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週末読みたい本『わくわく 図工室にいこう』
もう一度小学生になりたくなる?!楽しくて魅力的な図工の授業が集まりました。
こんにちは!箱庭編集部みのりです。
突然ですが、小学生の頃、一番好きだった教科はなんですか?きっとアートやものづくりへの関心の高い箱庭読者のみなさんなら、図工が好きだったという人が多いのでは?もれなく私もその一人です。
今日は図工の時間を思い出したり、思わずうけたくなるような魅力的な授業が詰まった『わくわく 図工室にいこう』という本をご紹介したいと思います!
今月発売となったばかりの『わくわく 図工室にいこう』は、東京都内のおもしろい図工の授業を取材レポートした書籍。図工教育に携わる方はもちろん、誰が読んでも楽しめる内容になっています。
もともと、雑誌『美術手帖』の人気連載だった「子どもと美術」。それをまとめた『図工室にいこう』全3巻(美術出版社刊)は長らく絶版となっていましたが、この度、美術出版エデュケーショナルより『わくわく 図工室にいこう』として、シリーズ全3巻が発売となりました。
それでは、その内容を紹介していきたいと思います!
シリーズ1冊目の『わくわく 図工室にいこう〜こどもがつくる楽しい時間〜』では、「イメージを広げて」「材料とあそぶ」など8つのテーマごとに23の授業を紹介。
こちらの「ねちゃねちゃおえかき」という題材の授業では、でんぷんのりを混ぜたドロドロの絵具を手にとって、ボンド水を絞った布のキャンバスに直接描いていきます。「悪魔になったへび」や「目玉の中の中の中の中の目」など、枠にはまらない自由な作品ができあがりました!
用意するものや手順、先生がどのような想いで題材を考えたのかということもレポートされていて、図工の先生だけでなく、クリエイティブやこども向け事業に携わる人にとっても、デザインやアイディアソースとして活かすことができるものばかり。
こちらの題材は、こどもたちの自由な発想を引き出すために何度も改良を重ね、素材の匂いや音、色などを五感で感じることで、表現欲を刺激できるように工夫されたそうです。図工の授業が楽しいのは、こうした先生の想いや創意工夫があってこそだということに気付かされました。
他にも面白いと思ったのが、品川区立立会小学校の秋の大イベント「展覧会」。6年生が発表する「マイ・アート・スペース」では、1人1ブースが与えられ、「水と幻想」「ココロのマド」などのテーマを考え、自由に作品を制作し、空間全体を作り上げます。
6年生という多感な年代のこどもたちにとって、制作を通して自分を理解し、気持ちをさらけ出すことが、自分を認めることや、他者を理解することに繋がるのだとか。こどもの頃に、そんなアートの根本を体感できる機会があるのは、素晴らしいことだと思いました!
『わくわく 図工室へいこう2〜アートが生み出す子どもの未来〜』では、「からだで感じる」「自然のなかで」「世界とつながる」などの6章立てで授業をレポート。
「サクラが散ってもHAPPY♥HAPPY」という題材の授業では、散った桜の花びらと粉絵具を透明シートの上に撒き、そこに洗濯のりや水を自由に振りかけていきます。するとのりや水の量によって花びらが固まったり、シートの上がバシャバシャになり、花が自然の中で散って土の中に戻るような変化があったりするのを楽しめるのだとか。ここんなに楽しい授業があったら、大人になっても記憶に残り続けるんだろうなぁ。
『わくわく 図工室へいこう3〜自分をつくる 未来をつくる〜』では、「表す・伝える」「触る・試す」「交わる・広がる」の3章で授業をご紹介。
「交わる・広がる」では、「しょうてんがいの人たち」という題材で、近隣の商店街で働く人たちを絵に描く授業が紹介されています。
実は、授業の一番の目的は「人とのかかわり」にあるのだとか。お店の人たちとのコミュニケーションが生まれるための工夫として、色を塗る作業はなくし、あえて鉛筆だけで描くことで、いろいろなお店を回ったり、描いた絵を見せたりするなど、お店の人とやりとりする時間を設けられるようにしているそうです。人とのかかわり方を自然と学べるのも、アートの持つ力なんですね。
図工の持つ力を感じられる、コラムも充実。
1〜3巻それぞれには、図工教育のスペシャリストによる座談会やコラム、学校の外で行われる図工教育活動などの充実した読み物も掲載されています。
そこでは、図工教育を取り巻く環境の変化についても書かれていました。昨今、図工は実学ではない、図工は受験に関係ないから大切ではないといった声もあるらしく、図工教育はとても肩身が狭くなっているそうです。
けれど、どんな職業にも役立てることのできるクリエイティブな力を身につける最初の一歩として、図工の授業の大切さを改めて広めたい。そんな想いが、全3巻を通してひしひしと伝わってきました。
そして何より、図工の授業をうけているこどもたちのいきいきとした表情が印象的でした!教育に携わる方はもちろん、多くの人に手に取ってもらうことで、図工教育やアートの持つ力を今一度見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。
わくわく 図工室にいこう ~こどもがつくるたのしい時間~
ISBN:978-4-938242-44-2
仕様:B5版 全128頁
わくわく 図工室にいこう2 ~アートが生み出す子どもの未来~
ISBN:978-4-938242-45-9
仕様:B5版 全136頁
わくわく 図工室にいこう3 ~自分をつくる 未来をつくる~
ISBN:978-4-938242-46-6
仕様:B5版 全128頁
いずれも、定価2,500円+税
発行:美術出版エデュケーショナル