちは!箱庭編集部です。
運河沿いに並ぶ、カラフルでかわいい街並みが有名な北欧・デンマーク。社会福祉制度の充実や、国連が毎年発表している「世界幸福度ランキング」で常に上位にランクインしていることでも知られています。
そんなデンマーク発祥の、子供たちが1日の大半を森の中で過ごすという一風変わった幼稚園があることを知っていますか?

その名も、「森のようちえん」。

実は日本にも存在するのですが、今回、本場である現地の森のようちえんを訪問することができました。そこには、子育て中の箱庭読者のみなさんはもちろん、将来子供ができたらどんな風に育てよう?と思っているみなさんにとっても参考になりそうなヒントがたくさん!さっそく、その様子をレポートしていきたいと思います。

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「森のようちえん」は、1950年代半ばからはじまった歴史のある幼稚園の形態で、デンマークでは選択肢の一つとしてポピュラーな存在。

今回訪れたのは、首都・コペンハーゲンから電車で2時間半ほどのところにあるロラン島の森のようちえん。ちなみにロラン島は、エネルギー自給率が500%以上という、エコな取り組みで世界的に有名な島です。

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駐車場から中に進むと、かわいらしい黄色の茅ぶき屋根の建物が見えてきました。これが校舎と思いきや違うようで、建物の間を通り過ぎて奥へと進みます。

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奥へ進むと森が広がっており、子供たちの遊具などが見えてきました。すべて木製の手作りで、まるでアスレチックのよう。

雨の日も雪の日も、外で過ごすことがスタンダード!

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森のようちえんの特徴の一つは、とにかく自然の中で過ごすということ。自然というなんでもありの空間で過ごすことで、雨や雪にも負けないたくましい心と体が育つといわれています。

また、毎日異なる天候や、草木や虫、動物とのふれあいを通して五感が鍛えられるので、クリエイティビティも高まるそうです。

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頭上を見上げると、木漏れ日が差し込んできてなんとも幻想的。木々がある程度雨をしのいでくれるので、雨の日もレインコートを着て外で過ごすとか。

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吹雪や大雪の日は、木製のティピーのような建物の中で過ごします。中では焚き木ができるようになっていて、みんなで火を囲みながら遊ぶそうです。

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雪の日も、子供たちはへっちゃら!むしろ喜んで雪の中で遊びます。

ここでの考え方のベースは、「もともと自然があって、人間はその中で生かしてもらっている」というもの。森という教室そのものが、子供たちの心や体を育ててくれるんですね。

カリキュラムは一切なし。何をやるかはすべて子供たちが決める!

森のようちえんのもうひとつの特徴は、子供たちの自主性を尊重した保育を行っていること。なんと、日本のように決められたカリキュラムはありません。子供たちは好きなことを楽しみながら、一日を過ごします。なんて自由でのびのびした環境なのでしょう・・!

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例えば、こちらのテーブルでは、何やらこねこねと丸めて並べています。

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どうやらパンを作っているようです。もちろん、パンを焼く釜もありました!

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こちらでは、子供たちが集まって何やら作業をしているようです。

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近づいてみると、古着を切り取ってつなぎ合わせて、アートを創作していました。

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こんなに小さい子がのこぎりを器用に使って、木工遊びもしていましたよ。

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他にも、木のお馬さんに乗って遊んだり。

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泥遊びをしたりと、みんな思い思いに、好きなことを楽しんでいます。自分の行動を自分で選択するという意思を、こんなに小さい頃から育んでいるのですね。

では大人は何をしているかというと、子供たちの見守り役です。喧嘩が始まってもなるべく介入しないようにし、子供たち同士で自然に解決するように促すのだとか。そうすることで多様性を受け入れることを学んだり、自立心を育んだりしているそうです。

クリエイティビティを刺激するプログラムがたくさん!

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森のようちえんには、子供たちの五感を刺激するプログラムもたくさん用意されていました。
例えば、こちらは地元のアーティストと一緒に作ったアート作品。子供たちもノミを使って、上手に木を彫って作品を仕上げたとか。

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音楽のコーナーには、手作りの木琴や太鼓のようなものも揃っています。

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小さな畑もあって、実際にトマトが育てられていました。もちろん、収穫を行うのも子供たち。食育も自然な形でなされているんですね。

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こちらは保育士のトマスさん。優しい笑顔で子供たちを見守ります。
実習生の時からこの森の幼稚園が大好きで、「絶対にここで保育士をしたい!」と言っていたそうで、夢が叶って幸せいっぱいだとか。子どもたちも、アニキ分のようなトマス先生が大好きなんです!

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今回訪問し、このような環境で子供を育てられるのは、本当に素晴らしいことだと感じました。森のようちえんは現地でも人気があり、生まれた次の日に申し込みに来る家庭も多いのだとか。

同行してくれたコーディネーターのニールセン北村さんは、
「デンマークに移住した理由の一つに、この幼稚園で子どもを育てたい!というのがあったくらい、私にとっては魅力溢れる幼稚園でした。実際に移住してからその人気ぶりを知り、難しいだろう…と判断して、こことは別に森のようちえんを作って、そこに息子を入園させました(笑)」
と、息子をなんとしてもこの環境で育てたい!と考え、仲間と一緒に森のようちえんを作ってしまったのだとか。確かにそこまでしたくなる魅力がありますよね。

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実際にデンマークに移住するのは難しいところもありますが、子供のクリエイティビティをどう伸ばすかということを考えている方は、その選択肢の一つに日本にある森のようちえんを検討してみたり、近所にない…ということであれば、自然学校などに積極的に参加してみたり、休日はなるべく自然の中に遊ぶように心がけてみても良いかもしれませんね!

デンマークの一人のお母さんが、森の中で保育をしたのが始まりとされている森のようちえん。その考え方や子供たちの過ごし方が、子育てや生活のヒントになれば幸いです。

日本にある森のようちえんは、こちらのサイトから探すことができます。
気になった方は覗いてみてくださいね!

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    NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟

    WEBサイト:http://morinoyouchien.org

    取材協力:ニールセン北村朋子さん(デンマーク在住のジャーナリスト・コーディネイター)
    WEBサイト:https://atree.dk
    Twitter:@aTreeLolland