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映写室のドアの向こうは映画の世界!?西荻窪『JUHA(ユハ)』
アキ・カウリスマキ監督の映画をイメージしたカフェ
こんにちは。あいぽんです。
先日ご紹介した、フィンランドの映画『希望のかなた』。この作品を観て以降、すっかりアキ・カウリスマキ監督が気になって、いろいろ調べている今日この頃です。
そんな折、西荻窪にアキ・カウリスマキの作品の名前を冠したカフェがあるということで、遊びに行ってきました。
『JUHA(ユハ)』の店主・大場俊輔さん、ゆみさんのご夫妻に、お店のことやアキ・カウリスマキの映画のことなどお話を伺ってきました。
カウリスマキの映画『白い花びら』が名前の由来
白い壁のシンプルな外観の中で、異彩を放っているこの鉄の扉。実は、もともと映写室で使われていたものなのだそう。味のある古びた扉に『JUHA』というお店の名前があしらわれています。この「JUHA」という言葉は、カウリスマキ監督の作品のひとつ『白い花びら』の原題からとったもの。
「もともとはウェイン・ワン監督の映画からとって『smoke』とつけようと思っていたんです。映画の中のたばこ屋の店主とお客さんのやりとりの雰囲気が好きで、オープン直前まで『smoke』で考えていたんですけど、時代が禁煙の流れになってきたこともあり変えました。
別の好きな監督で考えたときにカウリスマキ監督がすぐに思い浮かんで。当時読んでいた本で『白い花びら』の原題が『JUHA』と知り、決めました。“JU”を“ユ”と読む響きも良いなと思って」と俊輔さん。
店内には『JUHA』の大きなポスターも飾ってあります。店内の雰囲気もカウリスマキの世界をイメージして作られているのだそう。
「当初のコンセプトが、“映写室の扉を開けたらカウリスマキの映画の世界が広がっている”というものでした。壁のブルーもそうです。カウリスマキの映画でよく見られる赤やブルーなど原色の壁を作りたくて、最初、壁をブルーと赤に塗ったんですけど、ポップな感じになっちゃって(笑)。このブルーの壁を活かしたほうがいいかなということで落ち着きました」とゆみさん。
新作『希望のかなた』でもブルーの壁が登場していました。
俊輔さんも「カウリスマキの映画の魅力は、個性的な俳優たちのぶっきらぼうな演技やセリフ、そこに添えられているタバコやロックンロールなどの音楽…と魅力はたくさんありますが、内装などで見られる青を基調とした色使いが特徴で、彼の映画の魅力だと思うんです。なので、お店にもそういう色を使いました」とおっしゃっていました。
ゆみさんと俊輔さんが座っている席は、『街のあかり』のビジュアルをイメージした席。ビジュアル同様、赤いバラも飾ってありました。店内の至るところに映画の要素が散りばめられています。
音楽とコーヒーを楽しむ
店内では、コーヒーやハーブティーなどのドリンク類とトーストやカレーのセット、スイーツなどが楽しめます。
コーヒーはおふたりも好きという『南風配達人』の豆を使用。今回は「ノワール」というストロングブレンドを通常の2倍量使用した濃厚なコーヒーをいただきました。
cou cou(ククウ)さんにブレンドしてもらったというオリジナルハーブティー「JUHA」もおすすめ。映画『白い花びら』をイメージして作ってもらったのだそう。ローマンカモミール、ラベンダー、ダンデリオン、ミント、
もともとは、音楽もカウリスマキの映画の中で流れているようなものをかけていたのだそう。営業していく中でお客さんの反応などを見ながら少しずつ変えていって、今はそこまでカウリスマキにこだわらず、JAZZや戦前ブルースなどコーヒーに合うような音楽、お客さんが居心地よく過ごせるような音楽ということで選曲しているとのことでした。
シリアスの中に感じるユーモアが魅力
のんびり音楽に耳を傾けながら、コーヒーを味わえば、本当にカウリスマキ作品の中の1コマに入り込んだかのような気分に。まだまだカウリスマキ作品に疎い私は、おふたりにカウリスマキ作品のどういうところが好きかも聞いてみました。
「アキ・カウリスマキの「『浮雲』や『過去のない男』、『街のあかり』を観て、どうしてこんなにつらく、ひどくかなしい状況だとシリアスになりそうなものなのに、幸せとかユーモアさを見せることができるのだろう?と、不思議に思い、そこからハマっていきました。“辛いこと”や“悲しいもの”が、決してマイナスだけではないんだなあと教えてもらいました」とゆみさん。
俊輔さんも「お店としては『浮雲』に影響を受けていますね。夫婦そろって失業してしまって、もう一度立ち直ってがんばるところとか、共感できるというか。苦しいときに見直しています。絶望的な中で偶然、支配人に遭遇し、『ホノルル・ウィンター』で乾杯するシーンは何度観ても笑ってしまいますね」。
『希望のかなた』
ちなみに先日公開した『希望のかなた』は取材当時まだ観ていないとのこと。「劇場で観るのが楽しみです。でも期待したり、こういうところが楽しみ!というのはあまりないかな。いい意味で変わらないのがカウリスマキの魅力なので。そこが楽しみです」と教えてくれました。
おふたりの静かな映画愛を感じられ、新しい映画の魅力に気づくことができました。もちろん映画好き、カウリスマキ好きでなくてもおすすめです。のんびり贅沢なひとときを過ごして、お店を出る頃には、素敵な映画を1本観たかのような満たされた気持ちに。試写室の古い扉の向こうに広がる映画のようなひとときが楽しめる『JUHA(ユハ)』。ぜひ、行ってみてください〜。
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JUHA(ユハ)
- 住所:〒167-0053 東京都杉並区西荻南2丁目25−4
- TEL:050-3562-0658
- 営業時間:火曜~土曜 12:00~23:00 (ランチタイム12:00~15:00)
- 日曜 13:00~22:00 (ランチはお休み)
- ※平日は18:00〜
19:00は休憩時間 - 定休日:月曜日
- HP:http://www.juha-coffee.com/